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<ガンバ大阪>今季初の公式戦は、黒星発進。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

国内における今年最初の公式戦、冨士ゼロックススーパーカップ2016『サンフレッチェ広島VSガンバ大阪』戦が日産スタジアムで開催。G大阪は広島に2点を先行される展開の中、エース宇佐美貴史がヘディングで今季の初ゴールを奪い反撃に出るも、広島にセットプレーから追加点を許して突き放され1−3で試合を終えた。試合後のG大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●長谷川健太監督

先制されて、そのあと…丹羽は顔です、という話をしていたんですがPKを与えて失点し、前がかりにならなければいけない状況で試合が展開していった。そのへんくらいまではよかったんですが、1点返した後、3点目を広島にセットプレーから決められた。今シーズン、加入した選手も何人か起用してどのくらいやれるか、というところで、前半はうまくハマらなかったというか。危ない場面はなかったとはいえ、狙っていたような前線からの守備ができなかった。それもあり後半は、少し並びをかえて、若干、後半の方がアグレッシブにいけましたが、まだまだ、成熟度というところでは積み上げていかなければいけないと感じました。今日の負けをACLやJリーグの開幕戦の方にいかすことが大事だと思いますので、寒い中、きてくださったたくさんのガンバのサポーターに勝利をプレゼントできなかったのは申し訳なかったのですが、ここから先の試合に今日の結果を繋げていければと思います。

ーさきほど守備がはまらなかったというのは前線の守備のことですか?

そうです。アジとパトが青山のことを気にし過ぎたというか、そのへんをうまく二人で消してくれたらよかったですが、そこまで頑張って…パトなんかもアデの分をしっかりカバーしようとしていたんだと思いますが、逆にそこを気に過ぎるあまり、センターバックになかなかプレッシャーをかけられなかった。前半はどちらかというと広島ペースでのんびりした感じで進んでいた。あれでは見ている人もつまらないはず。やはりアグレッシブに…こちら側から動かしていかないと、広島側から動くことはないと思うので。もっと前線から、昨年の終盤のようなメリハリをもった形にできればよかった。まだそのへんは連携の面で課題があるなと感じました。その部分で、広島は昨年のメンバーで臨んできましたが、成熟してるなと感じました。

ー倉田の前線からの守備には意図が感じられますが、パトリックやアデミウソン、宇佐美選手の守備にはそういう意図が感じられない。単に寄るだけという気がしてならない。

僕はそうは思っていないです。まず、昨年の終盤くらいから秋が前線にはいって、秋もパトリックも非常に守備をしてくれましので、彼らが全く守備をしなかったとは思っていません。また、貴史も今日は…去年の貴史に比べたらよほど頑張って守備をしていたのでそのへんは組み合わせなのかな、と。でもそういうことも、こうして試合で使わないと明確にはならないので。なかなか始めからうまくいかないものだし、チームが変わろうとする時はどうしても変化の前の苦しさもあると思いますしね。いまは新しく、ガンバ大阪が一つレベルをあげるためにも、今は苦しまなければいけない時期だと思いますし、逆にこういう苦しみを乗り越えたらチームとしてのレベルがまた一段階あがると思っています。もちろん、倉田を最初から使って、昨年のメンバーでやればうまくいくということは、キャンプの時からわかっていました。ただ、広島相手に使ってみないと何ともいえないとも思ったので。公式戦の中でしか試せない部分もあるし、やってみて初めて気づくこともあるはずなので。ただ、大事なのは先ほども言った通り、この結果を次のACL、リーグ戦に繋げていくことだと思っています。

●倉田秋

監督から2−0だったので仕掛けていくしかないといわれていたので、守備より攻撃を意識し手プレーしていて、1点を返したまではよかったけど、3点目がいらなかったですね。(去年にはなかった交代した選手が迫力を出せるのはチームとしても収穫だと言える部分でしょうか)今年は戦力も増えたので、いろんな選手を使えると思うので。スタメンで出るメンバーも、出てないメンバーも1つになって戦えれば強みかな、と。ただ今はまだ1つになって戦えていない気がするので。1つになってやっていきたいです。すぐまたACLもあるし引きずらずにやっていきたい。(個人的な動きは悪くない。先日の名古屋戦を含め公式戦で90分やっていないことについては不安はない?)そうですね。キャンプでも90分はやったので。僕ももう10年目なんで、90分、いきなりいっても最初から出せる準備はしているのでそこは問題ないと思います。(秋が出ればうまくいくのは分かっている中で途中からになっている。そのへんは理解して?)そうですね、監督が信頼してくれているのは十分わかっているし、あとは自分が応えるだけだと思っているので、別にスタメンだろうが、途中からだろうが、今年全てのタイトルを獲るために仕方がない事だと思っているので。(去年すこしスタートが悪かったことを踏まえても、次が大事になってくる)そうですね。去年も最初のACLが悪くてちょっと引っ張ってしまった気がするので。逆に今年はゼロックスに負けて引き締まった感じはあるので、緊張感を持ちながら戦っていきたいです。

