Yahoo!ニュース

連覇を目指す早大キャプテン

林壮一ノンフィクションライター
今年度主将、右サイドバックの新井主将(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

「特別、足元が上手いとか、そうことじゃなく、”熱量”を感じたんです。すべてにおいて全力っていうか。もう、ここだ!と。サッカーだけでなく、人として成長できるだろうと」

早稲田ア式蹴球部主将の新井純平は、高校3年時に練習会に参加した折、そう感じた。当時は浦和レッズユースで主将を務めていた。

その彼が、ア式蹴球部に入る際、RUNテストを受けさせられた。

「それに合格しないと、ア式蹴球部には入れないんです。プラス人間性も見られます」

1周、1分21秒ペースで、ピッチを10周。15分間の休憩後、縦105メートルを17秒で行って、43秒で折り返す、それを10本。クリアできなければ、仮入部も認められない。

「高校時代に全国大会に出たような選手でも、RUNテストで不合格になって入部が認められないケースがあります。Jのユース出身でテクニックが無茶苦茶あっても、走れなくて入部に至らない選手もいるでしょうね。早稲田は、走れることが大事なんです。がむしゃらに走る先輩の姿には、すごく影響を受けました」

早大の伝統や、一回一回のトレーニングに拘る姿勢が、多くの日本代表選手輩出に繋がっている、と新井は感じている。自身がレッズのジュニアユース時代に教えを受けた、池田伸康コーチも早大ア式蹴球部のOBで、キャプテンだった。入部してみて、かつての教えを咀嚼していく。

「去シーズン、全試合に出て優勝したとは言っても、自分をアピールできたとは思っていません。アシストも1でしたし…。今季はもっとオーバーラップして得点に絡みたいです。主将としては、周りに熱を伝え続ける存在でありたいですね」

右サイドバックといえば、リオ五輪予選では室屋成(明治大〜FC東京)の活躍が光った。

「ライバルだと思っています。彼のクロスの質は見本になりますね。僕も守備の部分、ポジショニング、カバー、守り切る部分のアベレージは負けていないと感じます。結果はまだまだ足りていませんが」

キャプテンとして、勝負の年が始まった。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事