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イ・ボミが韓国メディアに明かした「今の悩み」と「日本成功の秘訣」を読み解くと?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真提供=KLPGA)

2年連続の賞金女王に輝いたイ・ボミ。今シーズンは賞金女王に加え、平均ストローク、パーオン率、パーセーブ率でもトップを記録した。まさに名実ともに日本女子ツアーを代表する選手になったと言ってもいいだろう。

日本だけではなく当然、韓国メディアもイ・ボミに注目している。2年連続の賞金女王が確定したときも各種メディアが報じていた。ただ日本に比べると若干、韓国メディアは辛口な印象もあるのだが、イ・ボミは帰国早々に韓国メディアのインタビューに答えている。インタビューを行ったのは『聨合ニュース』だ。

インタビューで今シーズンを全体的に振り返ったそのイ・ボミ。今シーズンの点数を問われると、「120点と言いたいところですが、そのまま100点にします。100%満足しています」と答えている。

「練習量は多いほうなのか」と問いかけている記者に対しては「そうではないと思います」とコメント。ショットの練習よりも体を作ることを重視していると話した。具体的にはこうだ。

「ウエイトトレーニングよりも、体のバランスや弾力のある筋肉を作って維持することに力を入れています。ピラティスやバンド運動、バランスボールを使った運動を主にしています。シーズン中も毎週火、水曜日は必ず1時間ずつ運動していました」(『聯合ニュース』インタビューより)

韓国では近年、若い女性たちの間でピラティスが大流行しているが、それをいち早く取り入れているところはいかにもいまどきの女性らしい。

(参考記事:“マッスル美女”の次は“ピラティス美女”へ!? 中身も問われる韓国フィットネス市場)

日本ではあまり聞いたことのない質問や答えが出ているのも、韓国メディアならではだろうか。

例えば、年齢についての質問があった。というのも韓国の数え年でイ・ボミは、来年30歳になるのだ。

年齢についてはイ・ボミ本人も意識しているようで、「30歳を迎えて新しいスタートラインに立つ感じもします。女性の30歳となると体にも変化が出てくると聞きます。たとえ飛距離が下がっても、ショートゲームをもっと頑張って挽回すると誓います(笑)」と答えている。

また、今現在の悩みについても聞き出しているのだから、興味深い。

なんでもイ・ボミは最近、左の奥歯を一本、抜いたらしい。ただ、その横の歯も良くないらしく、抜く必要があるというのだ。

「それを抜いたら、左の奥歯が全部なくなっちゃう。痛くないのに抜かなければならないのか、でもそのまま置いとくのも…。病院に行って決めなければならないのですが、そんな時間もあまりないですし。歯を喰いしばってゴルフをするから悪くなったのかな?(笑)」(『聯合ニュース』インタビューより)

韓国メディアのインタビューということでリラックスしているのだろうか。振り返れば、去る7月、イ・ボミは韓国女子ツアーの大会に出場していたが、そこでも韓国カメラマンにリラックスした姿を見せていた。

(参考記事:イ・ボミ完全密着!! 韓国カメラマンだから撮れた4日間フォトギャラリー

そんなイ・ボミは早くも来年の目標についても言及。「最優先の目標」として、平均ストロークの「60台」を挙げている。また、メジャー大会優勝も、目標のひとつとしてあげた。

実力だけでなく、人気の面でも日本女子ツアーの代表といえるイ・ボミ。イ・ボミの成功を追うように、現在、韓国ゴルフ界の“超絶セクシークイーン”と言われるアン・シネや、“8頭身美女ゴルファー”として有名なユン・チェヨンらがファイナルQTを受けて日本ツアー参戦を目論んでいる。

そんな彼女たちにエールを送るように、日本で成功した秘訣について、こう語った。

「成功の秘訣は日本語です。私はできても、できなくても日本語でしゃべろうと努力をしました。上手くなくても、みんな見守ってくれました。どの国のツアーをプレーするうえでも言葉は大切だと思う。最初は日本語の敬語と友達口調の区別がつかずに苦労しました。それでも続けていたら、少しずつ上手くなるんですよ」(『聯合ニュース』インタビューより)

ちなみに、同インタビューは、京畿道・水原にある「イ・ボミ スクリーン ゴルフ場」で行われたという。

イ・ボミの家族が経営しているそうで、990平方メートル規模の大型シミュレーションゴルフ場だ。イ・ボミは韓国に帰るたびに同地を訪れ、「サインをしたり写真を撮ったり」しているらしい。

(参考記事:賞金女王イ・ボミにも意外な副収入!? 韓国女子ゴルファーたちの副業と“財テク”

12月も挨拶やイベント参加などで「ちょっと忙しい」というイ・ボミは、1月から2カ月ほどアメリカでトレーニングを行い、3月から来シーズンをスタートさせるという。

韓国メディアとの取材ということで、いつもとは違った内面を見せつつ、女王としての貫禄さえ出てきた彼女から、これからも目が離せない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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