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タイガースの新成人・横田慎太郎選手 二十歳の決意は「打つ!」《1/20》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
久しぶりの球団事務所で、報道陣に囲まれて少し戸惑いながら微笑む横田選手。

阪神タイガースでは毎年この時期に、新成人の選手が球団から『新成人のお祝い』をしてもらいます。3年前は一二三選手、中谷選手、岩本投手、阪口選手、島本投手、穴田選手と6人がズラリと並んだのですが、おととしは歳内投手、西田選手、松田投手の3人、昨年は藤浪投手と北條選手の2人、ことしは横田選手の1人だけでした。そういえば来年は植田選手だけ、再来年も望月投手だけなので、しばらく1人が続きますね。

きのう20日の午後、スーツ姿で球団事務所を訪れた横田慎太郎選手は、まず四藤社長から記念品を贈られ(ことしも高級ボールペンだったよう)訓辞を受けました。大人の自覚を持って、というようなお話もあったと推測しますが、横田選手は「1軍で出られるように頑張れと言われた」ことを肝に銘じて新しいシーズンを迎えるようです。そのあと各新聞社のカメラマンによるフォトセッションがあり、色紙に書いた言葉は…

「打つ!」

書いたばかりの色紙を掲げて、笑顔で撮影に応じる横田選手です。
書いたばかりの色紙を掲げて、笑顔で撮影に応じる横田選手です。

これまでも月刊誌に掲載される新成人特集で、色紙に“二十歳の誓い”をしたためる企画があったんですよね。中谷選手が「大人の男」と書き、翌年の西田選手が「男の中の男」と続いて、吹き出したのを覚えています。それを受けて横田選手も…と思いましたが、独自路線でいった模様。ことしは新聞用の撮影もあると事前に伝えられていたらしく、考えた?書ける?と尋ねたら「楽勝っすよ~」とドヤ顔でした。確かにこれなら余裕で書けたでしょう。

そして恒例の月刊誌の方も同じ言葉を書くつもりだった(だから余裕綽々だった)横田選手ですが、違う言葉に変えてとの要望で「ホームラン」にしたとか。いいですね、わかりやすくて。でもこれ “新成人の決意表明” みたいなものですが、今シーズンの抱負、意気込みでもあります。引き続き行われた囲み取材は、とにかく「打ちます!」連発だったので。

甲子園の初HRは1軍戦で

3日に地元・鹿児島での成人式に出席してきました。式典では舞台に上がって挨拶したりはしないのかと前もって聞いたら「ないです!あったら終わりです!」と素早い返事だったんです。そして、きのう確認したら何もなかったとのこと。よかったですねえ。同級生たちに会って、頑張れとか、早く1軍に行ってとか言われた?「いえ、特に」。あ、そうですか。いや~言われたと思いますよ、きっと。

球団事務所で、四藤球団社長(左)から新成人祝いの記念品を手渡される横田選手。
球団事務所で、四藤球団社長(左)から新成人祝いの記念品を手渡される横田選手。

年末年始は「家の近くで」自主トレをして、6日に虎風荘へ戻ってきたそうです。ちょうど入寮したルーキー6選手とも顔を合わせたでしょう。ドラフト1位・高山選手の話を記者陣から振られると「2つ年上ですけど、負けたくないです。同じ外野なんで」と宣戦布告。どの部分で負けたくない?「全部。全部勝ちたいです」。早くも闘志をメラメラと燃やしていますよ。

ことし3年目、新成人として迎えるシーズンの抱負は「打ちます!」とキッパリ。1軍で?「打ちます!」。具体的には「甲子園でホームランを打つ」ことも含まれているようです。そういえばファームの試合でも甲子園のホームランがまだありませんね。「はい。ないです。上で打ちます」。なるほど。甲子園1号はファームでなく1軍で、という決意。しかと承りました。

バッティングのポイントとしては「速い真っすぐを打たないと1軍では活躍できないと、ずっと言われているので、ストレートに強い選手になりたいです」と、ここは少し力を込めた答え。今、鳴尾浜での自主トレはどんなことをしているのか聞かれ「どんな…」と考えこんだ末に「打って、守って、走って」と横田選手らしいコメント。間違いないでしょう。その通りです。それと「素振り。とにかく振ること」と。1日何スイングとか決めて?「それは決めていません」。キャンプ中も?「はい。数は決めずに、振れるだけ振ります」

