前田の8年契約での保証額はわずか300万ドル/年だった!
ドジャースと8年契約を結んだと報道された前田健太の契約の概要が明らかになった。FOXのクリストファー・メオーラ記者がツイートしている。
当初、前田がドジャースと8年契約を結んだとの報道が流れた時点では、ぼくは不思議に思った。別のコラムで報じたように、ドジャースは極端に長期契約を避ける傾向にあり、かつすでに6人の先発投手を抱えていたからだ。
しかし、このツイートが真実だとするとぼくの疑問は氷解したことになる。メジャー平均年俸が400万ドルに達する昨今、来季28歳のローテーション投手が300万ドルの保証額で手に入るなら(カープへのポスティングフィー2000万ドルは別にして)、なるべく長期契約を結んだ方が絶対的に得だ。前田が30代半ばになる7-8年目も現時点の力量を維持しているとは考え難いが、平均年俸が毎年上昇を続けるMLBにおいてその頃には年300万ドルなど、タダ当然(言い過ぎ?)になっている可能性が大だからだ。加えて、ポスティングフィーという「ムダ金」も長期契約にした方が年平均の償却額が低くなる。
もちろん、1000-1200万ドル/年という極めて高額のインセンティブが付いている。したがって、前田は活躍いかんでは1300-1500万ドルというローテーション投手として恥ずかしくない報酬を得ることも可能だ。しかし、そこにはドジャースのリスクは皆無と言って良い。
日本のファンからすると、ダルビッシュ有、田中将大に次ぐ日本のビッグ3の1人としては随分低い評価とも思える。ダルビッシュのレンジャーズとの契約は6年5600万ドル+400万ドルのインセンティブで、田中とヤンキースとの契約に至っては7年1億5500万ドルだったからだ。
しかし、米メディアでの前田の一般的な評価は「先発3番手クラス」だ。保証額+インセンティブで計1300-1500万ドル/年という額は「3番手」には決して悪い評価ではない。しかし、その保証額とインセンティブの内訳はこの交渉は完全にドジャース勝利だったことを物語っている。
どうして、前田側はそれで折れたのか?真実は明らかではないが、ダルビッシュや田中も渡米後早い段階で比較的大きな故障を経験しており、日本の投手の疲労の蓄積に関し懐疑的な見方があることに加え、前田自身もここまでのキャリアで決して故障とは無縁ではなかったことが影響したと思われる。
ひょっとすると、前田が入団を希望する球団の中で最後まで前田を追い求めたのはドジャース以外には多くなかったのかも知れない。