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200年に一度の天才と呼ばれた男は言う「内山高志は、まだやれる!」

林壮一ノンフィクションライター
「本人は負けたと感じていないでしょう」と亀田昭雄は言った(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

本コラムで何度もご登場頂いている、元WBAジュニアウエルター級1位、「具志堅用高が100年に一人なら、彼は200年に一人の逸材だ」と称された亀田昭雄氏に、大晦日のWBAスーパーフェザー級戦を語ってもらった。

「内山は良く頑張りましたね。でも、危惧した通り、“チャンピオンのボクシング”をしてしまった。それが敗因でしょう。

自分から試合を創るというよりも、相手が攻めて来るのを待って対応していた。彼は<待ち癖>があるんですよ。あれだけ長く王座に就いていたから、仕方がないのですが、相手を見ている時間が長い。それが体に染み込んでしまっている。

ジェスレル・コラレスも逃げるのが巧い選手ですが、自分からプレッシャーをかけて、もっと前へ、前へという戦略を立てるべきでした。そういうプランを立てるトレーナーの存在が必要です。

自分だけで考えて闘うことの難しさを、僕は嫌と言うほど味わっています。トレーナーは本当に大事なんです。

待っている間に中間距離でパンチを貰ってしまった。効いてはいないのですが、見栄えが悪かったですね。

ただ、内山本人は負けたと思っていないんじゃないかな。僕には、まだ完全燃焼していないように見えます。心は折れていないでしょうから、これで引退と言うのは勿体ないと思いますよ。あくまで、個人的な意見ですがね…。

身体も傷んでいないでしょうし、内山なら、長谷川穂積のような終わり方が出来るでしょう。年齢は関係ない。僕は本人が納得するところまでやってほしいですね」

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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