【アフリカツインの本格オフ仕様からスモールADVモデルまで】 EICMAで見えてきたオフロード新潮流
オフロード寄りに一歩踏み込んだコンセプト
イタリア・ミラノで開催中のEICMA2016(ミラノショー)には多くのニューモデルが出品されているが、その中でも注目したいのがオフロード系モデルの新たな動きである。
ホンダからはコンセプトモデル「AFRICA TWIN ENDURO SPORTS CONCEPT」が発表された。今春から日本でも発売されメディアでも絶賛された新型アフリカツインをベースにオフロード性能を進化させたエンデューロ・スポーツモデルで、随所にモトクロス・エンデューロマシン「CRFシリーズ」の軽量パーツを採用しているのが特徴である。
開発テーマの「Queen of the Off-Road」に相応しく、スタイリングは軽快でスポーティーなイメージを演出。無骨で男っぽい雰囲気が漂う他のビッグオフやアドベンチャーモデルとは異なる趣を持ったモデルとなっている。
ローマに拠点を置くHonda R&D Europe S.R.Lが製作したものだが、今春開催された東京モーターサイクルショーに参考出品された「アフリカツイン アドベンチャー スポーツ コンセプト」に比べても、さらにオフロード寄りに走破性と機動力が高められているのは一目瞭然である。
モトクロッサー「CRF」と「アフリカツイン」が融合!?
画像を見る限り、エンジンとメインフレーム、スイングアームなどの基本骨格は共通のようだが、前後サスペンションのストローク量が増えているのか車高はより高く、ロードクリアランスもより大きく設定されているようだ。ブレーキも前後ともシングルディスク仕様のより軽量タイプになっている。
また、スクリーンをはじめカウル類はよりコンパクトに、フロントフェンダーもCRFと同様のアッパーチューブに取り付けられるタイプとなり、シートとシートカウルも専用タイプに。テルミニョーニ製レーシングマフラーとブロックタイヤを採用するなど、より本格的なオフロード装備が与えられている。
そして、コックピットにはラリーマシンを思わせるオンボードコンピュータがマウントされ、ハンドルにはCRFのロゴ入りブレースパッドまで装備。
まさにCRFとアフリカツインが合体したようなメガエンデューロモデルに仕上がっている。
世界的なブームとなっているアドベンチャーツアラーでも主なステージはオンロードであるが、今回のコンセプトモデルはさらに一歩踏み込んだ領域まで攻めているマシンであり、多くのオフロードフリークが待ち望んでいたモデルの登場と言えそうだ。
「スモールアドベンチャー」ブーム到来の予感
ホンダからはこれ以外も、ダカール・ラリーで活躍中の「CRF450 RALLY」のフォルムを彷彿させる「CRF250 RALLY」や、アドベンチャースピリットにあふれるスタイリングと装備に加え、都市での快適な走行と利便性を高次元で融合させた新しいジャンルのモーターサイクル「X-ADV」が発表され、日本での発売計画もアナウンスされるなど、オフ系モデルの積極的な展開が目に付く。
一方、他メーカーからもスズキが「V-Strom(ストローム)250」を発表すれば、カワサキも「Versys‐X 300」を展示。BMWからはG310Rがベースの「G310GS」をお披露目するなど、250cc~300ccクラスの魅力的なデュアルパーパス(オン&オフ)モデルが目白押しだ。
これらの排気量は欧米ではスモールクラスに位置付けられる。今回のミラノショーでの発表、そしてグローバルモデルとしての展開を考えると、使い勝手の良い手ごろなデュアルパーパスモデルが世界的に求められているのかもしれない。「冒険」をキーワードにするならば、次は”スモールアドベンチャー”のブームが到来しそうな予感である。
※原文より筆者自身が加筆修正しています。