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気になるふたり、草なぎ剛&香取慎吾の二人芝居。『burst!〜危険なふたり』開幕!

杉谷伸子映画ライター

草なぎ剛香取慎吾三谷幸喜の作・演出で二人芝居に挑む。草なぎと香取にとって20年越しの夢だった共演が実現した『burst!〜危険なふたり』が、29日、PARCO劇場で開幕した。

内容がいっさい明かされていなかった本作。初日の開幕3時間前、同劇場で開幕直前囲み会見が行われた。(「草なぎ剛」の「なぎ」が表示できないため、かな表記しています)

この2人だからこそ成立

多忙な2人による二人芝居がタイトなスケジュールのなかで無事に開幕を迎えられたのも、このコンビならではとうかがえる会見だった。

「台詞が多いので、覚えるのが大変だったんですね。三谷さんと慎吾と3人で合わす機会がそんなになかったので、2週間くらいですかね。時間的にはちょっとキツいものがあったんですけれども、チームワークで初日を迎えられてバッチリだと思います」と初日を迎えた想いを語る草なぎ。

「初日を迎えられて嬉しく思っています。初日までの間に1日2公演ぐらい、この3日間、毎日のようにやってました」と受ける香取に、草なぎが「いろんなことをやってるので、僕、舞台、何度かやっているんですけれども、いちばん楽しくてスリリングな舞台になってます。(香取は)スリリングなヤツなんで(笑)」と続けるあたりからも、ますます期待が膨らむ作品は、三谷が二人にアテて脚本を書き下ろし、演出も手がけることも話題。

「ふたりでなんとなく、いろんなところで“舞台やりたいね”とつぶやいてたんですね。そしたら、つよぽんが“三谷さんに書いてもらおうぜ!”“いや、そんな簡単なことじゃないんだ”と。無理だって言ってたら、それをどこかから聞いてくださった三谷さんが“本気なんですか?”と。“本気です”と(答えた)。そしたら、それが実現しました」(香取)と実現の経緯も明らかに。

自分たちのためにアテ書きされた脚本を三谷の演出で上演できるということを「一生懸命やっているとわからないんですけれども、我にかえって冷静になってみると、これは非常に奇跡的なことで、幸せだなあって毎日思ってます」という草なぎだが、「たぶん、これは僕と慎吾じゃないとできない題材というか。たぶん、それを三谷さんが意識して書いてくださったので、ほんとにこの短い時間でこの舞台が成立するのは、たぶん僕ら二人だから。長い時間一緒にいる二人だからできる舞台だと思います」という自負もある。

そして、この二人だからこそということを物語るエピソードも登場。

「つよぽんがすっごい速さで喋り始めるんですよ(笑)。とんでもないスピードで」という香取に、「そうなんですよね。ブレーキがかからなくなってしまうんですよ」という草なぎは「自分でもわかってるんですよ。なので、やっててすごくわかるんですよ。“ブレーキかけろ!つよぽん、ブレーキかけろ!”ってすごい伝わってくるんですよね(笑)。(略)ほんとに毎日毎日、舞台は変わっていくので。で、二人しかいないし。助け合うのが、おたがいなので。ほんとにいろんな意味で、危険な。最後までたどりつけるのかって思うくらいにほんと毎日変わってるので楽しみです」と明かしていた。

改めて知る才能と意外な一面

彼らならではの息のあった舞台がますます楽しみになるやりとりだが、初めての二人での芝居ということで、おたがいに発見することも多かったそう。特に香取は、「僕は舞台の経験が浅いので、舞台経験の多いつよぽんのことを今回の稽古中から劇場に入ってからも見ることができて、素敵な俳優さんだなと思ってます。改めて、ああ、こういうふうに草なぎ剛のお芝居って作られてるんだなあと思いまして。今まで完成した彼の作品しか観て来なかったけど、彼がこのお芝居を作り上げるまでの過程を観てほしいなっていうぐらいね、素晴らしいなと思いました」と感心した様子。

そんな香取に「ありがとう。まともに褒めてくれるのは初めてかもしれないね。仕事してて」と草なぎも嬉しそう。

その一方で、草なぎが喉にいい飴を薦めてくれたり、酵素のジュースやボトルに入れたすっぽんのスープを愛飲していていることを香取が明かし、「大御所の女優さんみたいだなと思って」と裏話でも楽しませてくれる。すると、草なぎも、撮影に台本を覚えていかないことで有名な香取が三谷の言葉を一言一句逃さないように珍しくメモを取っていることとともに、香取の使っているペンが20万円もすることを暴露。「せめて台本に書いてるところだったら、まだいいけど、ペンを広げて(どうする)!」とトークでも香取のブレーキが必要になる場面も。

