Yahoo!ニュース

ウインターリーグ 陽川が4安打5打点でMVP獲得!《11/30 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
タイムリー三塁打、2点タイムリー二塁打、2点タイムリーと大当たりだった陽川選手。

台湾で開催中の『アジア・ウインター・ベースボール・リーグ』。日本チームは11月28日に台湾プロチーム(CPBL)と対戦して引き分け、30日は欧州選抜チーム(CEB)に24対3で大勝!そして、きょう12月1日はアマチュア台湾代表チーム(CTBA)に3対1で負け…。5番ファーストで先発出場した横田選手と、6番サードの陽川選手は仲良く4打数ノーヒットでした。

でも日本の得点は、4回2死二塁で陽川選手の打球がショートのエラーを誘っての1点だったみたいですよ。また岩貞投手は9回に登板して1イニングを三者凡退という結果です。

さて、きょうの試合も終わってしまった時間ですが…きのう11月30日に斗六棒球場で行われた欧州選抜との試合結果と、選手のコメントをご紹介しましょう。みんなが打って打って打ちまくった試合で、陽川選手がMVPに選ばれています。なんせ24点も取ったので、試合経過がとっても長い点はご了承ください。(※選手成績のところ、チーム名の『デ』はDeNAです)

《2015 亞州冬季棒球聯盟》

第3日 11月30日 斗六

日本(NPB)-欧州選抜(CEB)

欧州 000 000 201 = 3

日本 219 008 13X =24

◆本塁打 デ:山下2ラン、デ:関根ソロ

◆三塁打 デ:関根、神:陽川、中:高橋

◆二塁打 中:高橋、ソ:張本、神:陽川、神:横田

◆打撃  (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:友永 (中) (5-3-0 / 0-1 / 0 / 0)

〃中:真砂 (ソ) (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

2]右:関根 (デ) (5-3-3 / 0-1 / 0 / 0)

3]二:山下 (デ) (3-1-2 / 1-3 / 1 / 0)

4]一三:和田 (巨)(3-1-1 / 0-3 / 0 / 0)

5]遊:高橋 (中) (5-2-4 / 0-0 / 0 / 0)

6]指:岡本 (巨) (4-1-1 / 0-2 / 0 / 0)

7]捕:張本 (ソ) (4-3-2 / 0-1 / 0 / 0)

〃捕:桂  (中) (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

8]三:陽川 (神) (5-4-5 / 0-0 / 0 / 0)

〃一:横田 (神) (1-1-1 / 0-0 / 0 / 0)

9]左:原  (ヤ) (5-1-1 / 2-0 / 0 / 0)

〃左:上林 (ソ) (1-1-2 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手  (打-振-球/失点-自責/暴投)

中:浜田 2回 26球 (1-3-0 / 0-0 / 0)

神:田面 2回 42球 (0-3-3 / 0-0 / 1)

巨:今村 2回 36球 (1-2-1 / 0-0 / 0)

デ:飯塚 2回 36球 (2-1-2 / 2-2 / 0)

巨:平良 1回 14球 (2-1-0 / 1-1 / 0)

<試合経過>

先に攻撃をまとめて紹介(チーム名は省略)させていただきます。1回は関根がセンターへの三塁打を放ち、山下は四球で1死一、三塁として、まず暴投で1点。和田も四球、山下の盗塁で再び1死一、三塁となり、高橋が左犠飛。初回に1安打で2点を先取しました。2回は1死から陽川が左前打し、2死後に友永の左前打で一、三塁。続く関根の右前タイムリーで3点目です。

3回は2人目のピッチャーから山下と和田が連続で死球を選び、高橋の右タイムリー二塁打で2人生還。岡本はセカンドのエラーで一、二塁となって張本がレフトへ2点タイムリー二塁打を放ちました。ここで投手交代。次の陽川は、その初球を打って右越え(右中間より)のタイムリー三塁打!さらに暴投でもう1点。

