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宇佐美貴史のバースデーゴールも飛び出したガンバ大阪が、首位でACLグループステージを突破!

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ガンバ大阪が決勝トーナメント進出を懸けて臨んだAFCグループリーグ最終節、城南FC戦。先制される苦しい展開の中、この日、23回目の誕生日を迎えたFW宇佐美貴史のバースデーゴールで同点に追いつくと、82分にも途中出場のFWリンスが逆転ゴールを決めて勝利。一時はグループリーグ最下位に低迷したガンバ大阪がACL3連勝で巻き返しを図り、J1王者のプライドを示すべく『首位』で決勝トーナメント進出を決めた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●ガンバ大阪/長谷川健太監督

本当に選手が最後までよく頑張ってくれたと思っています。前半でちらっとブリーラムが勝っていると聞いていたので今日は勝つしかないという状況で、城南も気持ちを出して戦ってきましたし、先制点をとられて苦しい展開でしたが、最後の最後まで自分たちのサッカー、勝利を信じて、また、これだけたくさんのサポーターが万博にきてくれたのでサポーターのためにもまた、昨日Jリーグの鹿島が負けましたので、これ以上Kリーグに負けられないという強い思いで臨んだ試合でした。

結果的にこの大会は苦しい出足で、予選リーグも本当に首の皮一枚というところから、タイのブリーラム戦はアウェイでの厳しい戦いでしたが勝って、広州も厳しい相手でしたが勝って、今日、そういう勝ちを最後に繋げられて、決勝トーナメントに進出できたのを嬉しく思っています。本当に選手を誇りに思います。ありがとうございました。

ーACLの序盤戦、苦しい立ち上がりから素晴らしい巻き返しをみせました。こういう展開になったことは本意ではなかったとは思いますが、何が苦しかったのか教えていただけますか。

アジアのレベルは非常にあがっている、ということを戦ってみて改めて感じました。もちろんJリーグは開幕する前で、コンディション的にもまだまだ本調子じゃないという戦いでしたが、そういう中でこちらの準備不足もあったと思います。選手には本当に大変な苦労をかけたし、サポーターも心配させたと思います。ただ、協会、Jリーグも非常に熱心にサポートをしてくれて、やっぱりそうした一丸となってもう一度、ACLを日本のチームがとってやろうという気持ちが非常に伝わってきたし、そう言う気持ち応えなきゃいけないという思いにもだんだんなってきました。負けて、苦しいスタートになってから気づくのでは遅いのですが、最初の2連戦はチームとしても難しい状況で戦わなければいけなかったということで、そのあたりは私としても反省しています。選手はそういう難しい状況の中でよく戦ってくれたと思います。

ー後半の選手交代には監督の執念をみた気がします。どんな思いと狙いでカードを切りましたか?

後ろからのビルドアップというところで、なかなか、いつものいい時のガンバのビルドアップができていないという中で、スクランブルではありましたが岩下がある程度使える状態で、少し最終ラインからのフィードや落ち着きをもたらせたかったという部分と、大輝はサイドバックはJ2時代や昨年も何回かやったことがあるので、彼をいれることで高さも出てきますし、大輝はあまり考えずにどんどんあがっていくタイプの選手なので、その辺が巧く出てくれればと思っていました。あと倉田に関しては藤春が連戦で、外からみていても少しこちらが心配になるくらいコンディションが悪そうだったので。本来、倉田の右サイドは準備していたんですが…本人も「え?左ですか?」という感じだったんですけど、とにかく行ってこいと。結果的に、秋とのショートコーナーからのクロスから、こぼれ球でリンスがとってくれたし、本当にスクランブルな形でしたが、選手が、残り時間絶対に勝つんだと強い思いでプレーしてくれたことがこういう勝利に繋がったんじゃないかと思います。

●FW宇佐美貴史

~(MVPに選出されての感想は?)MVPに選ばれましたが、特にそれにふさわしい圧倒的なプレーをしたという印象はないです。ただチームが勢いづく上で必要同点ゴールを決められたということに関しては、少なからず勢いづけられたということだと思うので、そのへんに関しては良かったと思います。

ーこのACLは開幕2連敗から始まって、終わってみればグループリープ首位で突破になりました。巻き返しができた最大の要因はどのあたりにあると考えますか?

個々のコンディションがあがっていったこともそうだし、序盤戦にはなかった試合の中での細かい感覚の部分で、普段通りの自分たちのサッカーができるようになっていったというのも要因の1つだったと思います。Jのチャンピオンとして出ているので、このままで終わる訳にはいかないという執念、プライドも試合の中でみせることができたのかな、とは思います。

ー前半は城南のディフェンスが堅くて前にスペースがない時間帯が続いた。そのあと、宇佐美選手が左におりてから前への推進力が出たように思います。中盤になってからどんな風にイメージしてプレーしていたのでしょうか。

なかなか後ろからボールが動きながら前にいくという場面が少なかったように思いますし、もちろん全体的なタフな日程の中で、全体的な運動量も少ない中で、もう少し連動した動きだとか、ボールまわしを混ぜながら前にもっていくことが出来ればもっと簡単に崩せるシーンが多かったと思うんですが、それが出来なかった中で、監督の指示で左サイドにおちて、後ろと前を繋ぐ役割を担いながらサイドから仕掛けてシュートとか、決定的な場面を作れるように意識していました。1列落ちたら楽にボールが入ってくる事も多かったですし、個人としてはサイドに置いてもらってやりやすくなったので、チームもそこから割といい崩しが出来るようになったんじゃないかと思います。

