Yahoo!ニュース

<ガンバ大阪>ホームの地で宇佐美にゴールが生まれるも、勝ち切れず。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

約1ヶ月ぶりにホーム・市立吹田サッカースタジアムで行われたJ1リーグ、湘南ベルマーレ戦。10分という早い時間帯に湘南に先制を許す苦しい展開も、前半終了間際に追いつき、勝負は後半へ。その後半は58分に、セットプレーからDF岩下敬輔の今季初ゴールと、82分にFW宇佐美貴史のホームでの初ゴールが生まれ、2度のリードを奪うが、結果的には湘南のチョウ監督も「監督をやってきて3点ともああいうシュートが入ったのは初めて」と驚いたスーパーゴール3発に泣き、引き分けで試合を終えた。試合後のガンバ大阪・長谷川健太監督、選手のコメントをお届けする。

●ガンバ大阪/長谷川健太監督

ホームで勝ち点3をとれなくて非常に残念ですが、選手はタフな状況の中で、先制される展開の中で前半のうちに追いつき、後半一度はリードして、3点を獲って、気持ちを出して戦ってくれた。ただサポーターは勝利を求めてると思いますので、そう言う意味では、勝利をプレゼントできなかったのは非常に悔しい。次の浦和戦、選手としっかり準備をしていきたいと思っています。

1点目も2点目も相手のシュートがスーパーで、3点目はなんとか寄せられればというところで若干反応が遅れ…特に点を獲ったあと、勝ち越した後の失点だったので。ああいうところの集中力はサッカーでは鉄則だし、まだまだあそこで一瞬の隙を突かれるあたりに甘さがあると感じています。ただポジティブに考えれば3点をとれた、と。今季はホームでのゴール欠乏症に陥っていた中で、ホームでの前節、磐田戦で逆転で2点獲れたところから、今節もまた3点獲れたというところでは、選手のスタジアムへのフィットだとか、気持ちの部分でもだいぶ前向きに、ゴールに対してどん欲になってきているのかなと思う。引き続き、得点のところには刺激を与えながら、3失点してしまった守備のところは引き締めて次の試合に臨みたいと思います。

ー遠藤選手を早めにボランチに下げた狙いを聞かせてください。

アデミウソンのところの守備というところで、前節の東京戦の後半も突かれてしまい…どのチームも分析してきているのは感じていて、今週は若干、そこへの準備はさせたつもりでしたがまだ甘さがあり、うまく守備の部分では機能できていなかった。特に先手とられたあと、もう1点獲られると非常に苦しい展開になると思ったので配置をかえた。倉田はどこでもできる選手なので、倉田をサイドに据え、湘南のストロングというか…三竿が左からあがってくるところで左サイドの攻撃が少し流動的にきていたことへの対応を考えた。本来は自分たちがイニシアチブをとってそこを制圧できれば相手の相手のストロングの部分もウィークになるというところもあると思いますので、どちらかと思ってみていたんですが、なかなか自分たちのテンポになっていかなかったので遠藤をさげて倉田をサイドに出して、アデミウソンをトップ下にしたのもありました。前半の残り20分くらいがどうなるかなと思ってみていましたが、結果的にそれからボールが動き出して、同点ゴールもセットプレーでしたが生まれたのは良かったと思います。ただ、やっぱりそういう隙をみせるとどのチームもついてくるので、そこは引き続きしっかり準備させていきたいと思います。

ー宇佐美選手にホームでの初ゴールが生まれました。評価を。

今日はアシストもしましたし、最後3点目、ホームでの初ゴールも生まれましたが、今日の試合の前に代表戦を2試合、フル出場ではありませんが2試合やって今日の試合でしたが、タフなコンディションの中で、非常に厳しい状態だったと思いますがそういう中でも最後まできちっとプレーしてくれた。良くやってくれたと思っています。ホームでゴールが生まれたというところは彼がこれから乗って…今後どうなるかはわかりませんが…ホームで得点を獲り続けて欲しいと思っています。