ようやく打者7人目で1死となったあと友永が四球を選び、2死後に一巡した山下がライトへ文句なしの2ラン!和田の死球に続いて高橋がセンターへのタイムリー三塁打!この回打者13人で、5安打(すべて長打)と4四球により9点を追加、既に12対0となりました。

4回は張本の右前打、5回は友永の二塁打が出たものの追加点なし。しかし6回にまた猛攻です。岡本が四球、張本は左前打、続く陽川がレフト戦へのタイムリー二塁打で2人とも生還!2イニングを0点に抑えていた4人目のピッチャーをも引きずり降ろし、さらに原の左前打で二塁から陽川も還ります。友永の右前打で無死一、三塁として関根は左犠飛。山下が四球を選んで1死一、二塁で和田の左前タイムリー。2死後、一巡して岡本の中前打で山下が二塁から生還。張本は四球で2死満塁となり陽川が中前タイムリー!2人を迎え入れ、ついに20得点です。

7回に2点を返されますが、その裏は関根のソロホームラン!8回は1死から途中出場の桂が右前打、ついで同じく途中出場の横田が初球を打ってライトオーバーのタイムリー二塁打!続く上林も途中出場で中前打、桂だけでなく横田も還って2点を追加し、これで24点。22安打のうち10本が長打でした。

さて投手陣は、先発の浜田が先頭に内野安打を許しながらもキャッチャー張本の盗塁阻止もあって3人で片づけ、2回は連続三振などで三者凡退!ついで田面が登板します。いきなり連続四球など計3四球や暴投でピンチを迎えましたが無失点。長い長い3回裏の攻撃を終え、30分以上待たされた4回は3番からをすべて三振でピシャリ!球種などは、のちほどご紹介します。3人目は今村。5回は1死球のみ、6回は1安打のみで2イニングを0点に抑えました。

20対0で迎えた7回、4人目の飯塚は先頭に四球を与え、2死後にも四球で一、二塁。9番に左前打を許して満塁となり、1番にタイムリー二塁打を浴びて2点返されました。でも8回は三者凡退です。そして9回は平良が、先頭に二塁打されるなど2死三塁として9番に左前タイムリー。欧州選抜に対して6安打10三振6四球で3失点で試合終了です。

日本初勝利で陽川がMVP

試合に関する記事を読んでいると、いや正確には漢字の雰囲気だけなんですけど、24得点は『アジア・ウインター・ベースボール・リーグ』の最多記録みたいですね。おまけに先発全員安打で、途中出場の選手も打ったため、出場全選手のうち途中から出た真砂選手以外はみんなヒット!マルチは友永選手の3安打、関根選手3安打3打点、高橋選手2安打4打点、張本選手3安打2打点、そして陽川選手の4安打5打点です。よく見ると、友永選手を除いて先発全員打点ってのもスゴイなあ。

そんな状況でしたが、MVPには陽川選手が選ばれています。試合終了後にグラウンドへ呼ばれ、ヒーローインタビュー。通訳の方に続いて答えを言いかけたら、マイクの不調で場内に流れず…。すぐさま実況のアナウンサーが引き取り画面も変わって、そのまま中継は終了しちゃいました。せっかくマイクを持ってしゃべっていたのに残念。

ホームランが2本出たので、この日の斗六棒球場は少し狭いのかと思ったら違いました。メイン球場の台中州際棒球場が中堅121.9メートルで両翼が100.6メートル。斗六は中堅が同じで両翼99.1メートルです。つまり州際より両翼が少し広いということですね。

「正直、サイクル狙っていました!」

では陽川選手のコメント、の前に全打席を振り返ります。まず2回、1死ランナーなしで初球の真っすぐ(142キロ)を打って、三遊間を抜いていく左前打!3回は4点追加したあと、代わったばかりのピッチャーの初球(128キロと表示されましたが、真っすぐのよう。陽川選手も真っすぐと言っています)をタイムリー三塁打!4回は無死一塁でカウント2-2から遊ゴロ併殺打。

