開幕カードは2勝1敗 最終戦は9回に7点を奪って大逆転!《3/19 阪神ファーム》
ウエスタン・リーグ開幕のソフトバンク3連戦は19日が最終日でした。朝から日差したっぷりだったタマホームスタジアムは、連休の中日ということもあり3113人のお客様で大賑わい。試合は初回から点を取り合う、1戦目と同じような展開です。じわじわと追いつかれ、追い越されながら、9回に大逆転した阪神の勝利。それにしても長い試合で…帰りの新幹線を変更しました。観戦された皆さんは大丈夫だったでしょうか?
《ウエスタン公式戦》3月19日
ソフトバンク-阪神 3回戦 (筑後)
阪神 120 010 007 =11
ソフ 200 011 101 = 6
◆バッテリー
【阪神】福永-高宮‐石崎‐島本‐○山本(2勝)‐柳瀬 / 小豆畑‐長坂(9回裏)
【ソフ】島袋(4回0/3)-伊藤祐(1回)‐笠原(3回)‐●星野(1敗)(2/3回)‐野澤(1/3回) / 斐紹
◆本塁打 緒方1号ソロ(島袋)
◆三塁打 三森、板山
◆二塁打 斐紹、伊藤隼、釜元、陽川
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]遊:植田 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .200
〃打:大山 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .222
〃捕:長坂 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000
2]二:大和 (5-2-2 / 1-0 / 0 / 0) .273
3]中右:緒方 (4-1-1 / 1-1 / 0 / 1) .231
4]一:陽川 (4-2-2 / 0-1 / 0 / 0) .333
5]三:今成 (4-1-2 / 1-0 / 0 / 1) .167
6]指:狩野 (4-2-0 / 1-1 / 0 / 0) .444
7]左:伊藤隼 (4-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .364
8]捕:小豆畑 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 1) .000
〃打中:板山 (2-2-3 / 0-0 / 0 / 0) .333
9]右遊:森越 (4-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .500
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
福永 4回 64球 (2-1-3 / 2-2 / 4.50) 145
高宮 1回 31球 (2-0-1 / 1-1 / 9.00) 139
石崎 1回 15球 (2-1-0 / 1-1 / 4.50) 146
島本 1回 8球 (2-1-0 / 1-1 / 4.50) 140
山本 1回 18球 (1-0-0 / 0-0 / 0.00) 136
柳瀬 1回 22球 (1-0-1 / 1-1 / 4.50) 146
試合経過
打線は1回、2死から緒方が二ゴロ失策で出塁し、陽川の死球で一、二塁となって今成の中前タイムリーで1点を先制。しかし先発・福永がその裏に2四球などで2死一、二塁として5番・斐紹の中越え二塁打で2対1と逆転されます。すると2回表、中前打した狩野が伊藤隼の右翼線二塁打で一塁から生還!返球がサードへ行ったこともありましたが、かなり頑張って走ったはずです。そのあと森越の四球などで2死一、二塁となり、大和(右打席)が右前タイムリー。3対1と逆転します。
2回と3回は三者凡退、4回は先頭への四球と斐紹の右前打などでピンチを招きながら0点に抑えた福永。5回はまず阪神が、緒方の今季公式戦チーム1号でリードを広げました。続く陽川の強烈な打球がピッチャー・島袋の左手指先と肩に当たったようで降板(結果は中前打)、ここは1点止まりです。
その裏に登板した高宮が先頭・三森の三塁打、1死後にファースト陽川の野戦で1点返され、6回は石崎が下位の茶谷と三森に連打を許し内野ゴロで1点。またまた同点です。7回は島本が先頭の釜元に左翼線二塁打を浴び、斐紹の右前打などで1死一、三塁として遊ゴロの間に1点。ついに勝ち越されました。8回の山本は味方エラーや内野安打で1死一、三塁とし、2番・曽根がセーフティ気味のスクイズ。しかし小豆畑が捕って三本間に挟み、最後は山本がタッチしてアウト!
一方、6回から笠原に抑えられていた打線は、1点ビハインドで迎えた9回に猛攻を見せます。まず代打・板山が、代わった星野の初球を鋭く右前へ。続く森越はバントで、カウント1‐1となった3球目にバントの構えからヒッティング!打球が左前に抜け、板山は三塁に到達、バスターエンドラン成功です。1死後に大和がゴロを打ち、捕ったセカンドはバックホームするも少し逸れ、板山が素晴らしいスライディングを見せてセーフ!これで5対5。
そして緒方の四球で1死満塁となり、4番・陽川がレフトフェンス直撃の二塁打!2点を勝ち越します。さらに今成が右犠飛を打って、この回4点目。8対5とリードを広げるも、まだ終わりません。狩野と伊藤隼が連続で四球を選び、2死満塁となって板山がこの回二度目の打席。今度は右中間へ走者一掃のタイムリー三塁打を放ったのです!一挙7点を奪い、11対5。時刻は16時半をとっくに過ぎていました。
なお9回裏は逆転勝ちした1戦目と同じく柳瀬がマウンドへ。四球を与えた先頭・真砂に盗塁を許し、2死後に川瀬の右前タイムリーで1点を失っています。以上が阪神13安打、ソフトバンク10安打、3時間50分の戦い。阪神投手陣で唯一、無失点だった山本が1戦目に続いての白星で、もちろん最多の2勝です。
「課題の残る2勝1敗」と監督
試合後の掛布監督は「ソフトバンクさんのベンチの細かい指示で取る1点というのが、ボディブローのように効いて…。でも最後にスクイズを防げたっていうのが大きかったかな。9回はバスターエンドランで勢いがつきました。陽川もああいう形で打ってくれたし。細かい走塁のミスや守りのミスがある中で、9回のあのつながり。ほんと、もう森越につきますね!」と絶賛。
そのバスターの場面について「最初はバントで形を整えようとしたんですよ。でも1ストライク1ボールになったから、逆転を狙った方がいいとエンドランに切り替えた」と掛布監督。その次の球で即座にバスターを決めた森越選手は言わずもがなですが「板山の、あのギャンブルの走塁も素晴らしかった!」と振り返っています。
開幕3連戦を終え、掛布監督は「2勝1敗という形で終わったんだけど、よしと考えちゃいけないでしょう。課題の残る2勝1敗です」と締めくくり、次の戦いの場である広島へ移動しました。
3試合でリーグトップの6打点!
