Facebook、ドイツ政府と協力してヘイトスピーチ、人種差別発言に対抗
Facebookはドイツ政府と協力してネット上でのヘイトスピーチ、人種差別発言に対して削除などを行っていく。
メルケル首相も2015年9月にFacebookに対して、ヘイトスピーチ、人種差別発言の投稿について対応の強化を促していた。またドイツ法務省は、Facebookに対して「性的な表現はすぐに削除されるのにヘイトスピーチ、人種差別発言の削除は遅い」と非難していた。両者はタスクフォースを形成して、地元のコミュニティとも協力しながらヘイトスピーチの投稿に対抗していく。ドイツ法務大臣のHeiko Maas氏は、ネット上で見つけた違法な表現はすぐに削除していくと述べている。
■ドイツで急増する移民・難民
ドイツでは今年に入ってから特にシリア、アフガニスタンからの難民が急増しており、2015年だけで80万人の難民・移民がドイツに流入してくると予測されている。東京都世田谷区と同じくらいの人口数の難民・移民が自国に入って来て、生活を始めるのだ。全員に仕事があるわけではない。受け入れるドイツとしても不安であろう。
たしかに第二次大戦中にナチスによるユダヤ人やロマの迫害から、ドイツでは難民・移民に対して寛大であり、受け入れる経済的余力も他のヨーロッパ諸国よりはあるが、このような難民・移民の存在に不安や不満を感じるドイツ人もいるだろう。またドイツ人だけでなく、以前にドイツにやってきた中東やアフリカからの移民らは、自分たちの仕事を新たに来た移民や難民に奪われるのではないかという不安を持っている人も多い。
新たに来た移民や難民は生活基盤の安定のために仕事が欲しいから、安い賃金でもいいから働きたいと思っているので、以前からドイツにいた移民らにとっても脅威である。ヘイトスピーチの意識がなくとも、そのような日常の不安、不満をネット上に書き込むことも多い。
■誰もが簡単にネットにアクセスできる
ドイツでは2015年7月に、ドイツのデータ保護監視機関がFacebookに対して、利用者が実名を使用することを強制できないと宣告している。つまりFacebook上で仮名を使ってのヘイトスピーチや人種差別発言を行える。
現在ドイツにいるほとんどの移民・難民はスマートフォンや携帯電話を所有しており、Facebookを多く利用している。携帯電話がないと生活や仕事にも支障が出てくるので、携帯電話は移民や難民だけでなく必需品である。移民・難民の多くは母国にいた時から、FacebookやMessengerを通じて、すでに欧州にいた家族や友人らと連絡を取っており、情報を得て欧州にやってきた人が多い。そのためFacebookやネット上でのヘイトスピーチや人種差別の発言にも容易にアクセスできる。
ドイツは第二次大戦のユダヤ人やロマの迫害という歴史を抱えており、ヘイトスピーチ、人種差別の問題には非常にセンシティブである。