Google、インド全土の400駅で「無料Wi-Fi提供」まず10駅で:ネット未接続10億人市場
インド出身のGoogleのサンダー・ピチャイCEOは2015年9月に、自身のブログでインド全土の400の鉄道駅にWi-Fiを敷設することによって、高速インターネットへのアクセスを可能にすることを明らかにした。Googleはインド政府が推進しているインドのデジタル化を促進する「Digital India」を支援している。
ムンバイ駅に始まり、インド10駅でWi-Fi提供開始
Googleは、インド鉄道(Indian Railway)と鉄道向け通信事業者Railtelと協力して、まず2016年末までに利用者の多い100駅にWi-Fiを敷設していく予定である。この100駅での1日1,000万人以上が利用している。2016年1月にはムンバイ中央駅で無料Wi-Fiの提供を開始し、2016年4月には9駅で提供が開始され、これでインド鉄道の10駅で無料Wi-Fiが整備された。
最終的にはインド全土で400駅で高速インターネットにアクセスできるWi-Fiを敷設していき、無料で提供される予定。これが完備されると、世界最大規模の利用者をかかえるWi-Fiサービスとなる予定だ。
ネット未接続者が10億人もいるインド市場が欲しいGoogle
人口約13億人のインドではここ何年かで1億人以上が初めてインターネットにアクセスできるようになった。それでもまだ、インドでネットに接続できるのは約3億人だけだ。つまりまだ10億人以上がネットにアクセスできない環境にいる。
Googleの収入の90%以上は広告である。広告収入をさらに増加させるためにも多くの人に利用してもらう必要がある。そして多くの人が利用することによって、利用者の情報も吸い上げることによって、利用者に応じた広告配信も行うことができる。
Googleはインドで積極的にGoogleサービス利用の促進を行っている。例えば英語だけでなくインドのローカル言語への対応や、今後はオフラインでも利用できるYouTubeやGoogleマップの提供も検討している。
Googleが欲しい広告収入、決して慈善事業ではない
どれだけGoogleのサービスを充実させても、インターネットへアクセスするインフラが整備されていなければ、Googleのサービスは利用してもらえない。Googleのサービスが利用されないということはGoogleにとっては広告収入の増加につながらない。「誰もがネットに接続できる」ことがGoogleの収入源である「ネット広告にとって最低限の条件」である。
さらにそのインフラに無料または廉価でアクセスできることが重要だ。インドではデータ通信もプリペイドで利用している人が多いことから、データ通信費用にもセンシティブである。無料でWi-Fiが利用できることにメリットはインド人にとっても大きく、Googleの提供するサービスへアクセスする機会も増え、それは広告収入増につながる。Googleは決して慈善活動で無料Wi-Fiの提供をしているのではない。
▼ムンバイ駅での無料Wi-Fi提供を伝える動画(Googleインド)