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「18歳からの夢。ここからが始まり」 WBO世界フェザー級王者オスカル・バルデスに挑む大沢宏晋

杉浦大介スポーツライター

Photo By Mikey WIlliams / TopRank

11月5日 ネバダ州ラスベガス トーマス&マックセンター

WBO世界フェザー級タイトル戦

王者

オスカル・バルデス(メキシコ/25歳/21戦全勝(18KO))

12ラウンド

挑戦者

大沢宏晋(ロマンサジャパン/31歳/30勝(19KO)3分4分)

タイトル戦前日、軽量後の囲み取材での一問一答

決戦前日

ーー大イベントの前日計量を終えて?

SO:日本とイメージは違うけど、やることは一緒ですからね。いたって日本と変わらないです。いつも通りというか、調整はいつもやることは一緒なんで、変わりないですね。

ーーマニー・パッキャオ(フィリピン)がメインに登場する興行のセミファイナル。凄い大舞台だが?

SO:誰の前座とかじゃなくて、自分のやるべきこと、仕事をやりに来ただけ。大イベントとか意識はまったくないです。みんなに凄いねと言われても、僕自身はなんで凄いんかなと。ここに出れるのは光栄なことだけど、特別視してしまったら試合もできなくなってしまう。考えてないならそっちの方が良いかなと、はい。 

ーーバルデスは世界的にもかなり期待されている選手だが、印象は。 

SO:一発一発を思い切り気持ち良く振ってくる良い選手だと思います。そうやって強い、強いと言われている選手とやれる。弱い世界チャンピオンとやって、獲っても・・・・・・世界チャンピオンは世界チャンピオンで変わりはないですけど、強い奴とやって、勝って、獲るというのがこのスポーツの醍醐味じゃないですか。強いものを倒して、ほんまに強いと認められる。負けたら僕が弱かっただけだし。

ーーファイトプランは? 

SO:練習で身体に染み込ませてきたんで、言葉にできないと思うんですよね。あとは身体が勝手に動くだけ。1ラウンドから出て行って、フルにファイトできるくらいのスタミナは作ってきた。あとは自分を信じて出るだけです。 

勝たなければ始まらない

ーーアメリカのファンに見て欲しいことは? 

SO:日本、東洋からこうやって一人の人間がアメリカに夢を求めて勝負しに来たというのを注目してもらえたらな、と。大沢ってこういう面白い選手がおったなと思ってもらいたい。18歳でボクシングを始めたときも、本場でリングに立って世界戦で勝負すると言って、地元の友達に笑われた。その気持ちだけは一人で隠してずっと温めて持ってあったんで、その夢が叶うというのが明日はまず楽しみですね。

ーーそれが実現して湧いてくる思いは? 

SO:それはありますね、すごく。自分で言ったこと、目標を達成した。でもこれで終わりじゃない。ここからが始まりなんで、今からが。これで終わってしまったら、明日の世界戦なんて記念試合。勝たなきゃ何も始まらない。パッキャオの興行には今まで日本人は出たことがないとか、そういうのじゃなくて、試合で歴史に名を刻みたい。男として生きてきたら、何かで名前を残していきたいと思う。小さい頃はおまえは将来は絶対に悪いことで、と・・・・・・(笑)。こういう自分の好きなことで生活できて、みんなに愛されて、応援されて、ここまで来れた。自分を応援してくれる日本のサポーター、自分のスポンサー、多くの後援者、関係者を始め、皆さんに心から感謝の気持ちを申し上げたいです。 

ーー軽量時にはにらみ合いもあって、意気込みが感じられた。

SO:チャンピオンはパンチも強いし、一発一発をためて打ってくる。おまえのパンチを全部受け止めてやるから、こっちもずっとおまえのことを想像して練習してきたんだから、と。決まる前からバルデスの試合を見て、こいつは強いなと思っていた。そいつと決まったと思ったら、ワクワクして、ずっと・・・・・・まあ怖いなとも思うんですけど、それでも毎日目を見開いて、逢えるのを楽しみにしていました。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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