10月のスタートは全国荒れ模様、特に北日本では大荒れ警戒
いわゆる“爆弾低気圧”が通過
台風21号は、昨夜(29日)9時、中国大陸で熱帯低気圧に変わりました。
しかし、この台風起源の熱帯の空気は今後北側へ広がり、この暖湿気を吸収し、後面からは寒気の補給も受ける低気圧があす10月1日の朝、朝鮮半島付近に発生し、急速に発達しながら、2日にかけて、北海道の北へ進む見込みです。
この低気圧は暖気と寒気がぶつかり合って発達する温帯低気圧ですが、もと台風からの暖湿気を吸収するため、発生後、急激に発達する予想です。
低気圧の中心気圧の予想は、1日午前9時996hPa、午後9時976hPa、2日午前9時956hPaと24時間で40hPaも下がる予想です。
一般に24時間で24hPa以上、中心気圧が下がる低気圧をいわゆる爆弾低気圧とも呼びますが、今回の低気圧は単純にその定義の2倍近い早さで急激に発達する予想です。
このような発達の仕方は、日本の東へ進んだあと、オホーツク海やカムチャツカ半島周辺などでは時々見られますが、日本付近を進んでいる過程でここまで発達することはあまりありません。それだけ、今回の低気圧は危険度が高いと言えます。
更にこの低気圧から延びる活発な寒冷前線が本州付近を通過するため、あす1日は朝から西日本で雨が降り出し、雷を伴って、激しく降る所があるでしょう。東日本や北日本でも午後は次第に雨となり、前線通過時には落雷や竜巻などの激しい突風のおそれもあります。
そして、低気圧が急速に発達するため、西日本~北日本にかけて、広い範囲で次第に南風が強まり、夜は北日本で暴風となるおそれがあります。
全国的に強風、北日本は暴風に警戒を
上図は10月1日午後9時の上空1500メートル付近の風の強さや風向などが予想された天気図です。日本海北部にある低気圧に向かって南西方向から強い風が吹き込んでいる様子が分かります。
この中で、濃い矢羽根(塗られた三角形)がありますが、これは上空で50ノット以上(平均25メートル以上)の暴風が吹いている所を表しており、特に低気圧に近い日本海では、強い所で80~90ノット(平均40~45メートル)もの風が吹く予想です。
地上ではこの風のおよそ半分程度となりますが、それでも広い範囲で平均10~15メートル、北日本では20メートル以上の風が吹くおそれがあることを表しています。
最大瞬間風速では、この1.5倍~2倍程度吹きますので、沿岸部を中心に、20~30メートル、北日本では40メートル前後に達してもおかしくありません。
風のピークは、西日本では1日夕方~夜遅くにかけて、関東など東日本では1日夜~2日朝にかけて、北日本では1日夜~2日夕方頃にかけてとなりそうです。
関東では2日未明~朝の内が強風のピークとなり、特に風の強まる房総半島や東京湾周辺の交通機関を中心に、影響が出るかもしれません。
過去の類似低気圧は?
2012年4月3日~4日かけて、今回と同様に急激に発達する低気圧が日本海~北日本を通過し、暴風などにより全国的に大きな影響、被害が発生しました。この時の低気圧も今回の予想とほぼ同じく、24時間で約40hPaの急激な発達の仕方をしています。
ただ、この時の低気圧は北日本をほぼ直撃するように進んだのに対して、今回の低気圧は北日本からはやや離れて通過する見込みですが、北日本を中心に、十分な警戒が必要なのは間違いありません。