久しぶりに会って体がまた大きくなったような気が。体重は?「2、3キロ増えて97キロあります。ウエートして食べたら増えました」。ベストは94か95キロらしいので、少し絞ることになる?「はい。でも重くはないし、いい感じです」。じゃあ100キロくらいまで…と、ある記者が言いかけた途中で「そりゃないです!」と横田選手。あまりに素早い反応だったもんで笑ってしまいました。これ以上は増やさないようですね。

ファームの10発より1軍の単打

普段もあまり“語る”タイプではない横田選手は、特に周りを取り囲まれての取材だと圧倒されるのか多くを答えてくれないため、あとで個別に追加質問をしました。そのコメントもご紹介します。一番下に横田選手の2015年の成績を書いていますので、参考になさってください。

ことしも「振って振って、振れるだけ振る!」と素振り継続宣言をしました。
ことしも「振って振って、振れるだけ振る!」と素振り継続宣言をしました。

―1年目と比べて、去年はどんなところが成長したと思いますか?

「自分で考えて、ひとりで練習できるようになった!」

やはりセンテンスが短いので、これだけを聞くと『はじめてのおつかい』風に思えますけど、違うんです。練習の内容すら教わりながらだった1年目は、たとえば個別メニューも指示してもらってやっていました。でも昨年は、いま自分に何が必要か、試合で打てなかったのはどこが足りないのかなどを考え、それに基づいた練習を、言われるまでもなくできたということです。

―逆に、よくなかったと反省するところは?

「1年間通して継続できなかったこと」

5月下旬から約1か月で6本塁打を放つなど“らしさ”を見せていましたが、そのあとピタッと止まって、次の1本は3ヶ月後の9月22日でした。ホームランも盗塁も2ケタに1つ及ばす、まだまだ物足りないと思っているのではないでしょうか。とはいえ初めて規定打席をクリアしたことは大きいですね。その分、打率は1年目(.225)より下がってしまったけど、台湾のウインターリーグで3割以上打ったのは自信になったと思います。

―その台湾で、12月下旬まで試合をしていたことはどう影響しているのか。もちろん疲れを取るケアもしなくちゃいけなかったと思いますが、ここへきての効果は感じていますか?

「去年は、1年目の終わりに腰を痛めたからフェニックスも秋季キャンプも実戦ができなくて…春のキャンプもまったくでした。でも今回は台湾があったので、ことし最初のバッティングから感覚がいい。キャンプも、最初の実戦からいけそうです!」

年明け早々のバッティング練習で、いい感じだったんですね。記者陣の取材時で「キャンプに向けて、いつも通り練習するだけ」と言い、今すぐキャンプが始まっても大丈夫なくらいかとの問いに「はい、いけます!」と宣言したのもうなずけます。最後に聞いてみました。

―ファームでの2ケタホームランと、1軍のシングルヒットはどっちがいい?1軍のヒットかな?それがホームランだったら文句なしだけど。

「もちろんです!!!!!!!!」

これは文章でのやり取りだったのですが、ご覧のように『!マーク』を8個つけるほど、“当然”という回答。なお内野手で、しかも先輩なのに、なぜかいつもライバル視している北條選手も1軍ではまだヒットなし。北條選手より先に打ちたい?「打ちます!」。わかりました。皆さん、楽しみにしてください。

これは昨年のファーム公式戦ですが、やはり甲子園球場での立ち姿は全然違いますね。
これは昨年のファーム公式戦ですが、やはり甲子園球場での立ち姿は全然違いますね。

もうひとつオマケ。横田選手と同い年のオリックス・奥浪鏡選手も新成人です。地元・広島での成人式は11日だったようですね。ことしの目標は?と聞いたら「開幕1軍!」と即答でした。いけそう?「いきます!」。似たようなコメントでしょう?この2人も注目です。

横田選手 2015年の成績

1軍 オープン戦

(2/28~3/6) 4試合

※プレシーズンマッチ含む

14打数 2安打 1打点

打率 .143

本塁打0 盗塁0

三振6 四球0 死球0

ウエスタン公式戦

103試合 367打席 <規定到達>

347打数 74安打 36打点

打率 .213

本塁打9 盗塁9 

三振86 四球13 死球2

ファーム非公式戦

20試合 (教育リーグ、練習試合)

85打数 21安打 13打点

打率 .247

本塁打2 盗塁6

三振26 四球7 死球0

フェニックスリーグ

18試合 (練習試合を含む)

66打数 13安打 6打点

打率 .197

本塁打0 盗塁1

三振23 四球1 死球2

台湾ウインターリーグ

19試合 (プレーオフ、決勝含む)

56打数 17安打 11打点

打率 .304

本塁打2 盗塁7

三振9 四球6 死球1

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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