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出掛ける前からジャズ気分:エリック・アレキサンダー・クァルテット@丸の内・コットンクラブ

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

●公演概要

3月9日~11日

■3.9.sat & 3.10.sun

1st show open 4:00pm / start 5:00pm

2nd show open 6:30pm / start 8:00pm

■3.11.mon

1st show open 5:00pm / start 6:30pm

2nd show open 8:00pm / start 9:00pm

会場:丸の内・コットンクラブ

出演者:エリック・アレキサンダー(サックス)、ハロルド・メイバーン(ピアノ)、ナット・リーヴス(ベース)、ジョー・ファンズワース(ドラム)

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エリック・アレキサンダー・カルテット
エリック・アレキサンダー・カルテット

ジャズを生んだアメリカでは、1980年代後半、エレクトロニクスに対応したサウンドで隆盛を誇っていたフュージョンのムーヴメントが一段落し、ジャズの老舗レーベルが活動を復活させるなど、“ストレート・アヘッド”をキーワードにしたビバップ由来のルネサンス的なムーヴメントが目立つようになってきました。そんななかで、そのムーヴメントの将来を背負って立つと期待されデビューしたのが、エリック・アレキサンダーでした。

日本でも彼のデビューは大きな期待をもって迎えられ、来日のステージも好評を博しました。ボクも、1950年代や60年代に録音されたアルバムでしか聴いたことがなかったようなパワーとスピードのあるサウンドを発してくれるその若いプレイヤーの熱いプレイに圧倒された1人でした。

そんな彼もすでに40代半ば。円熟と言うには早いかもしれませんが、ジャズの歴史やスピリットへの理解をさらに深め、自分が現在進行形でジャズをプレイすることに対する答えを出しながら前進を続けていることが、最近作などを聴いても伝わってきます。

知的でスケールが大きくダイナミックなプレイ、聴く者に本来のジャズの醍醐味を堪能させてくれるエリック・アレキサンダーが、昨年に引き続き登場!1968年、米・イリノイ州生まれ。6歳よりピアノ、そしてクラリネット、アルト・サックスを経てテナー・サックスを吹き始める。’91年セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティションで銀賞を獲得し、翌年には初リーダー・アルバム『Straight Up』リリース以降、実力派として第一線で活躍し続ける。バラード企画盤『ジェントル・バラッズ』(2004年)はジャズ・ディスク大賞の「銀賞」「制作企画賞」をダブル受賞し、以後も続編が出されるなど好評を博している。ポップス・カヴァーも演奏し、その響きには、オリジナルにない彼ならではの歌心が見え隠れするのも魅力のひとつ。エリック率いるベテラン・ミュージシャンの充実の演奏とともに至福の一夜を噛みしめたい。

出典:ERIC ALEXANDER QUARTET|COTTN CLUB

♪Eric Alexander Quartet ー Nemesis

10年前のエリック・アレキサンダーのライヴ・ステージです。メンバーはベースが違うだけで、ほぼ来日メンバーということになります。いやぁ、火の出るようなプレイというのは、こういうことを言うのでしょうね。というか、聴いているコッチの頭から火が噴き出しそうです。彼のテクニックはプロの目から見ても折り紙つき。だからといって、小手先だけで音をこねくり回すようなことはしていません。勢いだけでもなく、アイデアに溺れるわけでもない……、それが彼のサウンドに“重み”を与えていると言っていいでしょう。

では、行ってきます!

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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