陽川選手は9回に決勝の2点タイムリー。「つながって、つながって回ってきたので、何とか自分も流れに乗るというか、流れを崩さないようにと思って打席に入りました」。この3試合でだいぶ上向いてきた?「徐々に上がってきていますが、まだちょっと打ち損じがあるので、そこを修正しないと。練習から意識してやっていくしかないですね」
4番を任されて「チャンスで回ってきたら、しっかりランナーを還すことを意識しています、いつも」と話すように、1試合目は2点タイムリー二塁打とタイムリーの2安打3打点、2試合目は遊ゴロで1打点、そして3試合目で2点タイムリー二塁打を含む2安打。早くも6打点とリーグトップです!
なお1戦目と同じく1回に死球(右手)を受け、これは問題なかったのですが、3回は左ひざに自打球を当てました。帰り際に聞くと「大丈夫ですよ」と言いながら、駅まで徒歩はきついとタクシーを選択。かなり痛かったようですね。なんといっても当たったのが「皿の部分」みたいで…。でも21日からの広島戦はしっかりフル出場すると思います。頼りになる4番ですから。
そして、リーグ1号は18日にソフトバンク・真砂選手でしたが、チーム初ホームランを放った緒方選手。「打ったのは真っすぐ。初球がスライダーで、追い込まれるまでは島袋の一番の武器、真っすぐを狙っていました。その球を一発で仕留められたのはよかったです」。センターバックスクリーンまで飛びましたもんねえ。
体が大きくなってパワーも…と言おうとしたら「それより、1打席目はヒットでしょう?」と。1回の打席で、ピッチャー返しの打球をセカンドが追いついたものの投げられず、というものでした。確かに、あれは取るのが精いっぱいで、送球していてもアウトにはならなかったでしょう。
9回だけで2安打3打点!
板山選手は9回に代打で出場し、大逆転の口火を切る右前打を放っただけでなく、好走塁で同点のホームを踏み、もう一度回ってきた打席では満塁の走者を一掃する三塁打と、とっても濃い活躍。「最終回の先頭バッターだったので、とにかく塁に出ること。それしか考えていなかったですね」。しかも初球打ち!「最近、甘いボールを見逃して難しいボールを打っているので、甘い球が来たら積極的にと思って準備はしていました」
なお三塁打は「みんなが作ってくれたチャンスに、甘い球が来たので」とのこと。それよりも野戦で同点のホームを踏んだ場面を挙げ「自分としてはサードからゴロで還ったのがよかったと思います。そういうサインが出て、大和さんが打ってくれて、いいスタートを切れました。ああいう1点は大きい」と言います。ベストタイミング?「そうですね。いいスタートを切れて、スライディングもうまくいった。練習でやっていることができました」
2回に勝ち越しタイムリーも放っている大和選手に、あのセカンドゴロが試合を決めたのでは?と聞いたら「あれはイタ(板山)のファインプレーです!僕は何もしていませんよ」と真顔で答えます。隣で板山選手はブンブンと首を振っていましたが、2人ともグッジョブ。ことしの打線は、つながる気がします。
初登板は4回2安打1失点
最後に、公式戦初登板で初先発だったルーキー・福永投手のコメントを書いておきます。所属していた四国アイランドリーグplus(徳島)では、ソフトバンク3軍と定期交流戦を行っているため、昨年もタマスタ筑後で登板経験があります。「6試合くらい、ここでやりました。2試合くらい投げたと思います」というわけで、気持ちはずいぶん楽だったでしょう。相手チームにも、昨年まで3軍戦主体で出場していた選手が何人かいましたからね。
前日に意気込みを聞いたところ「これからは1試合1試合の結果の積み重ねやと思うので、1球1球を大切に臨んでいきたいです!」という言葉が返ってきました。そして試合後は「先頭打者を早くアウトにしようとして、丁寧にいきすぎた」と反省。1回はボール先行の場面が多かったかな。とはいえ2回、3回は三者凡退に切って取り4回もピンチをしのいでいます。
「そのあとは、6回1失点、7回1失点を目指して投げました」という福永投手。安芸キャンプ序盤から実戦に登板するなど、期待が大きい即戦力投手です。オープン戦で投げる機会はなかったけれど、1軍のマウンドへ近づけるよう“1試合1試合積み重ねて”いってください。
そうそう、試合後はみんな着替えて広島へ移動するのですが、福永投手は登板予定がないため先に帰ります。マネージャーや他の方々から「気をつけて帰れよ」と声をかけられ「はい、気をつけて帰ります!」と笑顔で答えていて、とっても素直な受け答えに少しニンマリしちゃいました。