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ついに決着か!?韓国の現役プロ野球選手vs人気チアドルの名誉毀損トラブル

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
釜山ロッテの人気チアドル、パク・キリャン(写真:SPORT KOREA)

昨年12月に韓国プロ野球界でちょっとした騒ぎになったトラブルにひとつの決着が下された。7月8日、韓国の水原地裁は韓国プロ野球KTウィズのチャン・ソンウに対して、「一審の宣告が妥当」として、控訴審でも罰金700万ウォンを宣告した。チャン・ソンウは名誉毀損容疑で起訴されたのだが、その相手は韓国プロ野球界の“ナンバーワン・チアドル”パク・キリャンだった。

パク・キリャンは釜山ロッテ・ジャイアンツのチアリーダーで、チャン・ソンウもかつては釜山ロッテ・ジャイアンツ所属。言わば元同僚だったわけだが、チャン・ソンウと交際していた女性が破局の腹いせに、チャン・ソンウと交際中にやり取りしていた内容をSNSで公開。そこには監督、コーチ、選手はもちろん、パク・キリャンらチアリーダーたちへの暴言や悪口も含まれており、「チアリーダーたちは私生活が乱れている」という風評を世に広めてしまった。

(参考記事:私生活が乱れている!? パク・キリャンの“素顔”を暴露したプロ野球選手が起訴!!)

ただ、それは大きな間違いだった。というのも、そもそも韓国球界では選手とチアリーダーがコミュニケーションすることが禁じられている。直接話すことはもちろん、連絡することも禁止されているだけに、パク・キリャンにとってはまさにとばっちりだった。

まして最近は新しいチアドルたちが次々と登場している。“チアドル3大女神”とされるパク・キリャン、イ・スジン、キム・ヨンジョンだけでなく、最近ではKIAタイガースの“恍惚ダンス” チェ・ミジンが人気で、SKワイバーンズの“乱れる長髪女神”イ・ハングルも、“チアドル”のニューフェイスとして注目を集めている。

そんなこともあってパク・キリャンは一時メディアへの登場を控えた時期もあった。6月に彼女に独占インタビューした内容は本欄でも紹介したが、そのときに話を聞いたパク・キリャンの関係者によると、彼女はかなり心的ストレスを抱えていたらしい。

パク・キリャンがもっとも責任を感じていたのは、今回の件でチアドルのイメージが悪くなること。「チアドルという職業を世間に認めてもらい、後輩たちのためにも新しい道を切り開いていきたい」と語っていたパク・キリャンにとって、とばっちりとはいえ自分のせいでチアドルのイメージが悪くなることは許せなかったのだろう。それが今回の名誉毀損の申し立てに繋がったことは想像に難なくない。

(参考記事:【独占インタビュー】韓国NO.1チアリーダー、パク・キリャンの素顔)

もっとも、チャン・ソンウにとっても今回の件は痛手となった。そもそも今回は身から出た錆でもあったが、前出した通り法的な罰金刑を言い渡されただけではなく、すでにKBO(韓国野球委員会)や所属するKTウィズからも処罰を言い渡されている。

KBOから下されたのは今季の公式戦50試合出場停止と罰金2000万ウォンの処分。KTからは青少年野球普及活動120時間と社会奉仕活動120時間を課せられた。チャン・ソンウはいずれもしっかりと消化しており、6月1日には50試合出場停止処分も解けた。

今回の控訴審で法的にも決着がついたことで、ようやく復帰のめどがついた。今季はフューチャーリーグ(2軍リーグ)で調整を進め、最近は腰を傷めて様子を見ているそうだが、体調が復活すれば、1軍復帰の日もそう遠くはないだろう。

1軍復帰すれば、パク・キリャンが所属する釜山ロッテ・ジャイアンツとの試合もある。そのときはふたたびメディアの注目を浴びそうだが、チャン・ソンウはグラウンドで黙々とその役割を果たすことだろう。パク・キリャンもきっと、いつものように汗だくになりながら踊って選手たちに声援を送り続けるに違いない。

(参考記事:写真15連発!! 韓国一の美女チアリーダー、パク・キリャンに急接近!?)

現役プロ野球選手とチアドルの名誉毀損トラブル。いずれにしてもひとまず決着がついてもっとも安心しているのは、韓国の野球ファンたちだろう。最近はメジャーリーガー、カン・ジョンホの性的暴行容疑発覚で大きなショックを受け、気を揉んでいるだけに、余計に一安心しているかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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