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サムスン:インドで話題のYouTube広告、インド最速で1億回再生突破

佐藤仁学術研究員・著述家
(Samsung India)

サムスン・インドが2016年12月末にYouTubeで公開した広告動画が、約2か月後の2月23日に1億回再生を突破した。インドでのYouTubeの広告動画で1億回再生を突破した期間としては最速だそうだ。

「感動的」でインドで人気のサムスンの動画広告

以下にインドで最速で1億回再生を突破したサムスンの動画を掲載しておく。

サムスンのエンジニアが修理の依頼を受ける。「今日の7時までに来て、テレビを直せる?」との依頼に、バンに乗って山奥の家まで道なき道を走りながら、テレビの修理をしに行く。その家でエンジニアを待っていたのは目の不自由な女性だ。そしてテレビを修理すると、2Fから多くの目の不自由な子供たちが降りてきて、テレビを見る。そのテレビでは歌番組をやっており、そこに映っているのは、かつてその施設にいた子供というストーリー。この動画が「感動的だ」とインドでは話題になっている。

YouTubeだけでなく全インドの50以上のテレビ局でも流しているようだ。人口12億人を超えるインドではスマホも相当に普及しており、FacebookやTwitterなどSNSでも多くシェアされており、わずか2か月で1億回再生を突破した。

サムスン・インドのYouTube動画広告は感動的な内容が多く、インド人に人気がある。インドのスマホ市場でシェア1位のサムスン・モバイル・インディア(Samsung Mobile India)のYouTube動画広告は「Smart Class(スマートクラス)」をテーマにしており、3,600万回再生されている。

サムスンがインドで訴求したい「信頼できるブランド」

サムスンにとってインドは非常に重要な市場の1つで、サムスン・インドはニューデリー近郊のノイダにある白物家電やスマホの工場での生産能力を2019年末までに2倍にする計画を明らかにしている。現在サムスン・インドではインド全土で4万人が働いている。

今回1億回再生を突破した動画広告は、サムスン・インドが2016年10月から開始したサービス。サムスン・インドではインド全国に3,000以上のサービスポイントがあり、535台のバンがあって、動画のシーンのようにエンジニアがどこにでもテレビやサムスンが提供している家電などの修理に駆け付けるようだ。

サムスンが提供している家電やスマホなどは、コモディティ化が進み、市場での競争はますます激しくなっている。スマホメーカーとしてもインドでは有名な地場メーカーのMicromax、 Intexもテレビ市場ではサムスンのライバルだ。あらゆる家電やデジタル製品は、製品それ自体での差別化は難しくなっている。そのため価格競争は激化し、各社がブランド力の強化を図っている。

サムスンの広告動画で訴求しているような「全国のどこにでも、素早く修理に駆けつける」といったサービスの差別化や「信頼性できるブランド」の構築が必要になっている。

サムスン・インドのCMOのRanjivjit Singh氏は「今回の動画でサムスンの信用性あるブランドをアピールできて嬉しい。タイムリーなサービスを提供することによって、顧客との長期的な信用関係を築いていきたい」とコメントしている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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