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<ガンバ大阪>宿敵・浦和戦はリードを守りきれず、ドロー。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

J1リーグ4節の浦和戦。34733人という満員のスタジアムがこの一戦の重みを物語る。前半は浦和ペース。再三にわたり押し込まれるシーンが続いたが、そこを耐えて無失点で折り返すと、後半、57分に、少ないチャンスから最後はMF今野泰幸が頭であわせて先制に成功する。だが、その約15分後、GK藤ヶ谷陽介が左ふくらはぎを痛めるアクシデント。プロ6年目のGK田尻健がJ1デビューを飾るべくピッチに立ってからも、GK田尻を含め全員が守備への意識を強め、リードを守ろうと体を張るが、6分と表示されたアディショナルタイムも2分を過ぎた頃、ゴール前の混戦から痛恨のハンドをとられPKを与えてしまう。結果、そのビッグチャンスを浦和に決められ、1−1で試合を終えた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●長谷川健太監督

選手は本当に最後まで戦う気持ち、姿勢を表現してくれた。浦和も入りがああいう形で柏木を遠藤につけてきた中で、非常に両チームともお互いをリスペクト…しすぎることはなく、でもするところはしっかりして、試合に入ったという感じがしました。そういう中でなかなか前半はいいビルドアップができなかった。ただ後半は特に正也あたりには「行け!」という話をハーフタイムにして、後半は非常に彼も高い位置をとって、そこから前につけて、と、前半はほとんど機能しなかった左サイドでしたが、後半はそういう中からオ・ジェソクからいいクロスがあがり、1つ狙っている形で今野が点を取ってくれたのは非常に大きな先制点でした。終盤、だいぶ押し込まれる時間もありましたが、あの辺は負けているチームは前に出て来ますし、勝っているチームはああいう形でしっかり対応しながら、というところで、本当は出てきた相手に対してカウンターから狙えるようになってきたら更にチームとして成熟していくと思いますが、ただ藤ヶ谷がああいった形で怪我をして、田尻が出て、ジェソクなんかも水曜日の試合で少し発熱があって、木曜日も少し熱が下がらない中、藤春の状態があったので緊急的に出しましたが、よくあの時間帯まで責務を果たしてくれたと思います。ウイングバックのところは、けが人等々がいる中で、この7連戦、本当に初瀬、ジェソクが頑張ってくれたなと思います。2週間のブレイクがあるので、米倉もだいぶ練習に復帰してきましたし、GKのところは少し怪我の状態を見極めないといけないと思います。赤崎も今日吹田でデビューして、短い時間でしたが、ああいうアグレッシブなプレーをみせてくれたので、リーグ戦に関しては今後非常に期待できる選手だと思います。井手口も終盤、まだまだ本調子じゃないようにみえましたが復帰してきましたので、いま中盤の3人がずっと出ずっぱりで、疲労がある中、ああいう形の攻撃を受けた中でもきちっと対応してくれたことをたくましく感じました。PKの部分はレフェリーの方が近くでみていたので…今、映像をみてきましたけど、若干、体から手が離れているので、取られても仕方ない部分もあったのかなと思いますが、最後のFKはいらないんじゃないかなと思っています。井手口がしっかりボールにコンタクトした後に体にいっていますので。結果的にしっかり対応できたとはいえ、正当なきちっとしたジャッジを引き続きお願いしたいなと思いました。

ー藤春選手の状態というのは?

疲労性のもので…アデレードの試合での打撲から痛みを抱えながら我慢して、やらざるを得ない状況でずっと出て来て、ここにきて、前回の江蘇の試合も非常に活躍してくれましたので、そういう中で少し痛みが強くなったということで、4日間オフをとろうと思っていますが、新潟戦に向けてメディカルと少し相談しながら、本人にも状態を聴きながら、どうするのかということは考えていきたいと思っています。

ーゴールを挙げた今野選手は代表復帰しましたが彼の評価と、あと藤ヶ谷選手の状態について教えてください。

今ちゃんは本当に、疲れもあると思いますがアグレッシブにプレーしてくれて、ああいう形で入って点を取る仕事を今シーズンはしてくれていますし本当に素晴らしい活躍をしてくてくれていると思います。藤ヶ谷はキャンプ中に一度、ふくらはぎを痛めたのですが、逆足のようなので少し緊張もあったのか…後半が始まるときに少し違和感を覚えていたらしく、それが、やっているうちにピリッときたと言っていたので。詳細は MRIをとってみないとわからないですが、すぐに復帰というのは難しいかもしれません。

