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6名のチャンピオンに拒否されたドナルド・トランプ

林壮一ノンフィクションライター
背番号88、TEのマーテラス・ベネットはいち早く表敬訪問を拒否した(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

先日のスーパーボウルで勝利を収め、5度目のNFL制覇を成し遂げたNew England Patriots。

「Patriots」の意味は、「愛国者たち」である。

優勝メンバーのうち、今日までに6名がホワイトハウスの表敬訪問を拒否している。まず初めにその姿勢を見せたのは、TE#88のマーテラス・ベネット。Patriotsのオーナーがドナルド・トランプを支持していることを知ったうえでの声明だった。

その後、DE#95のクリス・ロング、RB#29のレガット・ブロウント、DE#97のアラン・ブランテ、FS#32のデヴィン・マコーティ、LB#54のドンタ・ハイタワーが続いた。

アメリカ合衆国において、NFL、そしてフットボールの人気は他競技と比較にならない。たとえばサッカーのことを、私のある知人は「アメリカ的じゃない」「女の子のスポーツだ」と言い切る。アメフトは、地域の高校の決勝戦でも会場はフルハウスになる。バスケット以上の熱気だ。

私の第二の故郷、ネヴァダ州リノ市でもそうだ。当地のUniversity of Nevada-Renoはそこそこアメフトが強く、数年に一人プロ選手が誕生しているが、ホームゲームは毎回、スタディアムが満席となる。

スーパーボウルを制した選手ともなれば、国民的英雄である。そのメンバーから拒絶されてしまうのが、ドナルド・トランプ大統領なのだ。次世代の若者は、Patriots選手の一挙手一投足に熱い視線を送っている。

さて、ヒーローたちがホワイトハウスにやって来ないことを受け、第45代アメリカ合衆国大統領は、Twitterでどうボヤくのか。辞退者たちは「愛国者だからこそ不参加にしたのさ」と言うのかもしれない。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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