新興国向けアプリ「Facebook Lite」利用者2億人突破:利用者急増の新興国、次の課題は売上増
Facebookは2017年2月9日に、新興国市場をターゲットにした軽量版アプリ「Facebook Lite」が2億人を突破したことを明らかにした。2015年6月のリリースから約9カ月後の2016年3月に1億人を突破し、約1年後の2017年2月に2億人を突破した。
Facebookの軽量アプリ「Facebook Lite」
「Facebook Lite」はFacebookの軽量版Android向けアプリだ。アプリのデータサイズは1Mバイト未満で、インストールやデータの読み込みが速いことが特徴。アフリカやアジア諸国の新興国で、現在でも2G回線が主流で利用されている地域でも簡単に利用できるように設計されている。スマホの空き容量が252KBあればよいので、ローエンドのスマホを利用している新興国市場の人でも使いやすいアプリとなっている。利用できる機能は通常のFacebookとほとんど同じ。バングラディッシュ、ベトナム、ナイジェリア、ネパール、南アフリカ、スーダン、スリランカ、ジンバブエの8か国からスタートし、現在では世界中で利用できる。
利用者急増の新興国市場、売上は欧米に依存のFacebook
Facebookは新興国で大人気だ。全世界で18億6,000万人が利用しているFacebookだが、アジア太平洋地域での利用者が6億7,300万人(多くがインド、インドネシア、バングラディッシュ、パキスタン、フィリピンなど)でその他の地域が6億600万人で、全世界のFacebook利用者の約7割がアジアやアフリカ、中南米などの新興国地域だ。
だが、売上のほとんどは北米市場と欧州に依拠している。Facebookの2016年Q4(10~12月)の売上のうち半数以上の51.7%が北米で欧州が23.4%と、この地域だけで全世界の売上の75%を占めている。利用者の70%がアジアなどの新興国地域だが、売上に占める割合は25%程度で、アジア以外の地域では10%未満だ。この売上の構造は長年変わっていない。Facebookの売上は98%以上が広告収入だ。利用者が急増している新興国地域での売上も高めていきたいところだ。
Facebookは新興国市場を無視することはできない。新興国でもスマホは急速に拡大している。1台30ドルくらいの中古スマホも大量に流通してきた。インド、フィリピン、インドネシアなど新興国でも地場メーカーのスマホや中国製の廉価なスマホも大量に販売されている。
そして新興国の人たちはFacebookが大好きだ。暇さえあればスマホで、Facebookのニュースや友達の投稿をチェックしたり、行ったレストランにチェックインしたり、写真を撮ってはアップしている。他にもメッセンジャーでも頻繁にテキストメールのやり取りをしており、従来のショートメッセージ(SMS)よりもFacebookでのメッセンジャーの方が多く利用しているという若者も多い。
もはや新興国ではFacebookがスマホの「ポータル」になっている。そのため最近問題になっている「偽ニュース」も簡単に信用してしまうという別の課題も出ているが、新興国ではスマホで「まずチェックするのがFacebook」だ。ソーシャルメディアとしては世界一で、この分野においては他に敵のいないFacebookだが、そろそろ新興国市場での売上を拡大していくフェーズに来ている。