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韓国ではアイドルの「アスリート化」!? SMエンタの“体育ドル”たち

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国サッカー界の英雄パク・チソンと抱き合うSHINeeのミンホ(写真:ロイター/アフロ)

東方神起や少女時代を輩出し、韓国最大の芸能プロダクションとしてその名を日本でも轟かすSMエンターテインメント。最近はSHINeeやEXOなども人気だが、そのSMエンターテインメントが8月下旬に創立20周年を記念して、ハワイで大規模なワークショップを行うらしい。

前出のグループたちはもちろん、BoAやSUPER JUNIORなど所属タレントはほぼ全員参加で、会社社員なども含めた総勢350人規模でハワイでのワークショップを行うというのだから、さすがSMエンターテインメントといったところだが、このニュースが明るみになって困っている人たちがいるという。

韓国民放テレビ局MBCの関係者だ。同局は『アイドル陸上選手権大会』という人気プログラムを実施してきた。陸上競技だけではなく水泳、フットサル、アーチェリーなども行う、“芸能人大運動会”のようなものだ。

(参考記事:チャンミンやク・ハラも大活躍、韓国で芸能スポーツ番組が盛んな理由

この『アイドル陸上競技大会』は毎年、秋夕(チュソク)の時期に放映。秋夕とは陰暦の8月15日(中秋節)を指し、韓国では旧正月と並ぶ名節で帰省ラッシュとなる。いわば日本のお盆休みのようなもので、『アイドル陸上競技大会』は家族団欒で楽しめる秋夕プログラムの定番とされている。

そして、この『アイドル陸上競技大会』で欠かせぬ活躍を見せてきたのがSMエンターテインメント所属のアイドルたちでもあった。

例えばSHINeeのミンホだ。父親がサッカーの元韓国代表で現在はKリーグ・チャレンジ(2部リーグ)の江原(カンウォン)FCの指揮するチェ・ユンギョム監督というスポーツ・サラブレッドのミンホは、『アイドル陸上競技大会』の常連で、サッカーはもちろん、陸上、水泳、バスケ、野球、ゴルフなど、スポーツ全般でかなりの実力を誇り、“韓国を代表する体育ドル”と呼ばれている。

(参考記事:歌とダンスだけじゃない!? 韓国男性アイドルたちの特技

体育ドルとは、文字通り「体育に優れているアイドル」という意味の造語で、スポーツ万能のアイドルたちは “チェユク(体育)ドル”や“ウンドン(運動)ドル”とも呼ばれているが、ミンホは「韓国を代表する体育ドル・ランキング」1位にも選ばれているほどなのだ。

このミンホだけではなく、SMエンターテインメント所属のガールズグループの中にも“体育ドル”は多い。f(x)のクリスタルは、父が元ボクシング選手で母は元体操選手というサラブレッドであるし、ルナは『アイドル陸上競技大会』の走り高跳びで優勝したこともある。

(参考記事:もっと好きになっちゃう!! フロ顔負けの韓国女性“体育”ドルたち

もっとも、そんなSMエンターテインメントの“体育ドル”たちも、今回の『アイドル陸上競技大会』には参加できないらしい。『アイドル陸上競技大会』の収録時期が8月下旬で、冒頭で紹介したハワイでの大規模ワークショップと時期が重なってしまうからだそうだが、それが記事としてしっかり報じられているのだから面白い。

「今年の秋夕の『アイドル陸上競技大会』でSM選手は見られない」(『STAR NEWS』)。まるで本物のアスリートのような扱いだが、楽しみにしていたファンからすれば残念なニュースなのだろう。番組関係者も今年はリオ五輪後の開催だけに、オリンピックの熱狂が『アイドル陸上競技大会』にもたらされることに期待していたようだ。

ちなみにそのリオ五輪への韓国人の関心度が、思いのほか低いというデータも明らかになっている。なんでも前回ロンドン五輪はもちろん、2年前のブラジル・ワールドカップよりも低かったらしい。『アイドル陸上競技大会』もいいが、大会開幕の日が刻々と迫るリオへの関心も高まればいいのだが……。

(参考記事:これは意外!? ブラジルW杯よりも低い韓国人のリオ五輪への関心度

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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