ー誕生日のバースデーゴールを決めて、決勝トーナメントに進出できた。その感想と、決勝トーナメントに向けた意気込みを聞かせてください。

試合前から自分が決めて自分自身で祝いたいというのと、チームが決勝トーナメントにいくことができればそれが本当に自身へのプレゼントになると話していた。その通りになって、スタートが良くなかった分今はすごく充実感がありますし、今日の結果というのは、チームのみんなのおかげでもありますが、いい誕生日にしてもらえたという印象です。序盤戦すごく苦しんで決勝トーナメントでなんとか粘って粘って進めた分、失うものはなにもないと思うので、ガンバらしさを決勝トーナメントでも出しながらアジアチャンピオンを目指して頑張りたいと思います。

ー城南と戦った感想を。また決勝トーナメントではFCソウルと戦いますが戦い方のイメージはありますか?

城南に関してはアウェイで戦った時もホーム戦でも、すごく技術に溢れた選手が多くて、ボールを保持される時間も多くて苦労はしました。本当に決勝トーナメントに進出するにふさわしいチームとやれて光栄に思います。FCソウルに関してはまだ映像をみたことがないのですが、やることが決まったら、選手、チームをしっかり分析した上で僕たちらしい戦いをしたいと思います。FCソウルが名門だと言う事は知っているので、そういうチームと戦えるのはすごく誇らしく思います。

ーMVPにふさわしくないという言葉もありましたが。

はい。僕のは同点ゴールだったんで、リンスで良かったと思いますし、誕生日とかそういうのを含めてそういうのを決める人が空気を読んでくれたのかなとは思います。

ーゴールシーン。パトリックが足を伸ばせば届くかなというところへのパスでした。自分で狙おうという感じでした?

両方ですね。パトが少しアクションをしているのがみえたので、触ったら入る、触らなくても入るというようなボールを蹴ろうとしたらちょっと足元に入ってしまったんですけど、それが逆にいいボールを蹴れるきっかけになりました。去年も似たようなゴールがありましたがああいうイメージですね。触らなくても、触っても…っていうGKが一番悩むボールを蹴れればと思って蹴りました。(その前にパトリックが決定的なチャンスを外していましたが信頼や揺らがなかった?)そうですね。裏への走りとか、フィジカルもそうですがチームのために全力でやってくれているので。今年はパトに対してのパス、アシストが少ないのでそれも増やしていきたいと思っている中、パトの能力を引き出せたゴールでもあったんじゃないかと思います。

ーこのままでは終われないという気迫がプレーにも表れていましたが。

僕だけじゃなくてパトが突っ込んでいたというのもそうだし、(岩下)敬輔くんがクロスから折り返してちゃんとリンスが詰めていたというのもそうだし、チーム全員のプライドが出た試合だったと思います。僕らがもし決勝トーナメントに進めなければ柏だけになってしまうので、それはJリーグとして寂しい結果になってしまうので、僕らも決勝トーナメントに進んで、日本勢がACLでも上にいっていないといけないというプライドがあるので、それは出せたかなと思います。

ー今日は誕生日でしたが、今まで一番いい誕生日になりました?

いや、俺、結構、誕生日は充実しておくれているので(笑)。今日も充実していますけどそんなに寂しい人ではないので…今日が一番というのはないです。(結婚記念日ですが奥さんも喜んでいたのでは?)そうですね。それもよかったです。今日も試合にはきていました。まだ試合が終わったばかりなので、話せてないですけど。

●MF倉田秋

焦りはなかった。(左サイドでの出場でしたが)ハルが完全にばてていましたからね。左サイドのスペースがあいていたらどんどん行こうと思っていました。一度もあわせてなかったのですが、感覚でプレーしていました。今まで中盤でやったことと同じで、ポジションがさがっただけの感覚でした。相手も後半はばてていたので積極的にいけば絶対に点は獲れると思っていました。最後までもつれたのは良くなかったけど、一番下から這い上がってこれたのは、ちょっと強くなったという事かもしれない。頂点にいくまで戦いは続けたい。今のチームなら1点は絶対に獲れると思っていましたが、前半は焦りながらやっているような感じにみえました。相手が勢いのあるうちからこちらのサッカーに持っていけるようにならないといけない。去年もこういう試合を勝ち続けて三冠をとれたと思うので。(サイドバックではどんなことを意識してプレーしていましたか?)とりあえず自分のところでやられないようにっていうだけです。点は止めたかったんですけどね。

●MF今野泰幸

相手がしっかりとした守備をしてきたし、なかなか簡単に勝てる相手ではないなと思いながらプレーしていました。なかなかチャンスが作れない中でプレッシャーもきつかった。前半はバランスをとりながらやっていたけど、崖っぷちだったので、最後はバランスを崩してでもという感じでしたが、それがよかったんだと思います。今日の試合はとりあえず勝ち取りたかったので、それを達成できて満足しています。

●DF金正也

1失点目のシーン、少し僕の頭にあたって決まったので…前半は気持ちを立て直すのに必死でした。ハーフタイムに監督が何を言ったか覚えてないくらい、自分を立て直すのに必死でした。後半は勝つしかないという感じで丹羽ちゃんがあがっていたので2バック気味でした。1点さえ入れば、残り何分でも絶対に獲れると思っていました。最低限といえば最低限の結果ですが、1試合1試合、ここからまた優勝を目指してやっていきたいと思います。自分としては連戦で少しきつさも感じたので、もっとやれるようにしたい。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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