●阿部浩之

ブロックを作られた時のコンビネーションはもう少しつめていかないといけないですが、カウンターは常々狙っていたし、アデがパトとかぶらずにいい動きができたら絶対にいいカウンターができると思う。それを、状況に応じてどこを使うかっていうのは僕らの判断なのですが、その部分で今日はあまりうまくいかなかったですね。取り方自体もあまりよくなかったし、カウンター自体もあまりできなかったので。そういうところをつめていければと思う。(前線からの守備がはまっていないせいか連動を欠いたように見えた)もうちょっと前がはまるように僕らもしっかりコーチングしながらやっていければもっとやりやすいはずだし、パトやアデももう少し仕事の役割分担をしながらハメていけるようになれば、広島のようなフォーメーションは最近多いので、どことやるにしても、それは大事になってくると思う。(コンビネーションをつめていかないと、というのは具体的に一番いまどこにズレを感じていますか?)真ん中は結構狙われているし、そういうところでもう少し幅をとるとか、真ん中をあけといていいタイミングで入ってくるとか、最初から真ん中にいて食われる部分が多かったので、そのへんは改善する余地はあると思います。(阿部選手自体は攻撃には巧く絡めていましたね)そうですね。シュートも打てていましたし、もうちょっと惜しいシーンを作れたらよかったけど、個人的には思ったより動けてよかったけど、チームの勝利に繋がらなかったのでそこはもう少しあげていくというのと、ボールに絡めるようにしたい。

●宇佐美貴史

広島とやるときはいつもああなるというか。相手はスローペースでやってくるので、自分たちもそのペースに巻き込まれてしまった感があるので。ボールを保持される中でもしっかり保持しかえして、という作業が前半は全くなかったので、もっともっと、個々のコンビネーションの出来とか、もっともっと同じ物を描かなければいけないと思います。それはでもまだまだ試合をこなせば、全然できることなので。悲観はしてないですけどもっともっと質をあげていかないと、ということは思いました。(今日の試合での収穫をあげるなら?)今日よくなかった事じゃないですか。今日コンビネーションがうまくいかなかったこと。また前の3人、パトも含めてもっといい動きをして後ろを引き上げるようなプレーをしなければいけないし、そこの質がもっとあがってこれば…少しでもあがることで、1人が少しでもアドバンテージ作る事ができれば、あとは出来る選手ばかりなので。そういう意味ではまだまだ自分たちのポテンシャルを活かし切れていないとは感じました。(前線からの守備がはまっていかなくて、連動を欠いたように思いますが)そうですね、いくとき、行かない時をもう少し、はっきりやれればと思いますけど、その辺の守備の連携も、もっともっと…毎年うちはスロースターターだけに、どれだけ早くそういう部分をあげていけるかじゃないかな、と思います。(宇佐美選手自身にはいいゴールが生まれていいスタートがきれました)そうですね。ああいうポイントに入っていってワンタッチできめるというシーンは絶対に必要になってくるので。そういうシーンが出せたことと、1つ得点が生まれたことで流れもできると思うし。去年もゼロックスで点を獲ってから、割とこう…量産することができたので。今日は結果に繋がらなかったのでそれは残念でしたけど。(今日みたいなゴールってプロになってからありました?)あまりないですかね。ああいうポイントに入って、あと少しのモーションで点を獲るというのは。後半は真ん中に入ったからあそこに入っていけたというのもあったし、1つ前に出て誘い出して、っていうのを阿部ちゃんが分かってくれたら、と思っていたら阿部ちゃんもしっかりそれを理解してくれていたし、最後は阿部ちゃんのクロスの質が全てだと思います。(宇佐美選手だけじゃないと思いますが、左利きの藤本淳吾選手が入って前線に動きが増え、すごくやりやすそうにみえました)そうですね。中に視野をとってくれるので。秋くんと淳吾さんが二人とも中で視野がとれるので、すごく真ん中にいると動きやすかったし、1本、チャンスも作れましたしね。ああいうシーンが左利きの選手がいると増えてくるし、また淳吾さんはパスの質もスペシャルなものをもっているので、そういうキックを活かせる動きをしやすいですね。

●井手口陽介

(90分しっかり戦えました。手応えは?)まだまだ攻撃になった時に自分とかがもっと出て行ったり,関わっていけたらまたリズムは変わると思うし、そういったところで裏に飛び出すとかできれば良かったです。前線からの守備の部分でももう少しいくところとか、声で指示を出来れば良かった。(入りもスムーズでしたね)そうですね。(前からのプレス含めて本来やろうとする形が出ない中でも、縦パスをいれたり、攻撃を作るパスを出していましたが)そうですね。相手がひいている中で自分は1タッチとかでくさびをいれようという風には思っていました。(逆に課題と言えば1失点目のところですかね)そうですね。もっとあそこで自分が取り切っていたら、いかれていなかった部分だったのでああいうシーンはもっとしっかり潰していかないといけない。ひかれた相手は正直、やりづらいですが、だからこそ、例えばワンタッチ、ツータッチで縦に当てながらというのは意識してプレーしなければいけないと感じました。

●オ・ジェソク

負けたことは悔しかったですけど、4日後にACLの開幕戦があるので切り替えて、今日よくなかったことを改善していけばいいと思います。(名古屋戦は大事をとって今日は公式戦で初めての90分、コンディション的には問題なく?)そうですね。思ったよりあがってきてるなと思ったし、去年なかなか終盤はチームに貢献できなかったので、今年は最初からチームに貢献できるように頑張って行きたい。(個人的には去年広島戦で悔しい思いもした。それだけに気持ちも入っていたのでは?)どの試合より気持ちは強かったですけど、だから負けて悔しいけど、今シーズンまだ対戦する機会はあるので、またその時にしっかりリベンジしたいです。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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