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祝!甲子園 “ホークスJr.日本一”の主砲とエースが、甲子園球児となる!

田尻耕太郎スポーツライター

"平湯”という名前に見覚えが

全国各地で甲子園出場校が決まっている今日この頃。本日7月30日には長崎県で決勝が行われ、海星高校が3年ぶり17度目の出場を決めた。

あれ? おや?? そのメンバーの中に懐かしい名前を見つけた。

平湯蒼藍。苗字も珍しいし、名前は「そら」と読む。一度覚えたらなかなか忘れない。

もう5年も前になる。人生初の「ホワイトクリスマス」を経験した2009年12月、僕は札幌にいた。現在でも毎年年末に行われている12球団ジュニアトーナメント。小学校5、6年生によってプロ野球各球団のJr.チームを結成し、日本一を争う大会だ。それに出場する「ホークスJr.」に同行取材したのだ。札幌まで同行することなど異例のことだったが、あの冬は偶々そのような話になったのだ。

秋に結成されたチームの前評判は正直悪かった。「今までで一番弱い」と言われた。だから期待もせず「札幌に行けるなんてラッキー」、それが本音だった。しかし、大会が始まると、彼ら(いや、女の子も2人いたな)は見違えるような戦いを見せた。戦うたびに結束力が増し、明らかに強いチームへと変貌を遂げていった。あれよあれよという間にチーム史上初めて決勝へ。12月27日、ジャイアンツJr.との決戦も先制を許しながら、逆転勝利という強い勝ち方。見事日本一に輝いたのだ。

この大事な試合で逆転の、そして決勝の特大ホームランを放ったのが平湯くんだった。

当時の記事=ホークスジュニア初の日本一! 永井監督「18人全員で戦い、野球を楽しんだ」(当時の平湯くん、高山くんの写真も掲載)

ホークスJr.の主砲は、甲子園出場校の4番へと成長

2014年、今年になって「そういえばあの子たちも、そろそろ高校生になったはず」と思い調べてみたら彼の名前を見つけたのだ。あの頃のメンバーたちは高校2年生になっていた。平湯くんの軌跡を辿るとなかなかスゴイではないか! 中学時代にはシニアの日本代表に選ばれ4番を打つほどの選手。そして長崎の海星高校に進学。今夏は4番打者としてチームの主軸を担っている。

7月30日の決勝戦でも勝負強い打撃は健在。海星は初回に2点を先制されるも、4回に同点。続く5回のチャンスで勝ち越しの2点タイムリーを放ったのは、やはり平湯くんだった。さらに9回にはライトスタンドへ豪快な一発を叩き込んだ。

また、海星のショートを守る高山凌くんもまた当時のホークスJr.のメンバーだ。あの時はエースとして活躍。日本一の胴上げ投手に輝いたのが彼だった。

プロ野球とはまた違う、このような形での「成長」を知るのもやはり嬉しい。それと同時に「俺もトシを食うはずだ」と苦笑いもしたくなるが…。

甲子園に取材に行く予定はないのでしばらく彼らに会うことは出来ないだろう。でも、5年前のあの時「将来、ドラフト候補になったら取材に行くからヨロシクね」と言って別れた。来年、その言葉を果たせるチャンスが来るかな。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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