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【速報】カジノ法案、衆院に再提出

木曽崇国際カジノ研究所・所長

先ほど、自民党のIR議連系の議員事務所から、本日17時に我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入を推進するIR推進法案が衆議院に提出されたとのご連絡がありましたので、皆様にもご報告申し上げます。

本法案は昨年の通常国会にも提出されており、11月の衆院の解散に伴って廃案になっていたもの。先月のIR議連の総会にて、ギャンブル依存症対策をより前面に打ち出した自国民の入場規制に関する項目が加えられましたが、それ以外の部分に関してはほぼ前回のものと同じ形式での再提出となりました。

そもそも、本法案に関しては政権与党である自民と公明の両党間で大きな温度差が存在していまして、統一地方選の前までは「公明党幹部が反対を示唆している」などという報道もなされていました。それが、統一地方選の前半戦の終わった今月17日、公明党側から「党として法案に了承できないとしても、自民党がそれを提出することに関しては容認する」というメッセージが発せられ、法案提出までの道筋が一気に開かれました。

4月2日産経新聞:

「カジノ法案に公明なお難色 党幹部は「反対」示唆 背景に統一選と安保法案」

http://www.sankei.com/politics/news/150402/plt1504020003-n1.html

4月17日時事通信:

カジノ法案、自民の提出容認=公明幹事長

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201504/2015041700714

但し、本法案の成立までの道のりは、決して容易ではありません。自民党の谷垣幹事長は今月23日の会見において「後半国会は重要案件がいくつもあり、特に安保法制をどうしていくかが最重要課題だ」と述べ、今国会でのIR推進法の成立に関しては、それほど楽観視できないという認識を示しています。

4月24日産経新聞:

IR法案の国会審議「かなり緻密に設計しないと…」 自民・谷垣氏

http://www.sankei.com/politics/news/150424/plt1504240019-n1.html

一方で昨年の状況と大きく異なるのは、現衆院の任期がまだ十分残っているということです。現在の衆議院は任期満了まで3年半を残しています。また、政府与党は現時点で三分の二の絶対安定大多数の議席を保有していますので、国会内に相当な混乱が起こらない限りは本法案が昨年のように廃案になる可能性は非常に低いといえます。我が国のIR推進法の成立に関しては、長らく「国内で最もコンサバな予測をする論者」と言われてきた私ではありますが、今回の法案にまつわる周辺環境に関しては、私としてもこれまでで最もポジティブな評価をしているところであります。

IR推進法は未だ付託先となる委員会が未定であるとの事ですが、審議にはいずれかの適切なタイミングで入ることが可能であろうと思われ、今後の我が国のカジノ合法化を巡る論議は実現までのタイムラインと、そのプロセス論に移ってゆくものと考えています。

ということで以上、取り急ぎの速報でした

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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