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ガンバ大阪が8年ぶり、2度目のゼロックススーパーカップを制覇! 試合後のガンバ大阪選手コメント。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

2月28日、ガンバ大阪は2010年以来、5度目の出場となった『ゼロックススーパーカップ』で浦和レッズと対戦。前半をスコアレスで折り返した後半、68分にエースFW宇佐美貴史の『有言実行』のゴールで先制すると、アディショナルタイムにもFWパトリックが加点し、2-0で勝利。同大会では8年ぶり2度目の優勝を飾り、今季の『1冠目』を手にした。試合後のガンバ大阪選手の声をお届けする。

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●MF倉田秋

前半から苦しい戦いでしたが、去年からやってきたようにしっかりゴール前を固めて、粘るところは粘れたことで、ああいうチャンスをものにできた。(前半チャンスが作れなかった中で後半どういう意識でピッチに立ちましたか?)我慢するところは我慢していたら、相手も焦れて出てくるだろう、と。そこをショートカウンターみたいな形で突いて行こうという話はしていました。実際、パトリックのゴールもそういう形がはまった中で生まれましたしね。戦い方としては良くはなかったけど、今は勝つことが大事だと思うので、勝てたことが何より良かったです。

ー前半なかなかボールがおさまらなかった中で、後半パトリック選手が入って前線でボールがおさまるようになりました。

みんながパトのこぼれ球を信じて詰められていたというか、そこを拾いながら二次攻撃、三次攻撃ができていたのは良かったと思います。

ー去年と同じように失点せずに粘り強く戦ってという展開からして、ある意味ガンバらしいスタイルが出た試合でもありました。

ただ、今年はそれだけじゃ全タイトルは獲れないと思っていますから。もっと圧倒して、プラス、我慢強い守備が出来れば更に強くなれると思う。またすぐ韓国で城南FCとの試合があるので。修正できるところは修正してやっていきたいです。

ー1つ勝てたことで気持ち的には楽になった部分もあったのでしょうか?

1つ勝つごとに自信が増えるというか、去年もそれでいい波に乗れていきましたからね。特に今は内容より勝つことが大事なのかなと思っていただけに、勝ててよかったです。(獲るべきFW陣がゴールを獲れたのも勢いに繋がりそうですか?)そうですね。貴史も前半はちょっとばたついていたけど、あの一発でこれからまた勢いづきそうな気がします。

●FW赤嶺真吾

前半はなかなかチャンスを作れなかったけど、守備に関しては全員で統一感をもって戦えたのでそれは良かったなと思っています。相手がボールを持つ時間が長くて、うちが守備にまわる時間も長かったですけど、辛抱強くやれたと思いますしね。(少しずつコンビネーションはあってきているな、という手応えはありますか?)そうですね。キャンプも含めて1ヶ月くらいやってきているし、周りの選手のやりたいこと、自分のやるべきことはわかってるので、そこは試合をこなしていけば更に良くなっていくと思います。

●FW宇佐美貴史

ー前半はなかなかチャンスを作れない展開になりました。後半はどういうことを意識して試合に入りましたか?

レッズと対戦する時はああいう展開になるというか、自分たちがボールを追う時間が多くなるのもわかっていました。その中で、ボールを奪ったあとどれだけいい形でショートカウンターなりを仕掛けられるか、それによって自分たちのペースにもっていけるかだと思っていました。ただ前半はなかなか思うような形を作れなかったし、後半も僕ららしい戦いは出来ていなかった。それでも、勝つというのはチームとして一番大事なこと。しっかりゼロに抑えながら、得点も2つ決めて勝てたというのはプラスになると思います。ただ、チームとしてのクオリティはまだまだ。「このままではいけない」という危機感を持たなければいけないと思っています。

ー試合前に話していた通り、今年のガンバのファーストゴールをご自身で決めました。

そうですね。FWとしては点を獲らなければ、いい流れを作る事が出来ないところもあるので、獲れたのは良かったですけど、そのあともう一つ、決められるチャンスがあったのでそこは本当に悔いが残ります。でもとにかく1つ獲れたこと、しかも今年の課題というか、テーマに掲げているワンタッチでのゴールで決められましたから。あの奥での駆け引きで相手に勝って獲った点だったので、自分としてはすごく手応えを感じたゴールでした。

ーセットプレーでしたが、どういうイメージでいたのですか?

なんとなくボールがきそうなイメージがあったし、僕のマークには森脇選手がついていたんですけど、分析のところで「森脇選手は、違う選手がボールを受けている時にボールウォッチャーになる癖がある」と聞いていましたからね。実際、この間のACLの水原戦でもそういう形で点を獲られていただけに、チャンスがくるんじゃないかなって予感はありました。その中で、森脇選手が一瞬、ボールウォッチャーになった瞬間を見逃さずに、裏に逃げて、っていう形で点が獲れましたから。自分らしくないゴールなのかもしれないけど、ああいうゴールを今季は増やしていきたいと思っていたからこそ、ああいうゴールが生まれて手応えを掴んだところはありました。

ーパトリック選手がゴールを決めた後のパフォーマンスは一緒に考えたのですか?

