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Google、2017年までにドローンで配送:無人機が日用品を宅配してくる時代に

佐藤仁学術研究員・著述家
(Google)

Googleの持ち株会社Alphabetは2015年11月2日、2017年までにドローン(無人機)による商品配送を開始することを明らかにした。

ドローンでの配送プロジェクト「Project Wing」の責任者Dave Vos氏は、米連邦航空局(FAA) とドローン飛行について航空管制システムの設置、インターネットによる高度152メートル以下の飛行制御などについて協議しているとのこと。

Googleは2015年4月にニューメキシコ州に拠点を置くドローン開発企業Titan Aerospaceを買収した。買収当初は「Google Maps」や「Google Earth」での航空画像の収集と提供を目的としていると報じられていたが、配送での活用となりそうだ。

■アマゾン、ウォルマートなど小売業者が続々参入するドローンでの配送

アメリカではドローン配送をめぐっての競争は既に始まっている。

アメリカ最大のネットショップであるアマゾンは2013年12月にドローンでの配送サービス「Amazon Prime Air」を発表した。当時早ければ2015年にはスタートする計画だったが、まだ商用化には至っていない。2015年3月にFAAはアマゾンに試験飛行許可を取得し、実用化を目指している。アメリカ人にとって「アマゾンはネット・ショッピングの代名詞」のようなものである。

また、アメリカの小売り最大手のウォルマートも2015年10月末にドローンを活用した配送への進出を目指して、FAAに実験の許可を申請した。アメリカ人にとって全米に5,000店舗以上ある「ウォルマートはスーパーマーケットの代名詞」のようなものである。ウォルマートの広報担当者によると「アメリカ人の70%はウォルマート店舗から約8キロ圏内に住んでいるため、店舗からドローンでの配達は需要がある」とコメントしている。

GoogleもアメリカでCostcoやToys R Usなど大手小売りと提携して「Google Express」という即日宅配サービスをカリフォルニア、ニューヨーク、シカゴ、ボストン、ワシントンDCなどで提供している。年額95ドル(または月額10ドルあるいは1注文ごとに4.99ドル)で即日配送サービスを行っており、Eric Schmidt会長も2014年10月に「アマゾンがライバル」と公言している。

ドローンの商用化に向けては、まだ解決しなくてはならない問題や規制が残存している。FAAはドローンの商業利用の最終報告は2016年前半に決定される予定なので、ドローンによる配送の商用化はそれ以降になるが、既にドローンによる配送サービス競争は始まっている。ドローン(無人機)が日用品を自宅まで配送してくれる時代はすぐそこにまで来ている。

▲Googleの「Project Wing」のオーストラリアでの実験時の動画。上空から物資を落としている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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