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【JAZZ】村井秀清Merged Images『New Year Live 2015』@目黒BAJ

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家
村井秀清Merged Images『New Year Live 2015』
村井秀清Merged Images『New Year Live 2015』

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、村井秀清のニュー・イヤー・ライヴ。

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村井秀清が自身のユニットであるMerged Imagesを率いて目黒のブルース・アレイ・ジャパンへ場所を移しての二ュー・イヤー・ライヴを行なう。

ゲストはヴァイオリニストの篠崎正嗣。村井秀清とのコラボレーションはすでにファンにはおなじみ。村井秀清が手がけるテレビ番組のテーマ音楽などでそうとは知らずに耳にしている人も多いだろう。

昨年はミニ・ツアーを多く重ねてきた村井秀清だったが、今年はこのライヴを終えてから少しステージから距離を置く予定という噂も……。

そのあたりについてはライヴ当日に本人の口からインフォメーションがあるかもしれないので楽しみにしたい。

3つの柱それぞれに発揮される異なる個性

ここ数年の村井秀清の活動は、「世界ふれあい街歩き」「桃源紀行 7つのしあわせ」「ココロとカラダ満つる時間 宿坊」といったテレビ番組のテーマ曲・挿入曲を収録したアルバム『Merged Image 3』(2012年リリース)と、オリジナル曲を中心にした『Step Forward』(2013年リリース)という振り幅の大きい足跡を残しながら、2014年は重点的にライヴを重ねていくという、音楽家としてバランスのとれた充実した時間を送っていたように見える。

制約の多いテーマ曲などのスタジオ・ワーク、正反対に個性を絞り出さなければならないオリジナル曲、そして日により場所により異なる刺激を受けながらフィードバックするライヴという3本の柱は、同じ音楽の括りに入れられるものであってもまったく性格を異にする内容だ。

職人にしてアーティスト、そしてエンターテイナー。3つの顔を1つの個性で押し通すこともできるだろうが、彼はそれをよしとしない。その音楽観には通奏低音的な村井秀清の存在感はあるものの、出現する彼の音楽はそれぞれにヴァラエティ豊かであることが、そう感じさせる理由だ。

そして『Step Forward』でも示されていたように、彼の分裂思考的な才能はますます磨きがかけられ、新たな表現アプローチを増やしているようなのだ。

2015年はどのような展開を見せるのかを直に確かめることができるのがこのライヴ。どんな新たなアプローチが用意されているのか、楽しみだ。

では、行ってきます!

●公演概要

1月16日(金) 開場18:00/開演19:30

会場:ブルース・アレイ・ジャパン(目黒)

出演:村井秀清(ピアノ)、宮崎隆睦(サックス)、新村泰文(ドラム)、山田章典(ベース)、ゲスト:篠崎正嗣(ヴァイオリン)

世界ふれあい街歩き メインテーマ

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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