いや、全然ですよ(笑)。ただ最近、やたらと筋トレをしていましたからね…そのためだったのか、と(笑)。(宇佐美選手と何かを約束していたわけでもなく? というのも、ゴールを決めた後、宇佐美選手をめがけてベンチに走って来たように見えました)いや、違います。たぶん僕が一番爆笑していたからじゃないですか? 彼にしか出来ないパフォーマンス。バロテッリよりバロテッリらしかったと思います。今日のベストプレーかもしれませんね(笑)。

ー対浦和との初戦に勝ったことについて。

いいサイクルができたというか、いい流れが出来たと思います。ここで連敗していたらチームとしてもネガティブになるところもあったかもしれませんが、結果を出せたことで、またいい精神状態で次の城南FC戦にも臨めるので。短いスパンで2試合こなして、身体の状態もあがってきていますし、すごくポジティブに捉えられる試合だったと思います。

ー日本代表にもいいアピールになりましたね。

いや、まだまだです。僕個人としては全く満足できるプレーではなかったですしね。ただ去年のケガ明けもこういう状態だったし、何試合かこなす中でコンディションがあがっていくところもあるので、こういう短いスパンで試合を続けてやれるのはありがたいです。

●DF丹羽大輝

ー守備の部分では広州との試合での反省を活かした内容、結果になりました。

確かに、広州戦の反省を活かしましたね。ほぼ完璧というか…後半のクロスの1回くらいしか、決定的な場面は作られなかったので、今日の守備は良かったと思います。まあ、スカウティング通りというか、浦和は毎年同じようなサッカーをしてくるのはわかっていましたし、3人目のフリックとか、一つ飛ばしのサイドチェンジとか、全てにおいて頭の中のイメージ通りに対処できたように思います。

浦和の攻撃に対して、具体的に意識したところは?

シャドーの選手を捕まえづらいので、ボランチとセンターバックで受け渡しの声をハッキリ出して対応するっていうことと、あとは食いつき過ぎてしまうと、相手にスペースを与えてしまい、そこを三人目に使われるっていうのが、浦和の一番の浦和のストロングポイントだと思うので。それがなければサイドに振って、クロスしかないと思っていたからこそ、そこを僕と(岩下)敬輔を中心に弾くことができれば、と思っていました。結果的に、去年の終盤戦に、レッズと埼玉スタジアムで戦った時のような感じでやれていたし、前半ゼロで終われたというのが一番大きかったのかなと思います。理想を言えば、前半もう少し、奪った後のボールを繋いで、前線でためを作ってどんどん押し込んでいければ良かったのですが、相手も体力がありますし、ガツガツきていたし、前半それをすることによって少しずつ消耗して来て最後ああいう感じでパトリックが相手のディフェンスラインの歪みと言うか、疲れを突いてプレーできたので、そういう意味では総合力で勝てた試合だったと思います。

ーということは、前半はある程度相手にボールをもたれるのは想定内だった、と?

想定内どころか「持たせていた」くらいの感じでした。入って来たボールを僕とかボランチが狙いにいって、奪って、ということも完全にハマっていたと思いますしね。ああいう感じで攻めてくるのは分かっていただけに、全部僕の中では想定内で楽しいくらいの感覚くらいで守れていました。最後のラスト5分は、浦和がまさかのパワープレーをしてきたので、ちょっとびっくりしましたけど(笑)、最終手段を出してきたんだな、と。李くんも前に張って2トップ気味になっていましたしね。ただ、冷静に対応できていたし、僕が出ている時は敬輔とサイドバックがちゃんとカバーに入ってくれていたし、敬輔が出た時は僕やハルがちゃんとカバーリングができていましたから。僕らが更に上に立って余裕を持って対処できたんじゃないかと思います。

ー前半粘って守って、最後にパトの良さが出てという展開をみると、ある意味去年のガンバの良さはでたのかなと思いますが。

試合が終わった後、ヤットさん(遠藤保仁)とも話したのですが、去年のうちの勝ちパターンとして、前半苦しい時間帯でも後ろがしっかりと耐えて、我慢強くやってくれれば、前が点を獲ってくれるという信頼感があるので。終盤は本当にそういう戦いが出来ていたと思いますが、今日も、その感じを思い出しながらゲームをやれていたので。実際、後半点は獲れると思っていたし、セットプレーも狙って行こうという話をしていた中でセットプレーで獲れて、そのあとのカウンターも、相手が前がかりになる分はまるっていうことも話していたので、練習通りだったと思います。

ー率直に今年初タイトルを獲れたことについて。

1試合なので、タイトルっていう感じはないですが、僕はこの試合は、ACLに繋がる試合になるという位置づけで戦っていましたから。タイトルを云々より、次のACLに繋がる試合にしないといけないと思っていただけに、結果が出せたことは良かったと思います。去年のガンバのいい時のサッカーにも少し近づけましたしね。先日の初戦(ACL/広州戦)は、少しイージーなミスが多かったり、ガンバらしいサッカーが出来ていなかった中で、今日はそれを少し取り戻せたし、試合を重ねるごとにどんどんコンディションも良くなるはずだし、パスの感覚もどんどんあってくるはずですから、これから良くなる一方だと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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