まだ続きます。6回は無死一、二塁でカウント1-2から4球目のチェンジアップを打ち、レフト線を鋭く抜けていく2点タイムリー二塁打!次の原選手の左前打で二塁から還りました。同じく6回の2巡目は2死満塁で、初球ファウルのあと2球目の真っすぐをセンター前へ2点タイムリー!1イニングで4打点を挙げたわけですね。ここでお役ご免となって8番には横田選手が入り、ベンチに下がっています。いや~もう十分でしょう。

「ヒットは全部いい感触でした!」と陽川選手。4安打5打点って経験ありますか?「んー、ないっすねえ」。チャンスでしっかり打てたということで何より。「みんな打ちましたし。ピッチャーは普通ですかね。先発はそこそこ球も速かったですよ」。確かに145キロ連発していました。

みんな打った中でも文句なしのMVP。何かもらった?「何ももらってません。あ、トロフィーみたいなヤツを持たされただけです(笑)」。みたいなヤツ?持たされた?「はい、返しましたよ」。か、返すの?毎年見ていた、あのトロフィーは持ち回りなのか。知らなかった…。次はしっかりインタビューが流れるといいですね。日本チームのユニホームで応援されている方も多かったので。

リーグの公式サイトに陽川選手の写真と『MVPの陽川選手は5打数4安打で二塁打と三塁打などで5打点。あとホームランが出ればサイクル安打だった』という記事が出ていると伝えたら「そんなことまで書かれてるんですか!」と驚いた様子。そして「正直、狙ってたんですけどね、サイクル(笑)」と本音もチラリ。「打球があまり上がらなかった」とはいえ強烈な当たりでの長打でした。次に期待!

3与四球から一転、次は3奪三振

続いて田面投手です。先発・浜田投手のあと3回から登板しました。3回はいきなり連続四球を与え、9番はバント失敗(自身が捕って三塁の陽川選手へ送球、一塁転送もここはセーフで併殺はならず)で1死となったあと、暴投と四球で1死満塁のピンチ。しかし2番を三ゴロに打ち取り、陽川陽川が一度こぼしたものの捕ってベースを踏み一塁へ。打者走者が自分の方が早かったと抗議したものの、今度はしっかり併殺で無失点です。

4回は3番をフルカウントからの6球目、121キロのスライダーで空振り三振。4番はカウント2-2から5球目の真っすぐ、131キロで見逃し三振。5番はカウント1-2から7球目、112キロのカーブで空振り三振。3回とは違って変化球中心のピッチングで相手を翻弄しました。長く待たされたことは「気にならなかった」と言います。

ところが、感覚はどうかと聞いたら「イマイチですかね」と田面投手。じゃあ1イニング目は少し探っていたような?「そんな感じです」とのこと。球場や相手に対して投げにくかったというのはなかったみたいです。「何とか0に抑えられてよかった。また次、頑張ります!」と気合いを入れていました。

高校以来のファースト守備

最後に横田選手。この日はスタメンでなく、陽川選手に代わって7回の守備から8番を打っています。しかも

“ファースト”ですよ!鳴尾浜で練習していたとはいえ、試合で守るのは初。本人も「プロでは初めてですね。高校以来です」と言います。守備機会は一度、8回に緩いゴロが飛んできて、余裕で捕り自分でベースを踏みました。本当に緩いゴロだったけど、なぜかリプレイがあり、さらに横田選手のアップまで写っていたんです。でも放送席での会話はさっぱりわからなくて。何だったんでしょう?

打席は8回の一度だけ。でも1死一、二塁のチャンスで初球を打ってライトオーバーのタイムリー二塁打を放っています。いい感触だった?「はい、よかったです!」。打ったのはストレートだと言っていますが、表示された球速の107キロが合っているかどうかは別にしても「外よりのカーブに泳ぎながらの巧打」に見えました。次の上林選手のセンター前ヒットで、二塁から余裕で還ったのもさすがです。

そして、きょう1日の試合ではついにファーストで先発出場。守っている間中、長い手足を持て余しているように見えるのは…私だけですかね?

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事