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Uber、インドで相乗り「UberPool」をバンガロールで開始

佐藤仁学術研究員・著述家

インドのUberは2015年10月9日からバンガロールで乗合タクシー「UberPool」を開始した。Uberはスマートフォンのアプリで近くにいるタクシーを呼んで乗る配車サービスアプリである。従来は、1人または知っている者同士で1台のタクシーを利用していた。「UberPool」は同じ方向に向かう自動車に、知らぬ人々と乗って行く、いwゆる相乗りだ。その代り料金は35~40%安いとのことである。

■「相乗りだけど安心安全」のための新機能を追加

但し、インドでは2014年12月にデリーでUberに乗車した女性がレイプされて大きな社会問題になったことを忘れていない人が多い。そのため、Uberでは安心、安全の観点から乗車したくないという利用者の声を回避するために、「Help」ボタンをアプリに入れて、それを押下すると、Uberのセンターに繋がるようになっている。また運転手と利用者の電話番号を通じないで呼び出しと会話ができる仕組みもアプリに搭載した。

利用者はアプリで通常のUberと相乗りのUberPoolから選択ができる
利用者はアプリで通常のUberと相乗りのUberPoolから選択ができる

■インドでも競争激しい配車アプリ

Uberの相乗りサービスである「UberPool」は、インドでは初めてだが、アメリカ(サンフランシスコ、ニューヨーク、オースティン、ロサンゼルス)、フランス(パリ)では導入されており、それら都市での経験とアルゴリズムからインドでの導入にも自信を見せている。Uberがインドでの相乗り「UberPool」をバンガロールで開始したのは「バンガロールはIT企業が多く、スマートフォンでの配車や、Uberの利用に慣れている人が多いからだ」とUberインドのBhavik Rathod氏はコメントしている。

たしかにバンガロールはかつて「インドのシリコンバレー」と言われていた時期もあったが、現在ではインドの多くの都市にIT企業が存在しているので、バンガロールがITに強い都市というイメージはない。

インドでのUberのライバルであるOlaも同様の相乗りサービスを検討している。これからインドでは配車アプリでタクシーを呼ぶときは「相乗りだけど安い」と「安心だけど高い」の選択になるかもしれない。

そして「相乗りだけど、安全で安い」になればインドでも「UberPool」の利用は普及するだろう。

(バンガロールの街角。通勤時は渋滞)
(バンガロールの街角。通勤時は渋滞)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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