「台本に書いたりってことも、僕はあんまりないんですけれど、(そうしないと)間に合わないんで。ほんと時間がなかったので言われたこと書き留めておかないと。1日だいたい10ページぐらいを覚えていったんです。それは毎日。だから、次のところを急に“稽古やります”って言われても、“ごめんなさい!これ以上は覚えてないです!”」という香取。

そんな今回の稽古は草なぎが「今まで慎吾がいちばん追い込まれたかもしれない」というほどだが、かたや草なぎは毎日最初から最後まで台本をお風呂でもずっと読むという具合に覚え方もそれぞれ。そんな草なぎに「お風呂でも見てるなんて女優さんみたい」とまたまた香取のツッコミが入るという具合に、囲み会見もトークショーさながらの面白さなのは、さすが。

二人芝居でSMAΡに異変あり!

稽古の大変さが想像できる二人の舞台は、SMAΡのメンバーも気になるよう。舞台経験豊富な稲垣吾郎が観劇に訪れるのはもちろんとして、今回は中居正広木村拓哉もいつもと様子が違うとか。

「いつもだと、僕、舞台やってると。だいたい上の二人、中居くんと木村くんは来てくれないんですけど。なんか気になってて、舞台のこと聞いてくるんですよね」(草なぎ)

「二人とも、ほんと。なんかね、木村くんとかも“今どうだ、稽古”みたいな」(香取)

「“まだ、そこまでなのか”みたいな」(草なぎ)

「“大丈夫なのかよ”と言ったあとに、今度は中居くんが来たと思ったら、“いつからだっけ?”みたいな。“いつだよ”って言ったら、“もう無理なんじゃない? 難しそうだろ、時間なくて。もうアドリブでやっちゃえよ”みたいな。なんか二人、すごい優しい! どうしちゃったんだろう! SMAΡ怖いと思った(笑)」(香取)

その気遣いも、彼らがいかに大変かが想像できるからこそ。

「始めてだよね、こんなのね」(草なぎ)

「心配するとか。知ってるのに知らないふりして、もう20年以上やってきてるんです(笑)。そういう感じのグループなんですけど」(香取)

「今回、ストレートに状況聞いてきてくれたりして」(草なぎ)

「吾郎ちゃんだけ、俺に何も言って来ない(笑)」(香取)

来られない方の想いを胸に

楽屋も二人一緒。草なぎがソファを独り占め状態なことや、楽屋を散らかすことへの香取のクレームにも、「そうですね、片付けるのがヘタなんですね」とマイペースな草なぎ。笑いを盛り込みつつ、今作への想いを話してくれた二人だが、チケットを取れない人が圧倒的に多いのは、もちろん彼らにとっても気にかかるところ。

「舞台はほんとに一期一会なので、今回来れなくて残念な想いをしてる方がたくさんいるって僕らも聞いているので、ほんとにそれは残念だなと思っているんですけれども。全力で、僕ら、舞台やって。来てくれる方はスペシャルな時間を過ごしてもらえるように。この劇場から家に何か持って帰れるような、そんな舞台にしたいと思ってますので。ほんとに来たくても来れない方の気持ちは、僕ら痛いぐらいわかってますので。そういう気持ちもわかって、みんなで頑張っているので。遠いところから応援していただきたいなと思ってます」(草なぎ)

「舞台を観たいなと思っているのにチケットが取れなかった方、残念ですけど、この劇場に来れなくても思っていてほしいですね、“毎日、頑張れ!”と。みなさんの想いを胸にですね、劇場に来てくれた方々へ、ちゃんと返せるように日々頑張りますので」という言葉に続けて「…チケット取れない方が多いというのを聞いたうえでなんですけど、夢の実現なんですけど、あの、三谷さんとつよぽんとこうやって3人でやれるって決まったときにすごい喜んだんですけれども、いざどのくらいやるのかわかっていなくて、最初の発表のときに新聞を観て、“あ、こんなにやるんだ!”。僕は、勝手にちょっとだけやるのかと思ってたら、結構6月までやるんで。しっかりやるんだなと思いました」と付け加える香取。

想いの伝え方もストレートな草なぎと変化球まじりの香取。この二人の夢の共演、やはり想像以上に面白いものを見せてくれそうだ。

『burst!〜危険なふたり』は6月2日(火)までPARCO劇場で。

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『25ans』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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