●FW宇佐美貴史

(ゴールシーンについて)無人のゴールだったので、いれるだけでした。しっかり見えていました。(ようやくという感じですか?)そうですね。(ただ、あのまましっかり勝てないと、というところだと思いますが)そうですね。3点目に限らず2点目がはいってから、またすぐ決められて同じことを繰り返してしまったので。パターンとしても相手のスーパーゴールというのもありますが、防げる失点ばかりだったので。例えば1失点目なら、ゴールの表にクリアしないと、とか基本的なことをやっていれば防げたと思いますし2点目ももう少し寄せていればというか、プレッシャーをかけるだけでも全然違ったはず。3点目もあそこにこぼしてはいけないと思うので、そういう些細なミスから相手のスーパーゴールに繋がっているので、もったいない失点だと感じました。(吹田スタジアムでの初ゴールについて)時間帯もそうだし、勝ち越し点だったので、このまま終わればというムードを作れたのはすごくいい得点だったと思いますが、そのあとすぐに決められたので。勝ちに繋がる得点を、3点目追いつかれてからは5〜6分あったので決められたら良かったんですが。(コーナーからも得点を演出しましたが)そうですね。割と良いボールを入れられていたと思うし、アシストがついたのはしっかり決め手の質というか敬輔くんのヘディングが素晴らしかったということに、助けられました。(攻撃のところヤットがボランチに下がったり、ということもありましたが、攻撃にはどういう手応えを感じましたか?)攻撃のところというかまず守備のところで相手にスムーズにリズムを作られていましたし、あそこでポジションをかえてからは割とこっちのリズムになったりとか、いいシーンもちょくちょくはあったので、セットプレー2つですけど3得点獲れたというところではやっぱり失点をもう少しチーム全体で減らさないといけないと感じました。(前回のホームでも2得点獲りましたが、ホームで得点力があがってきていることはポジティブに考えたいところですか?)そうですね。攻撃の連係面では徐々によくなってきているとか、後ろで繋いでいるだけで全くチャンスにならない、というような状況ではなくなってきていると思います。あとはそれをしながら、最後決めさせないというところの踏ん張りというか、それをディフェンスラインだけじゃなくてチーム全体でやらないといけないと思います。

●DF岩下敬輔

貴史は、僕がこれまで「大事な試合だから点を獲ってくれ」といっていた試合は必ず点を獲ってくれていたので。実際に今日も「貴史は今日は2点くらい獲れる日だから、頼むよ」と言っていたらしっかりとってくれたんですけど、勝ち切れなかったのはすごく悔しいです。(失点のところは相手のシュートもすごかったとはいえ防げる得点もあったと思います)3点とも、偶然に入ったとは思っていないし、前半のうちから10本くらい打たれていた中で同じ選手が打った3本のうち2本を決められているということからも、偶然ではないと思っています。J1クラスだと、それだけ打っていれば自分の感覚を確かめながら打てば枠に飛んでくるはずだし、僕たちから見ても、打たせているというより、打たれて決められたという意味では、必然と失点してしまったのかなと思います。やっぱりそこはもっと改善していかないといけないし、FWの選手がいくのか、中盤の選手がいくのか、確認というのはもっとしなければいけない。(暑さが厳しくなっていけばそこでの1歩が出にくくなる。そこが1つキーになってくると思いますが)本当にそうだと思いますが、ただ、それは相手も同じ条件なので。とはいえ、気持ちの差とか球際の寄せのスピードとか迫力という部分も結果に反映してくるところなので、そこはもっと全員が意識しなければいけないし、前の選手たちにも要求していかないといけないのかなと感じました。(ご自身の200試合目の試合でしたが、そういう節目にゴールを決めたのは初めてだと思いますが)そうですね。ただ、サッカーは自分だけでやっている訳じゃないしいろんな人にお世話になりながらやってきての200試合であり、結果だと思っています。またこういう節目を…この200試合、殆ど一緒に仕事をしてきた健太さん(長谷川監督)と今もこうして同じチームで仕事をさせてもらっているからこそ、勝ちたかった、勝たせてあげたかったという思いも強い。そう言う意味ではもっとチームのために結果を求めていかなければいけないと感じました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

高村美砂の最近の記事