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単一民族至上主義はもう捨てよ。鈴木武蔵のゴールに日本の未来がある

杉山茂樹スポーツライター

勤勉、忠実、真面目。日本人選手の特性を探ろうとした時、これらの言葉は必ず登場する。だが、本当にそうだろうか。サッカー的な言い回しとはいえない一般論に聞こえる。サッカー的にはどうなのかという疑問に、明快な答えは出現していない。俊敏、小回りが利く? 確かにそうかも知れないが、日本人自身がそう言うなら客観的ではない。外国人から見た印象はどうなのか。ある時期、集中的に訊ねてみた。「速い」というポジティブな声もある一方で「戦術理解力に乏しい」というネガティブな声もあった。が、最もピンと来たのは「貧弱」「ひ弱」だった。「やり遂げる力がない」という声も耳に残るが、もっと悪く訳せば「へなちょこ」だ。

タイ、ベトナム、香港……。ピンと来た理由は、周囲に同じ感想を抱く国があるからだ。東南アジアの選手の姿こそ我が身。日本が東南アジアの国々と対戦した時に思うことを、本場の人たちも日本人に対して思っている。

イメージは鮮明になった。例えば、先日行われたリオ五輪アジア予選。その2試合目で戦ったタイとの一戦だ。小柄で俊敏。かつ多彩な個人技で日本を苦しめるタイの姿には、むしろ親近感を抱かせたものだ。前半27分まで0−0。タイもなかなかやるじゃないかと思っていた矢先の出来事だった。鈴木武蔵の先制ゴールが生まれたのは。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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