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アスリートが違法賭博に手を染める最大のリスク

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

今度はバトミントン日本代表選手だそうです。以下、朝日新聞からの転載。

バドミントン五輪候補、裏カジノに出入り 2選手認める

http://www.asahi.com/articles/ASJ472JCTJ47UTIL002.html

バドミントン界のエースで、リオデジャネイロ五輪日本代表候補の桃田賢斗選手と、2012年のロンドン五輪バドミントン男子代表の田児(たご)賢一選手が裏カジノに出入りしていたことが分かり、2人が所属するNTT東日本(東京都)が社内調査に乗り出した。2選手は7日早朝、遠征先のマレーシアから急きょ帰国した。

ここ半年くらい世間を騒がせているプロ野球選手も含めて、どうもアスリートの皆さんは違法賭博の危険性に対する認識がとても低いようです。

アスリートが違法賭博に手を染める事の最大のリスクは、その違法性はもとより、それを「入口」としながら、反社会的な違法賭博グループに引き込まれ、その先にある八百長行為に容易につながってしまうこと。違法賭博グループにとっては、有名アスリートというのは大きな「金ヅル」の一つです。アスリート本人から金品を得ずとも、別途、彼らが取り仕切っている違法スポーツ賭博において、特定の試合でちょっと「手ごころ」を加えてプレーをしてくれるだけで、莫大な利益が転がり込みます。

そのために、最初は様々な甘言をもってアスリートに近づきますし、またいざとなったら脅しやスカシも使います。先月、野球賭博で巨人軍をクビになった、高木京介投手が「本当に怖かった」として涙ながらに語った記者会見がすべてを物語っているといえるでしょう。

【参考】野球賭博:本当の地獄は「バレなかった」先にある

http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9197037.html

高木選手みたいなメジャースポーツの選手はともかく、バトミントンは…などと考えているのだとすれば、それは大きな間違いです。日本国内では違法となっているスポーツ賭博でありますが(除く、totoくじ)、それを合法としている国は世の中にたくさんあります。海外のそのような国では、実は世界中のあらゆるジャンルのスポーツを賭けの対象にしており、そこには日本の各スポーツも含まれています。

例えば、本日の日本のプロ野球の試合

https://sports.ladbrokes.com/en-gb/betting/baseball/japan/npb-matches/

例えば、今週末の日本のJリーグの試合

http://www.sportsbet.com.au/betting/soccer/asia/japanese-j-league

例えば、今年から日本チームの参戦が決まったスーパーラグビーの試合

http://www.sportsbet.com.au/betting/rugby-union/super-rugby

例えば、日本の錦織圭選手が参戦するテニスの国際試合

http://www.sportsbet.com.au/betting/tennis/mens-australian-open

そして例えば、今回懸案となっているバトミントンの国際試合も

(間近、大きな大会がないので賭けは開催されていないようだが)

http://www.paddypower.com/bet/badminton

上記のように、日本でそれが賭博の対象とされているかどうかは全く関係なく、現実のものとして世の中の多くのスポーツの試合というのは世界のどこかで既に賭けの対象として扱われているのです。(注釈:日本から海外のスポーツ賭博サイトにアクセスし賭けを行うことは違法行為です。その点、ご注意ください。)

そして、近年、世界のスポーツ界を悩ませている最大の問題は、このようにスポーツ賭博がワールドワイドに広がってきたのに伴って、その裏で八百長を持ちかけ暗躍する八百長シンジケートも大きく世界に網を広げ、強力に力を付けてきているということ。

例えば、先月の国際サッカー連盟

FIFA bans 3 officials over match-fixing scandal

FIFA 3人の従業員を八百長スキャンダルで解雇

http://www.cbc.ca/sports/soccer/fifa-match-fixing-1.3490448

例えば、先月報じられたテニスの国際大会

Tennis match-fixing scandal: Two top-20 player among names who should be investigated, says Italian prosecutor

テニス八百長スキャンダル:イタリアの検察はランキング20位以内に入っている選手2人の調査が必要だと主張

http://www.independent.co.uk/sport/tennis/tennis-match-fixing-scandal-two-top-20-player-among-names-who-should-be-investigated-says-italian-a6931736.html

例えば、先月報じられた南アフリカのラグビー協会

SA Rugby signs with Sportradar to deter match-fixing

南ア・ラグビー協会、Sportadar社と八百長監視で契約

http://www.bdlive.co.za/sport/rugby/2016/03/23/sa-rugby-signs-with-sportradar-to-deter-match-fixing

このように、世界中のあらゆるスポーツ界で問題化している八百長は、当然ながら日本の各スポーツ競技にとっても決して対岸の火事ではありません。各スポーツ団体、およびそこに所属するアスリートの皆さんは「好む/好まざる」もなく、自分達がそのような世界的な八百長シンジケートにアプローチをされ得る対象になっているのだという事をしっかりと認識しながら、日々の行動を律して頂きたいと思います。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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