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大人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のリメイクの可能性はあるか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
TBS『逃げるは恥だが役に立つ』HPより

「ドキドキ、ソワソワ、ムズムズするのがいい」「星野源の『恋』をユーチューブで偶然知ってドラマを見るようになったのだけど、面白すぎる」

「みくりと平匡の微妙な感情ラインをなぜか手に汗かいて見てしまう」。「最初は主役の星野源がイケメンでなくちょっと失望したが、回を重ねるごとに魅力的に見えてくるのはなぜ?」「ガッキーが可愛すぎる。彼女こそ日本の女神だ」

これらは韓国のネット上に書き込まれていたTBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の視聴レビューだ。

日本でも高視聴率をマークしている『逃げ恥』が、韓国のケーブルテレビ局チャンネルWで放映されていることは以前紹介したが、日本同様にその人気は回を重ねるごとにうなぎ上りらしい。

(参考記事:『逃げるは恥だが役に立つ』が実は韓国でも注目されているワケ

韓国では1週遅れの放映となるが、新垣結衣演じるみくりと星野源演じる平匡が温泉一泊旅行に出かけた第6回についても、「ガッキーもたくさん笑顔でかわいく、とても面白かった」「まさか最後にあんなキス・シーンが待っているとは思わなかった」と、韓国の視聴者たちも驚きを隠せないようだった。

それだけに日本で昨日放映された第7回に対する反応も楽しみだが、興味深いのは韓国の『逃げ恥』ファンの間で早くも韓国でのリメイクが議論されていることだ。

日本ドラマ好きが集まるとあるコミュニティでもこんな書き込みがあった。

「強引にラブストーリーに仕立てる韓国ドラマとは比較にならないほど面白い。こういうドラマを韓国のテレビ局もリメイクすべき」や、「35歳の独身男、就活に失敗した妄想女、世話焼きの叔母に優雅な独身貴族など、韓国でも通用するキャラ設定がいい」など、『逃げ恥』のリメイクを推す声が意外にも多いのだ。

その可能性は決してゼロではないだろう。というのも、韓国ではこれまでも多くの日本ドラマがリメイクされてきた。韓国の日本ドラマ・リメイクブームを作ったのは、同じくTBS系列の『花より男子』だったということも追い風になるかもしれない。

(参考記事:韓国でリメイクされた日本のドラマを一挙紹介。最近はあのドラマまで!?

さらに言えば、最近も日本ドラマがリメイクされている。夏にはフジテレビ系列で放映された『最後から二番目の恋』が韓国の民放テレビ局SBSでリメイクされているし、この秋には2007年に日本で放映された『今週、妻が浮気します』を原作とする『妻が浮気します』が、ケーブルテレビ局JTBCで放映されて好評を得ている。

同ドラマには、日本でも人気の歌手BoAが“干物女”のイメージを見事に演じて、「ハマリ役だ」と絶賛されているほどだ。

また、ケーブル局tvNがドラマ『Mother』のリメイクを発表。2017年のオンエアを目指してキャスティングの物色に入ったことが韓国メディアで報じられている。

韓国のテレビ局や制作会社が日本のドラマをリメイクする背景には、単に作品の質への評価や題材の面白さだけではなく、日本への逆輸入も見越した韓国テレビ業界のしたたかな思惑も働いているとも言われるが、そういった流れを考慮すれば、『逃げ恥』の韓国リメイクも十分に可能性があるというわけだ。

そして、そうした気運が高まれば高まるほど、ファンが妄想を働かせるのは『逃げ恥』韓国版の希望キャスティングである。

風見さん役は韓国でも人気の大谷亮平が演じることを希望する声が多いが、新垣結衣演じる森山みくり役と星野源が演じる津崎平匡の主演ふたりに関してはさまざまな意見がある状態だ。

個人的には、韓国で活動し「日本から来た女神」「清純のアイコン」とも称される日本人タレントの藤井美菜を主役に抜擢するのも面白いのでないかと思ったりもする。

“偽装結婚”は彼女が韓国ブレイクのきっかけとなったバラエティ番組『私たち結婚しました』で経験済みだし、韓国でリメイクされる日本ドラマに日本人役者が出演することほど、痛快なことはないのではないか。

いずれにしても韓国では日本ドラマだけではなく、ジブリ作品などアニメも人気でファンたちの間でさまざまな妄想や議論が巻き起こる。それだけ日本コンテンツの支持が高い証拠でもあるが、果たして『逃げ恥』も韓国ファンに真に愛されるドラマとなるだろうか。

(参考記事:韓国の映画ファンが評価するジブリ作品のベスト10とワースト1位は?

韓国のファンたちの間では、「際立った悪役やイヤなヤツがいないことがいい。登場人物がすべて日本人にありそうで、らしい。日本の良心が全部集まっている」とも言われている『逃げ恥』。

日本の視聴者同様、韓国のファンたちも今後の展開に注目していることだけは間違いなさそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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