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今年最初の『京阪ダービー』はスコアレスドローで終了。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

6月7日に行われた京阪ダービー『ガンバ大阪VSヴィッセル神戸』戦。18437人の観衆が見守る中、前後半とも拮抗した展開に。注目を集めた『神戸キラー』、ガンバ大阪のFW宇佐美貴史にもゴールは生まれず、0−0で引き分けた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●ガンバ大阪/長谷川健太監督

両チームとも、非常にお疲れモードというか、アグレッシブさのないゲームでした。そういう意味では多くのサポーターが見に来てくれていただけに、もっともっと京阪ダービーにふさわしい試合をしなければいけなかったと思っています。

ーお疲れモード、の要因はどう考えますか?

連戦の最後、4連戦目で、連戦で出ている選手は、一番疲労のピークにきていたところもあったのかな、と思います。ただ、そういう中でもずっと言い続けていますが、タフに戦えなければ強くなれない。今日の試合前も、拘りを持ちながらサッカーをしていこうと話をして、気持ちは選手も持ってやってくれたと思うんですが、身体が言う事きかなかったのかな、と。前半の途中から両チームとも間延びして…神戸はそれが狙いだったんだと思いますが、コンパクトさもなく、ハーフタイムには、後半はもっとペースをあげなければいけないという話もした。ただ、なかなかパスのテンポも、動きもあがらないという中で、少しゴールが遠かったという感じはしています。

ー2トップの出来が良くなかったですが、今後も対応されることはこれからもあると思いますが。

前半の立ち上がりのところも、サイドでいい形を作れていたシーンも何回かあったので、両サイドで、もっともっとああいう形を作っていかなければいけないと思っています。あとは両脇の選手も何回かはシュートチャンスがありましたが、拮抗した試合中ではもっとサイドでの崩しを…FWを抑えられた局面ということでは、特に変化をつけるための動きをしていかなければいけないのかな、と思っています。どちらにしても代表ウィークに入りますので、中盤期間でしっかりと身体をリフレッシュさせて、また中断明けに、ホームで仙台の試合がありますから、もっとアグレッシブなサッカーをホームでできるようにしっかりと準備をしていきたいと思います。

ー残り3試合になりましたが、今日、首位の浦和勝って、勝ち点差が9に広がりました。何度も聞かれていると思いますが厳しい状況になりましたが。

そうやって質問されると最後まで諦めずに戦う、としかいいようがない。ファーストステージ、ガンバは残り3試合ありますが、最後まで浦和にプレッシャーをかけられるようにやり続けるしかない。ただ、ファースト、セカンドというレギュレーションではなく、年間を通しての勝ち点も今年のレギュレーションでは大事なので、昨年までと同様、年間通しての勝ち点をしっかり獲れるようにしていかなければいけないし。昔の2ステージ制であれば、ステージ優勝したチームしかチャンピオンシップに出れない状況でしたが、今回はそういうレギュレーションではないので。もちろんファーストステージも諦めた訳ではないが、最後まで1シーズン通して、という考え方も持ちながらしっかり戦っていく必要があると思います。

●FW宇佐美貴史

相手の守備が堅かったというよりは、自分たちのクオリティを出せなかった。あれくらいの枚数の掛け方とか、守備の仕方なら崩していかないといけなかった。(後半の攻撃、どういう変化をさせようと思っていましたか?)もう少しテンポをあげようという話はしていたのですが、なかなかあがらず、そんなに決定的なシーンも多く作れた訳ではなかったので。

ー勝ち点をこぼしたという印象?

こぼしたという訳でもないですし、でも負けにふさわしかったかといえばそうでもないし、今日は勝ち点1で、その通り、というような試合だったと思います。

ー神戸戦でのゴール記録。自分の記録のためにやっている訳ではないと思いますが、期待していたファンも多かったと思います。

はい、まず記録はいつかとまるものだし、むしろこのあたりで止まった方が良かったと思っているので。現役中ずっと続く訳ではないと思うので。もちろんそういうプレッシャーは好きですが、そこに左右される必要はないと思っているので。

ー2トップがいつもの切れがなかったように思いますが。

そうですね、二人で引っ張っていかないといけなかった。プレーの質とか、幅もそんなにいいものをみせられなかったので、それが攻撃全体に響いてしまったのかなと思います。

ー相手が真ん中を堅く閉じていた中で前にはるというより、後ろに下がってスペース作って、っていう動きが多かったように思いますが。

そこから、何回かサイドを突破した中で、中央、僕らのところをしめられていた中でサイドから突破していく人間がいればいいし、突破だけじゃなくて、サイドとのコンビネーションで崩して何回かはいい形がありましたけど、そこから入りの質だったりが、フィットはしていなかったと思う。あそこでもっと迫力もって崩していけるようになればまた真ん中もあいて、ということが出てきて主導権を握りながらやれるんですが、その部分で良くはなかったと思います。

ー代表戦に向けて。

切り替えて試合に向かうだけ。集中してやるだけ。こういう日程は確かに厳しいですけど、こういう日程の中でも戦える選手じゃないといけない。こういうハードなスケジュールも受け入れるような選手じゃないと代表選手は務まらないと思うので。

MF遠藤保仁

ー守備は2試合続けて無失点でしたが、攻撃はもう少しバリエーションが欲しかった、と?

