Yahoo!ニュース

「高校通算97発」黒瀬健太プロ公式戦初安打! フォーム改造が奏功

田尻耕太郎スポーツライター
記念のボールを手に、黒瀬はトレードマークの笑顔を浮かべる

初安打はショート強襲

【8月25日 ウエスタン公式戦 ホークス9-0カープ タマスタ筑後】

小さな一歩かもしれないが、プロ野球選手として確実に前進した一打だった。

福岡ソフトバンクホークスのドラフト5位ルーキー黒瀬健太が、8月25日のウエスタン・リーグの広島カープ戦(タマスタ筑後)でプロ公式戦初安打をマークした。通算6打席目(それまで5打席無安打3三振)だった。

6回裏に4番カニザレスの代打で出場し、カープ左腕の飯田哲矢のスライダーにしっかり反応した。強振した打球は三遊間への強いゴロとなり、ショートのグラブを弾いてヒットとなった。

「嬉しかったです。ボールは貰いました。両親にあげます」

今月7日には3軍で初ホームラン

第2打席でもヒット
第2打席でもヒット

続く打席でもレフト前へクリーンヒットを放ち、いきなりマルチ安打を決めてみせた。

非公式戦(主に3軍戦だが、教育リーグ含む)は49試合出場で打率.228と低調だが、8月7日の徳島インディゴソックス戦(吉野川運動公園)では、今季3軍選手で初となるホームランを放った。石渡茂3軍監督も「会心の当たりでした。ようやく出ましたね」と喜ぶ一発だった。また、ここまで24打点は3軍内ではトップ。持ち味の打撃力を徐々に発揮しつつある。

「正直、自信なんてまだないです。でも、1か月ほど前にバッティングを変えてから、結果も出ています」

春先は、打席に立つときのスタンスが広かったが、現在は2足分ほど狭くして肩幅ほどの広さで立っている。

こだわりの一本足打法はそのまま

左足を大きく上げる豪快なフォーム
左足を大きく上げる豪快なフォーム

「高校時代の打ち方です。特に意識して広げたわけではありませんでした。自分でも気づかなかったので。打ちたい、打ちたいという気持ちが強くなり力が入ってしまったのが原因かもしれません。それで、少し前に佐々木(誠3軍打撃)コーチに『スタンスが広すぎるんじゃないか』と言われて気づきました。今の打ち方の方が、無駄な力が入らずにバットが振れています」

打撃フォームを見つめなおす中で、こだわりを捨てなかったのが左足を高く上げる一本足打法だった。

「それは変えたくなかった。スタンスを狭くしたことで、足を上げたときでもブレがなくなりました」

ところで、夏場になっても体重は減っていないという。むしろ意識的に少し増やしたとか。高卒1年目ながら大したものだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

田尻耕太郎の最近の記事