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【JAZZ】ソウル&ジャズ・シーンが迎える新たな幕開けへの序奏(ラウル・ミドン日本公演)

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家
ラウル・ミドン『ドント・ヘリテイジ』
ラウル・ミドン『ドント・ヘリテイジ』

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、盲目のシンガー・ソングライター&ギタリスト、ラウル・ミドンの日本公演。

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抜群のギター・ソロ・パフォーマンスとソウルフルな歌声ーー“二物”を天から与えられたラウル・ミドン。

アルゼンチン人の父とアフリカン・アメリカンの母とのあいだに生まれた彼は未熟児だったことから視力を失ったが、おもちゃで遊ぶ代わりにパーカッションを始めると音楽の才能が開花。大学卒業後に音楽活動を本格化させ、2002年に故郷のニューメキシコ州からニューヨークへ進出する。バック・コーラスなどで徐々にその実力を認められ、映画「セレブの種」(監督:スパイク・リー)への楽曲提供やジェフ・ベックのライヴでのオープニング・アクトなどで注目を集めた。2005年に39歳でソロ・デビューを果たし、翌年には初の来日公演も実現している。

“21世紀のスティーヴィー・ワンダー”が魅せる新展開

ジャズ方面では、ハービー・ハンコックの『ポシビリティーズ』(2005年)でスティーヴィー・ワンダーも参加したカヴァー曲「心の愛」のヴォーカルとギターを担当。これによってスティーヴィーの“後継者”たるイメージを残し、その注目度を一気にアップさせたのがラウル・ミドンの現在に至るイントロダクションになるだろうか。

近況は、オリジナル・スタジオ・アルバムとしては5年ぶりとなる『ドント・ヘジテイト』を9月にリリース。つまり今回の来日公演は、アメリカ発のポピュラー・ソング・シーンに激震が走ったデビュー・インパクトを経てネクスト・フェーズへと進んだラウル・ミドンの、キック・オフにも例えるべき姿を生で観ることのできるチャンスなのだ。

では、行ってきます!

●公演概要

12月10日(水) 1st 開場17:30/開演19:00 2nd 開場20:45/開演21:30

会場:ブルーノート東京(南青山)

12月11日(木) 1st 開場17:30/開演19:00 2nd 開場20:45/開演21:30

会場:ブルーノート東京(南青山)

12月13日(土) 1st 開場16:00/開演17:00 2nd 開場18:30/開演20:00

会場:コットンクラブ(丸の内)

12月14日(日) 1st 開場16:00/開演17:00 2nd 開場18:30/開演20:00

会場:コットンクラブ(丸の内)

出演:ラウル・ミドン(ギター、ヴォーカル)

♪RAUL MIDON @BLUE NOTE TOKYO (2014 12.10 wed.)

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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