●FW赤崎秀平

出たときはまだ勝っている状況だったので、監督からは、しっかり浦和の柏木さんのところをケアすることと、もう1点とれるように指示を受けていたのでそれがもう少しできればよかったですけど、失点はしょうがなかったかなと思っています。(そんなにあわす時間もなかったと思いますがやってみた感触は?)出たときはスペースがたくさんあった状態だったので、もう少しいろんな状態の時のコンビネーションを高めていければいいかなと思います。(合流して時間がなかった中で、そういうときはどういうことを意識してプレーするんですか?)監督は常に練習から攻守の切り替えの速度をいっていますし、プラスバックのところだったり、守備のところは今年のテーマだと監督からも伝えられていたので、そこは意識してやれたかなと思います。ただコンビネーションのところだったり、パスを出せる選手はたくさんいるので、そこからもっと引き出せればチャンスになるかなとは感じています。

●GK藤ケ谷陽介

情けないです。せっかくの…僕にとってはチャンスだったし、怪我で途中交代というのでチームに迷惑もかけてしまった。(あの直前に蹴ったときに痛めました?)いや、後半が始まってちょっとしたくらいから違和感を感じていて、おかしいなと思って。それでもできそうだったので、やっていたんですが、途中で、ぴきっときて、そこからも100%で走れない感じになってしまった。(肉離れ?)だと思います。キャンプでやった時とは逆の左のふくらはぎです。ドクターに相談して、MRIはとると思いますけど。(Jリーグは久しぶりで試合には落ち着いて入れていたように見えました)そうですね。久しぶりの試合でしたけど、前半は危ないシーンはありましたがなんとか耐えて、ゼロで行けていたし、自分のプレーに関してもそんなに違和感なくできていたと思うので、それだけに情けないです。

●GK田尻健

(あの状況で出番がきて、どんなことを考えながらピッチに立ちましたか?)そんなに、日頃からああいう代表クラスの選手と一緒に練習しているので、入る前は少し自分も緊張するかなっていう感じもあったんですが、まったくそんなこともなくすんなり入れたので、その点についてはいい意味で自分が考えていたことを裏切ってくれたなというのはありました。(田尻選手がピッチに立って、相手の最初のビッグチャンスを止めたことで少し落ち着いた部分もあったのでしょうか?)そうですね。最初1:1を止める前にクロスボールをとりにいったんですが、あそこで物怖じせずにキャッチできたので。ちょっとしたプレーでしたけど、これでちょっと大丈夫だなって考えられたので、それがあの1:1のプレーにもつながったと思います。(試合に入る時に槙野選手に何か言われましたよね?)「俺、シュート打つぞ」みたいな感じで言われて。森脇選手も一緒にきたんですけど「こいつのシュート、超ぶれるぞ」みたいな感じで二人でプレッシャーというか、かけてきて、それもいい経験だったというか、ガンバの中では経験できないことなので、こういう選手もいるんだな、っていうのを知るいい機会になりました。(PKのシーンは反応はできたけど、止めることはできなかった)そうですね。昨日、スカウティングのビデオをみていて、ラファエル・シルバがあっち側に蹴るのはみていたので、でもコースも良くて球も早かったので…それを言い訳にはしたくないんですけど、PKの入りとか、反応のスピードをあげていってあれを止められるようにならないと、前節のひがしくん(東口順昭)みたいなビッグセーブもできないので、課題というか、あれを止められるようにならないといけないなと感じました。(トータル30分近くあったけどどんな時間でした?)あっという間でした。外から見ている中でも前半もすぐ終わりましたし、いつもベンチに入って心がけけていることが…外から見ていても、試合の状況を想像しながら自分が入っていたらこういうプレーをするだろうなっていうのを考えながら見ているので、それもすんなり入れた要因の1つかなと思うし、それがピッチでもあっという間に時間を感じることにつながったのかなと思います。(理想を言えば勝ちたかった)もちろん、勝ちたかったです。ただただ、悔しかったです。自分が入ってああやって失点して、チームも勝ち点3をとれる状況だったのに2減らしてしまって、あれも止めないと行けないなっていうのは重々感じましたし、あそこでほんまに止めたらヒーローだったのにっていうのを考えるとなおさら悔しい気持ちが大きいです。(送り出される時に監督からは何か言われましたか?)行こうぜ、頑張れよ、みたいな感じで…一言で。結構ベンチのみんなも「大丈夫だから」とかいってくれてて。淳吾さんは逆に「健にはそんなビッグセーブを期待してないから大丈夫だから」って言ってくれて(笑)、それで逆に落ち着けたというか、リラックスできたのですごいよかったです。(DF陣もセットプレーで何度も体を張ってくれた)そうですね。みんなが助けてくれて、すごい感謝していますし、やっぱり自分一人では守れないので、いつも以上に、練習でも感じていますがみんなの存在が大きかったなと思いました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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