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阪神タイガース・安芸キャンプの総括<選手編>

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
カメラを向けるとタオルで顔を隠して笑う…2年目の大砲候補・横田慎太郎外野手です!

安芸キャンプ総括の前に、きのう27日に球団広報から発表された故障者情報をお伝えします。まず沖縄キャンプの最後で右わき腹を痛めた荒木選手は、26日に大阪府内の病院でMRI検査を受け『右腹斜筋の筋挫傷』と診断されました。きょう27日は甲子園球場のクラブハウスで、あす28日からは鳴尾浜でリハビリを行うそうです。

また安芸キャンプ第2クールに右ひざを痛めた森越選手は、12日に復帰するも再び痛めてしまいました。検査のため23日にひと足早く帰阪していたのですが、24日に大阪府内の病院で右ひざのクリーニング術を受けたそうです。26日に退院して、きょう27日から鳴尾浜でリハビリを開始したと発表がありました。これまでケガのない選手なのに、アピールしなくちゃという思いで頑張ってしまったんでしょうね。早い復帰を願いつつ、でも無理しないでほしいと矛盾だらけですが…焦らずに治してください。

さてキャンプ終了後、お休みを挟んで27日から1軍は甲子園で、ファームは鳴尾浜で練習が再開されました。安芸キャンプ組から安藤投手、松田投手、岡崎選手、坂選手、横田選手が1軍練習に参加。安藤投手以外は28日(安芸・オリックス戦)と3月1日(春野・西武戦)に行われるプレシーズンマッチのため、高知へ移動しています。沖縄キャンプ組からは投手何人かと清水選手が鳴尾浜での練習だったようですけど、これは教育リーグに出場するとか来週のオープン戦で投げるとか、この時期はいろいろありますからね。

ちなみに28日の教育リーグ・中日戦(鳴尾浜)は岩田投手、岩崎投手が登板予定。金田投手や岩貞投手も、まずは教育リーグで投げるみたいです。

安芸の話題をさらった横田

キャンプ打ち上げ後、記者陣に囲まれて取材を受ける横田選手。
キャンプ打ち上げ後、記者陣に囲まれて取材を受ける横田選手。

横田選手にとって、昨年は初日に発熱でリタイアしてしまった苦い思い出の春季キャンプ。ことしはしっかり完走しました。バテたかと聞かれ「バテはないです」と元気に答えています。そういや先日も「まだ余力がある?」と尋ねたら「はいっ。余力“しか”ないです!」と言っていました。予想外の、横田選手独特の言い回しですね。

「最後は実戦で打てなかったから、いったん立て直して打てるようにしたい。フォームとか色々、掛布さんとやっていることを続けていきたいと思います。フォームが固まっていないので、修正しているところです。練習で数多くやってなじませたい。新しい感じですね。足の上げ方、テイクバックなど。タイミングが遅かったんで、バットを回さず無駄なくトップに持っていくやり方」

掛布DCには「結果はまだ出さなくていいから、実戦でそのフォームでやっていけば絶対に打てる」と言われているそうです。「28日、しっかりと結果を残すのが大事。人一倍、声を出していきたい」。一番のアピールポイントは?「やっぱりバッティングです。チャンスをもらえたら絶対に打ってやるという気持ちで打席に入りたい」

先輩からのアドバイス

せっかくきれいに締めてくれたんですが、私はどうしても聞いておきたいことがあり延長してしまいました。25日に公開した記事のタイトル画像にも使った写真の件です。24日のシートバッティング中、打つ順番を待っていた横田選手のところへ歩み寄り、何か話しかけた関本選手。すぐ終わるのかなと思ったら、身振り手振りつきで割と長めでした。

24日のシート打撃で、関本選手からアドバイスを受ける横田選手。
24日のシート打撃で、関本選手からアドバイスを受ける横田選手。
こちらは植田選手。牽制を入れるタイミングなどを鶴岡選手が教えてくれたそうです。
こちらは植田選手。牽制を入れるタイミングなどを鶴岡選手が教えてくれたそうです。

おそらくバッティングのアドバイスだとは思いますが、どんな話を?「松田さんの球が145キロくらいだとしたら、プラス5キロで考えていけと。左にファウルを打たないよう、右に打つつもりでと言われました」。つまり150キロを想定して、ということ?「はい。そしたら打席で余裕が持てる。始動を早くと」。なるほど。ちょうど松田投手に代わってすぐ、関本選手が左越え二塁打、次の横田選手は空振り三振で戻ってきたところだったんですよね。

そのあと横田選手は松田投手とは当たりませんでしたが、関本選手は次も松田投手から右前打。「すごいなあと思いました。関本さんにはキャンプ中も色々アドバイスしてもらって、プラスになった」という横田選手。感謝しなくちゃいけない先輩がいっぱいです。プレシーズンマッチでお礼のヒットを打ってきましょう!

