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【大阪グルメ】2016年で20年を迎える帝国ホテル 大阪、躍動の兆し

東龍グルメジャーナリスト
ジャスミンガーデン

最も新しい帝国ホテル

帝国ホテル 大阪
帝国ホテル 大阪

御三家ホテルの一つである帝国ホテルは東京だけではなく、上高地と大阪にもあります。

この中でどこが最も新しいかご存知でしょうか。

帝国ホテル 東京は1890年に開業して120年以上の歴史があり、上高地帝国ホテルは1933年に開業して80年以上の歴史があります。これに対して、帝国ホテル 大阪は1996年に開業し、2016年でようやく開業20年を迎える最も若い帝国ホテルなのです。帝国ホテルには伝統と歴史というイメージがあるので、開業20年に満たないのは意外に思うかも知れません。

その帝国ホテル 大阪は梅田から少し離れた桜ノ宮という地にありながらも存在感を示してきましたが、メディアに取り上げられることは決して多くありませんでした。しかし、今年2014年4月に大きな人事異動があり変化が起きようとしています。

レストラン部長から副総支配人に

2012年から帝国ホテル 東京でレストラン部長を務めていた松田喜則氏が2014年4月1日付で同社の執行役員に昇格すると同時に帝国ホテル 大阪の副総支配人 兼 総支配人室長に就任しました。

松田氏は帝国ホテル 東京でレストラン部長を務めている間、帝国ホテルの高いブランド力に頼ることなく、積極的に新しいことに取り組み、レストランの付加価値をさらに高めていった人物です。「【革新するブッフェ】帝国ホテルが始めた「バイキングコンシェルジュ」とは?」でご紹介したバイキングコンシェルジュは、松田氏のもと、料飲三課長の宮原謙一氏がプロジェクトを推進していきました。鉄板焼「嘉門」で肉をディスプレイするようにしたり、デザートの提供方法を工夫したりと、松田氏がレストラン部長を務めたここ2年の間にレストランで革新的な試みがあり、そのどれもが成功を収めています。

自らの力で集客したい

帝国ホテル 大阪のレストランも好調ですが、松田氏は「お客さまはインターネットの販売サイトなど他のチャンネルを通してレストランに来ていただくことが多い。直接来ていただけるように、レストランの魅力を高めていく必要がある」と、現状に全く満足していません。

総支配人室 広報・企画課長 小池崇裕氏は「東南アジア各国へのビザが緩和された影響で、外国人のお客さまが増えており、全体の50%を占める」と宿泊が好調であるとしますが、「ランチもディナーもホテルの外で召し上がる」とレストランへの貢献は限定的であると言います。

それを受けて松田氏は「レストランの味に関しては東京と同様に大阪も自信がある。しかし、打ち出し方は工夫しなければならない」と課題意識を持っています。

鍵となるジャスミンガーデン

東京ではミシュラン1つ星を獲得しているレ セゾンに対して、松田氏は「オーギュスト・エスコフィエに代表される正統派フランス料理を追求しながらも、海外からトップシェフを招聘するなどして好評を博していた」としながらも、「以前と全く同じことはしない。もっと魅力的な企画を考える」と、守りに入らないと誓います。

ジャスミンガーデン
ジャスミンガーデン

続けて「大阪では、フランス料理よりも中国料理が人気なので、ジャスミンガーデンから革新していきたい」と直近の展望を述べます。ジャスミンガーデンのシェフであり、支配人も務める畑繁良氏に対しては「日本にいてばかりではいけない。本場へ頻繁に赴いてもらい、新しい料理を次々と生み出してもらいたい」と発破をかけます。

2013年に食の博覧会・大阪「国土交通大臣賞」賞状
2013年に食の博覧会・大阪「国土交通大臣賞」賞状

畑氏は2010年に「第1回 カナダ産メープル製品を使った料理コンクール」で中国料理部門2位となり、2013年に食の博覧会・大阪「国土交通大臣賞」を受賞した、実力派の料理人です。広東料理をベースにして、女性に喜ばれるメニュー作りに定評があるだけに、松田氏から大きな期待をかけられています。

その畑氏の料理をいくつかご紹介しましょう。

台湾ラーメン

台湾ラーメン
台湾ラーメン

広東料理が中心ですが、台湾料理も提供されることがあります。台湾ラーメンはオーソドックスに挽肉、ニラ、モヤシを使いながらも、ニンニクや唐辛子を適度に抑えて品よく仕上げています。

牛肉のオイスターソース炒め

牛肉のオイスターソース炒め
牛肉のオイスターソース炒め

広東料理ではメジャーであるオイスターソースをふんだんに使い、季節のスナプエンドウとシメジを合わせています。牛肉は厚切りにして、とても贅沢な食感です。

杏仁豆腐

杏仁豆腐
杏仁豆腐

カラメルソースを合わせているところが、珍しいです。杏仁豆腐はクセがなくて素直な味なので、強いカラメルソースと合わせることによってコントラストを描いています。

鉄板焼やパティスリーでも

小池氏は「帝国ホテル 大阪では神戸ビーフを数多く使っているので、神戸ビーフに対する造詣が深い。大阪のお客さまは牛肉に対するこだわりが強いので、鉄板焼の嘉門で強みを発揮していきたい」と述べる一方で、「大阪のお客さまはコストパフォーマンスにとても敏感なので、バイキングも人気が高い。バイキング発祥のホテルとして長い歴史や培ってきたノウハウがあるので、バイキングも強化していく」と、構想は尽きません。

総支配人室 企画課 広報・企画 アシスタントマネージャーの尾池里美氏は「ブルーベリーをふんだんに使い、東京で定番の人気商品となっているブルーベリーパイを始めとして、ペストリーのよさも知っていただきたい」とパティスリーのプロモーションに意欲的です。

2016年で20年を迎える帝国ホテル 大阪

小池氏は「ご家族のお客さまに対する満足度をこれまで以上に高めていくために、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアライアンスホテルに加入した。今後は連携を深めていく」と、これまでの帝国ホテルにはなかった試みに挑戦しているとし、「2016年で20年となるので勢いをつけたい」と話します。

松田氏は自身の東京での成功体験に対して「東京と大阪ではお客さまの好みや味の感じ方など、全てが異なる。同じようにいくとは思っていない」と気を引き締めながらも、「帝国ホテルには東京だけではなく大阪にも優秀な料理人がいる。必ずレストランを盛り上げていけるはずだ」と想いを語ります。

松田氏だけではなく、小池氏も尾池氏も長らく帝国ホテル 東京を支えてきた後に、帝国ホテル 大阪へ異動となりました。リーマンショックや震災も乗り越え、帝国ホテル 東京の名をさらに高めた経験はきっと、ようやく20周年を迎えようとするまだ若い帝国ホテル 大阪の飛躍に寄与することができるのではないでしょうか。

情報

詳しくは公式サイトをご確認ください。

関連リンク

【大阪グルメ】SATSUKIとサクラから読み解く、ホテルニューオータニ大阪の高い志

参考

レストラン図鑑

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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