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二つ玉低気圧に厳重警戒

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

二つ玉低気圧とは?

二つ玉低気圧とは
二つ玉低気圧とは

秋から冬、そして春にかけては、日本付近を低気圧が頻繁に通過します。

これらの低気圧のうち、日本海を通過するものを「日本海低気圧」、本州の南を通過するものを「南岸低気圧」と呼んでいますが、これらの低気圧が同時に本州付近を挟み込むような形で通過することがあります。

このようなパターンを俗に「二つ玉低気圧」と呼んでいるのです。

二つ玉低気圧が発生するような場合は、南北の温度差が大きいことが多く、低気圧は顕著な発達傾向を示すことが多いため、日本列島の広範囲で、暴風、高波、大雨、落雷、時には竜巻などの激しい突風に警戒が必要となります。

特に、低気圧が発達しながら通過する北日本では、台風と同じような暴風が吹き荒れることも多いため、厳重な警戒が必要となります。

あす10日(火)は典型的な二つ玉低気圧

12月10日(火)二つ玉低気圧
12月10日(火)二つ玉低気圧

10日(火)の予想天気図をみると、日本海と日本の南に前線を伴った低気圧があり、ともに発達しながら東寄りに進む予想で、これはまさに典型的な二つ玉低気圧のパターンと言えます。日本列島の広範囲で荒れ模様の天気となるおそれがあるため、警戒を要します。

地域ごとの荒天時間と警戒事項をまとめると、だいたい以下の通り。

西日本

今夜~あす明け方にかけて、四国や紀伊半島で雷を伴った激しい雨のおそれ。

極端な大雨のおそれは少ないが、落雷や竜巻などの激しい突風に要注意。

また、低気圧が通過した後、あすの日中も吹き返しの強い西風や高波にも注意が必要。

東海や関東

東海(紀伊半島)はあすの未明~朝にかけて、関東の沿岸部ではあすの明け方~昼頃にかけて、短い時間ではありますが、激しい雨のおそれがあります。落雷や突風に要注意です。

関東の沿岸部では、南風も強まるため、あす朝の通勤時間帯の交通機関に影響があるかもしれません。

また、低気圧がまともに通る伊豆諸島では数時間にわたり、雷を伴った激しい雨のおそれがあり、特に警戒を要します。

低気圧が抜けるあすの午後は晴れてきますが、吹き返しの西風が強まり、夕方以降は急激に気温が下降しそうです。

北陸や北日本

最も危険な地域といえます。あすは一日中風が強く、沿岸部を中心に、最大瞬間風速は30メートルを超える台風並みの暴風が吹き荒れるおそれがあります。

波の高さも6メートル前後の大しけとなるでしょう。

北日本では、あす夜~あさって11日(水)午前中にかけて大荒れの天気が続き、あすの夜以降、山間部を中心に猛烈な吹雪となるおそれがあるため、厳重な警戒が必要です。

それぞれの地域の詳細な情報は気象庁発表の情報でご確認ください。

気象庁防災情報

過去における二つ玉低気圧の天気図

晩秋~初冬にかけて発生した主な二つ玉低気圧(近年の主なもの)は以下の通りです。

2011年12月3日

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2010年11月1日

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2006年11月11日

これは珍しく、三つ玉低気圧?

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1990年12月11日

千葉県茂原で発生したF3の竜巻も二つ玉低気圧と呼べる形

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気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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