そうそう、安芸市営球場で約1か月間、ことしも地元・高知県の高校生たちが練習を手伝ってくれていたんですが、25日の帰り道で聞いてみました。外野で球拾いやシートバッティングの守備をしていて、誰の打球がすごかった?「横田さんです!横田さんの打球は本当にすごかった」。やっぱり。エグかった?「はい、エグかったですっ」

デビューが近づく横山

安芸キャンプでの練習風景。横山投手は赤いバイパーでトレーニング中です。
安芸キャンプでの練習風景。横山投手は赤いバイパーでトレーニング中です。

キャンプを振り返って「よかったです。充実していました」と答えたのはドラフト1位ルーキーの横山投手。新人合同自主トレ中に『左胸鎖関節の炎症』と診断されスタートは遅れてしまったものの、3月7日の教育リーグ・オリックス戦(鳴尾浜)での“デビュー”が決まっています。楽しみ?それとも緊張?「楽しみ、ですね。ここまで来たので、しっかりやれれば。しっかりゼロで抑えたい」

真っすぐで勝負するかと聞かれて「ベースは多分そうなると思います。なんとか頑張っていきたいですね」と答えています。出遅れた分はここから取り戻せばいいわけで「勢いをつけられるように」と初戦に臨む横山投手。開幕1軍は前にも言ったように、見えているとのこと。「それに向けて実戦で第一歩を踏み出したい」と意気込みを語りました。

「みっちり練習できた」と植田

守備練習で、送球が少し逸れて「すみません」と謝る植田選手。
守備練習で、送球が少し逸れて「すみません」と謝る植田選手。

もう1人のルーキー、ドラフト5位の植田選手は「これだけみっちりと濃い練習をしたことがなかったですねえ。高校は人数が多くて100人以上でやっていたから、全体で流れ作業みたいな練習だった」とプロ初キャンプの感想を述べています。「充実していました。第1、第2クールは体力的にきつかったけど」。精神的には「初日は緊張でちょっと」と苦笑い。

唯一の高校生ながら、しっかりついていけていたと思いますよ。古屋監督も褒めていました。ただ右足を痛めて2試合出られなかったのは残念で、本人も悔しがっています。ところで、プロでやっていけそうだという手応えは?「入団前はあった」…え、そうなの?今はなくなってしまったのかと心配していたら「今はやるしかないんです。やらないといけない」と、なかなか大人のコメント。植田くん、来年の手締めもいけそうな気がしますよ。

充実のキャンプを経て、次は…

14日の練習試合での田上選手。打席連続ヒットでした。
14日の練習試合での田上選手。打席連続ヒットでした。

田上選手は「オフにやってきたことを、どれだけ体で表現できるか。例えば動きだったり、打球の質だったり、そういうもので出せるかと思って臨んだキャンプでした。しっかり出せたので、そこはよしですね」と納得の25日間だったようです。1軍に呼ばれた時には、パワーも確率もアップした打撃でチャンスをがっちり掴みましょう!

キャンプ最終日、メイングラウンドから引き揚げてくるトラヴィス投手。
キャンプ最終日、メイングラウンドから引き揚げてくるトラヴィス投手。

新加入のトラヴィス投手にも聞いてみました。「キャンプは充実していました。キャンプだけじゃなくて、ここにいるチャンスをもらえたこと自体、タイガースには感謝しています。しっかり練習して、早く試合で投げて、2ケタの背番号になれるよう頑張ります」。人柄がにじみ出る答えですよね。皆さんも、どうぞ応援してください。

巻き返しを誓う西田

最後は、残念なことに沖縄から安芸へ移動してきてしまった西田選手です。聞こうかどうか迷いながら勇気を出してみたところ、一生懸命答えてくれました。最初に出てきたのは、やはり「悔しいです」という言葉。「自主トレから先輩とやらせてもらって、いい準備をしてキャンプに臨んだのに…」と唇を噛みます。一緒に自主トレをさせてもらった西岡選手らに対しても申し訳ないとの思いでしょう。

「沖縄ではファーストでしたけど、こっちに来てから二遊間をやれたのはよかった。でも試合でミス連発しているので、練習しかない。信頼してもらうまで時間がかかるけど、やるしかないですね。コツコツと」

ティー打撃中の西田選手。安芸へきてすぐの頃です。
ティー打撃中の西田選手。安芸へきてすぐの頃です。

バッティングに関して「悪くはないけど、日によってムラがある。こうやったらいいと自主トレで教わったことも、やり続けたい。まだできていませんが、確率を上げていって試合で出したいと思います。守備もバッティングも結果。結果でしか判断されないから、結果を意識して」と言います。これからファームは教育リーグ、1軍はオープン戦と実戦が続きます。西田選手は「オープン戦に早く呼んでもらうため、毎日毎日アピールするだけ。シーズンが始まって上へ行けるよう、いつ呼ばれてもいいようにしっかりやります!」と力を込めました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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