そうですね、守備は守備陣だけということではなくてチーム全体としてよくなっていると思うし失点も非常に少なくなってきているので。今日も大きなミスもなかったし安定して戦えていると思う。あとはビルドアップとか、しっかりといいボール回しをしながら極力相手の陣地で長い間プレーできるように、いろんなところから攻撃して得点が獲れるようにしていきたい。

ー浦和と差が開きましたが。

まだリーグ全体でみれば、半分弱の試合が終わっただけなので。これからまだ先の戦いもあるし、あまりそういうのは気にせずに、1からやり直しということでもないので、毎試合、勝ち点を積み重ねて常に上位でいられるように、とりあえずはまず、3連勝してファーストステージを終えたいと思います。

ー勝ち点ということでみると、ここまでの戦いは順調だと思いますが。

そうですね。残り3つ勝てれば37までポイントを稼げると思うので、そう考えれば非常にいい…最高とはいえないけど、十分安定して重ねていると思う。去年に比べればポイントも稼いでますし、安定して重ねてとれていますしね。だからこそこれを最低限として続けていきたい。僕らは最初から、あまり1stステージ、2ndステージを分けて考えるのではなく、年間、トータルで一番上に立ちたいと思っている。だからこそ、あまりステージは気にせずに…今日の引き分けがすごく悪いとも思わないし、また一歩前進できたと思うので。あとは、勝ち点1を3にかえられるようにしていくことだけを考えたい。

ー今日もセットプレーから何度かチャンスがありましたが、これからはセットプレーも有効になっていくかと思いますが。

そうですね。セットプレーも大事な得点源ですし、今日もチャンスありましたしね。どの試合でも重要な役割を持つと思うからこそ、キッカーとして、常にいいボールを蹴らないといけないと思うし、常に脅威を、プレッシャーを与えられるようにしたい。セットプレーからもより多くのゴールが生まれるようにしていきたいですね。

●今野泰幸

正直いつか点が取れると思っていたけど…今日は後ろからも、サイドからもしっかり攻略できなかったから。向こうもよくなかったですけどね。サイドを突破したとしても、がっちり中を固めていたし、攻略し切れなかったというのが一番ですね。(原因は?)もっとみんなでしっかり考えて、どこがあくのかとか、どう動けばどうスペースがあくのかを考える必要があった。あとは最後の質ですよね。センタリングにしてもあわせるところはしっかりあわせていかないと得点には繋がらないと思うので。

ー相手はリアクションでくることは想定内だったと思いますが、思ったより、神戸の守備は堅かったという印象ですか?

しっかり守っていましたね。サイドで数的優位を作ってボールをもてればいけると思っていたけど、しっかりプレッシャーもきたし、突破されてもすぐに戻るし、かなり相手も守備を意識して試合をしていたと思います。ただ、明らかにバランスが悪いなって思うポジショニングの選手もいたので、そこを執拗に狙い続けるとか、つき続けるのもありだったと思う。(本来いつもなら試合中に修正できるところもできなかった)なんかね、いつか点が取れるだろう、という戦いを続けてしまいましたね。テンポアップせずにこのまま続けておけばいつか点が取れるだろうと思ってしまったのかもしれない。

●DF丹羽大輝

勝ちたかったです。ゼロで抑えられたのは良かったですが、攻撃で点を獲れなかったので。何かでチャンスを見出したかったんですが、なかなか崩せず、セットプレーでも流れの中からでも、そこまで決定的なチャンスもなく、様子を見合った試合だったのかなと思います。後ろはしっかりまずゼロで抑えておけば、いつかは前がとってくれるだろうと思ってやっていたんですが、なかなか崩せなかった。誰が、というより、全体的に運動量も少なかったし、連動した攻撃というのも少なかったので。3人目での崩しというのもなかなかなかったし、鹿島の時に比べれば、攻撃の迫力は出せなかったのかなと思います。(運動量もあがっていかなかった)そうですね。なんでだろう、という感じですが、ホーム戦でしたし、そのへんは出していかないといけないっていうのは思いました。だからこそ僕はセットプレーでの一発を狙っていたんですが、なかなかセットプレーでもボールがあわずに迫力を出せなかったので。こういう苦しい展開の時ほど、僕とか、敬輔がセットプレーで一発とれればチームを助けられるので、いつまでも貴史とパトに頼っているのではなく、セットプレーでも点を獲ってチームを助けたいと思う。そのへんは僕自身も反省です。でもゼロでおさえられたのは良かった。

ー明日からの代表戦にむけて。

ガンバでプレーしていることが評価されて代表に入れたと思うので、ガンバでやれているプレーだけを意識してやるだけ。特別な気負いもないし、いつも通り自分のプレーを出せればと思います。監督がどういうサッカーをしたいのかももう一回確認して、スポンジのように吸収して、帰ってきたいと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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