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スタートは上々のBリーグ。今後改善してほしいことや今後の注目点は?

青木崇Basketball Writer
アルバルクとキングスが対戦した開幕戦前のセレモニーより(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

9月22日のアルバルク東京対琉球ゴールデンキングスで華々しく開幕したのを皮切りに、2週間でB1を4試合、B2を1試合取材してきた。各会場で共通して感じられたのは、エンターテイメント性を高める演出にかなり力を入れていること。その一方で、ファンのためだけでなく、選手やレフェリーにもプラスになる対応をしてほしいことがいくつかあった。また、ちょっとした注目ポイントについても、ここで紹介しよう。

★Bリーグへの要望、その1

三遠ネオフェニックスが川崎ブレイブサンンダーズに72対70で競り勝った試合、ラストプレイがブザービーターで同点で延長突入か否かという状況になった。川崎は藤井祐眞のアシストからライアン・スパングラーがシュートを入れたものの、ゲームクロックが0:00となった後ということをリプレイで確認してから試合が終わったのである。会場の豊橋市総合体育館は、バックボードの上にあるのが24秒クロックのみで、ゲームクロックが別の場所に設置されていた。もし、ゲームクロックも24秒クロックと一緒にバックボードの上にあれば、ドライブした藤井は残り時間が視野に入る状態でプレイできただろう。レフェリーにしてみれば、シュートが時間内にリリースされたかどうかも肉眼でチェックしやすくなるだけでなく、リプレイでも確認しやすくなる。ゲームの質を上げるという点で、B1については全チームがバックボードの上にゲームと24秒が同時に見られるクロックの設置を義務付けるべき。規格を統一させるために、Bリーグが供給してもいいのではないか?

富山ではゲームと24秒クロックが同時に見られる(撮影:青木崇)
富山ではゲームと24秒クロックが同時に見られる(撮影:青木崇)

★Bリーグへの要望、その2

試合を盛り上げるうえで、MCの存在は欠かせない。しかし、試合の進行で必要な場内アナウンスが不十分で、NBLやbjリーグの時から変わっていない点があった。一つは、相手チームの得点した選手の名前をまったくアナウンスしないチームがあったこと。2つ目は、ファウルした選手の名前がアナウンスされても、個人とチームのファウル数を言わない点だ。アメリカでは高校の試合でも当たり前にこれらのアナウンスが行われており、Bリーグもプロリーグと名乗る以上、全チームに徹底させてほしいと思う。ただし、いいこともあった。それは、2日に行われた富山グラウジーズと三遠の試合中、宇都直輝がテクニカルファウルをコールされたシーンだ。コールした後にレフェリーが、「1度警告した後、再び故意に倒れる行為(フロップ)をしたため」とマイクを使って説明。フロップがテクニカル・ファウルになることを知らないファンの多い現状からすれば、レフェリーはいい仕事をしていた。もし、レフェリーに文句を言っていないにもかかわらずテクニカル・ファウルがコールされた場合は、フロップが理由の大半と判断していいだろう。

★Bリーグへの要望、その3

10月2日に富山へ行った際、ドリュー・ヴァイニーが故障で欠場していることは知っていた。しかし、一部のファンから「なんで出ていないの?」という声を耳にした。チームによって選手の故障をひた隠そうとする傾向があるのは、Bリーグになっても変わっていない。お目当ての選手を見たくて初めて生で観戦しに行ったにもかかわらず、試合前にウォームアップしていないというシーンを見て欠場なんだとわかれば、その人はまちがいなくガッカリするはずだ。そういったことを少しでも回避するためにも、1戦目の前日に故障者情報をチームが公表させることを、Bリーグの規定にしてほしいと思う。メディアにとっても、必要な情報であるからだ。ちなみに、NBAではゲームノートの中にInjury Reportが必ず掲載されており、試合前にSNSで選手が欠場か出場するかの情報をチームが提供している。

3日に行われたブレイザーズ戦前にツイートされたユタ・ジャズの故障者情報
3日に行われたブレイザーズ戦前にツイートされたユタ・ジャズの故障者情報

★メンフィス・タイガース

今シーズンのB1、B2には、多くの新外国人選手がやってきた。彼らの出身校を調べていくと、メンフィス大の選手がなんと3人。アール・バロン(富山)とロドニー・カーニー(ファイティングイーグルス名古屋)は元NBA選手であり、ロバート・ドジャー(三遠)もデリック・ローズ(ニックス)のチームメイトとして、2008年にNCAAトーナメント決勝を戦った経歴がある。バロンは出場機会がなかったといえ、2006年にヒートの一員としてNBAチャンピオンになっている。「今もプレイできているのは、シャキール・オニールやアロンゾ・モーニング相手に練習してきた経験が生きている」と語る35歳のベテランは、第2節の三遠戦で高校時代から知っているというドジャーとマッチアップし、10月2日の試合で18点、11リバウンドをマーク。一方のドジャーも平均17点、9リバウンドで三遠の開幕4連勝に大きく貢献している。カーニーは開幕早々に左足を故障して現在欠場中だが、元々素晴らしい跳躍力と身体能力を兼備したフォワードであり、ダンクでファンを魅了できる選手。復帰までしばらく待たなければいけないが、ライブで見る前に一度NBAや大学時代のハイライトでチェックすることをお勧めする。

★大阪エヴェッサ

bjリーグで3度優勝した実績がある大阪エヴェッサは、舞洲にある府民共済SUPERアリーナが本拠地。7000人以上収容でき、今シーズンはスコアボードの上にビッグスクリーンを設置するなど、アリーナと呼ぶにふさわしい施設である。しかし、いろいろな人から耳にしていたといえ、実際に足を運んでみると、アクセスは確かに悪い。エヴェッサのスタッフとアクセスの話をしたところ、シャトルバス運行実現に向け大阪市と交渉しているそうだ。とはいえ、一度アリーナ内に入れば、ファンを楽しませるための新しい演出(ここで詳しく紹介されている:http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201609260002-spnavi)があり、ゲームでは元NBA選手のジョシュ・ハレルソンはかなり活躍する気がした。

ここまで平均14リバウンドがBリーグ1位を記録するなど、すでに欠かせない選手となっているハレルソンだが、ケンタッキー大時代にまったく出番のない控えの時期もあった。しかし、ハードワークでジョン・カリパリコーチの信頼を勝ち取り、4年生時の2011年にNCAAファイナル・フォー進出の原動力となった。ニックスでNBAデビューを果たすとファンの人気者になり、「ヒートのメンバーでマディソン・スクエア・ガーデンに戻ってきた時、ファンからスタンディング・オベーションで歓迎されたことがNBAで最高の思い出」と語る。ヒート時代、レブロン・ジェームス、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュと一緒にプレイした経験のあることからも、注目選手としてお勧めしたい。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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