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日本ならどうする?強打者に美女ゴルファー、チアドルまで!韓国スポーツ界、タトゥーに賛否両論!!

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
プレミア12でも活躍したパク・ビョンホもタトゥーを入れている。(写真:ロイター/アフロ)

今季は8名の韓国人選手を送り込んでいることからMLB(メジャーリーグ・ベースボール)への関心がいつになく高い韓国。そのうち6人が打者であることから「2016年メジャーリーグ“韓打日投”」『京郷新聞』)とまで報じられたことは、以前このコラムで紹介したが、4月は韓国人打者たちの明暗が分かれた。

今季メジャーリーグは日本人が投げ、韓国人が打つ!? ヤフーニュース個人 16/04/07

まず、チュ・シンス(テキサス・レンジャース)、カン・ジョンホ(ピッツバーグ・パイレーツ)ら既存のメジャーリーガーたちは揃って負傷中で出場なし。今季からアメリカに渡った元ソフトバンクのイ・デホ(シアトル・マリナーズ)は打率0.280、本塁打2本に止まっているし、韓国時代は“安打製造機”と呼ばれたキム・ヒョンス(ボルチモア・オリオールズ)も15打数9安打を記録したものの4月は6試合出場に止まった。

そんな中で唯一、気を吐いたのが今季からミネソタ・ツインズでプレーするパク・ビョンホだ。4月は19試合に出場して打率0.227、本塁打6本を記録した。パク・ビョンホは韓国時代に4年連続のホームラン王&打点王(2012年〜2015年)に輝き、一昨年と昨年には2年連続50本塁打を記録した韓国球界屈指の強打者だが、シーズン序盤で早くもその実力を示したことになる。昨年11月の『プレミア12』でも韓国代表の主軸を務めていたので、記憶している日本の野球ファンも多いはずだ。

このパク・ビョンホ。その長打力と合わせてもうひとつ有名なことがある。打席に立った彼を見たことがあるならわかると思うが、左腕・前腕部に刻まれた派手なタトゥーだ。炎に包まれた剣が描かれており、かなり強烈なインパクトがあるが、彼の体に刻まれたタトゥーはこれだけではない。右腕上腕部には虎のタトゥーも刻まれている。韓国メディアによると、彼は毎年ひとつは体にタトゥーを刻んでいるらしいのだ。

タトゥーと言えばオシャレな感じがするが、韓国では入れ墨のことを「文身(ムンシン)」と呼ぶ。儒教が生活宗教して深く浸透している韓国では、今でも「親からもらった身体を傷つけてはならない」という認識があり、タブー視する者も多い。テレビのドラマやバラエティ番組などで“文身規制”、すなわち“タトゥー規制”があるほどだ。

だが、タトゥーが若者世代たちの間でファッションの一部となっている近年は、芸能人だけではなく、身体が資本であり肌の露出が多いスポーツ・アスリートたちの間でもタトゥーが流行している。サッカーでは引退したアン・ジョンファンやチャ・ドゥリのタトゥーが有名だし、パク・ビョンホと同じメジャーリーガーではカン・ジョンホが左足に自らの似顔絵のタトゥーを入れていることで知られている。

しかも、男性スポーツ選手だけではなく、最近は女性アスリートたちもタトゥーを入れることを躊躇わない。

例えば韓国女子プロゴルフ界屈指の美女ゴルファーと呼ばれるアン・シネも、一見するとわからないが目を凝らしてよく見てみると左足首の内側に星印のタトゥーを入れているのだ。

(参考記事:特写23連発!! ミニスカートでプレーするアン・シネのセクシーな一挙手一投足

また、韓国プロスポーツの現場では欠かせぬ花形アイドルとされるチアリーダーたちの中にも、タトゥーをしているチアドルがいるらしい。肌の露出がある衣装をまとい、エネルギッシュなパフォーマンスを披露するチアリーダーたちは、ファッションにも敏感なだけにタトゥーもひとつの個性として楽しんでいるのもかもしれない。

ただ、チアリーダーたちは健康的でフレッシュなイメージが売り物だけに手放しで喜ばない人々もいる。以前、とあるチアリーダーのタトゥーが発見された写真は韓国のネット住民やチアドルファンたちの間でかなり賛否両論を呼んだ。

(参考記事:発見撮7連発!!愛くるしい笑顔と健康イメージで人気のチアドルにまさかのタトゥー!!)

(参考記事:スクープ撮!! ネットを騒然とさせた人気チアリーダーの腰に咲く“情熱の赤い薔薇”)

アン・シネは「スターになりたい」という意味を込めて星型のタトゥーをし、チャ・ドゥリは家族への愛を込めてタトゥーを入れたという。それぞれ理由や経緯があるわけだ。パク・ビョンホも2012年に当時テキサス・レンジャースに所属していたジョシュ・ハミルトンに影響を受け、左腕のタトゥーを入れたらしい。

ただ、前出した通り、韓国ではまだまだ賛否両論が絶えない。アン・ジョンファンもトーク番組に出演した際に、「過去に文身を入れたことを後悔している。若い頃はカッコ良よく見えたが、最近は子供たちから“絵なのか”とからかわれる」と語っている。

意外かもしれないがアン・ジョンファンは現在、テレビタレントとして独特のキャラを放ち、言わば日本の松木安太郎氏のようなポジションにあるとか、ないとか。そんなこともあって「今となっては文身を消したい。消してほかの文身を入れたい」と笑いも誘っているが、スポーツ選手のタトゥーは今でもやはり何かと話題になる。

「スポーツ中継では文身規制がないことを利用して、わざとカメラに映る腕に文身を入れている。子供の教育によくない」との指摘がある一方で、「いやいやタトゥーは選手たちの自己表現方法のひとつ。個性を大事にすべきだ」との意見もある、韓国スポーツアスリートたちのタトゥー。ただ、パク・ビョンホがMLBで今後も活躍すれば、左腕のタトゥーは彼の代名詞になるだろう。強打者の豪腕の証として――。

(参考記事:存在感のアピールか!? 韓国スポーツ界にタトゥーブームが起きているワケ

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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