トヨタがWEC開幕戦で1-2フィニッシュ!3カテゴリー優勝の快進撃で勢いづいた。
英国シルバーストーンサーキットで開催された「WEC(世界耐久選手権)」の開幕戦で、トヨタ自動車のワークスチーム「トヨタ・レーシング」のマシン、TS040が優勝を飾った。しかも、ポールポジション獲得、1位と2位を獲得する1-2フィニッシュの好成績。国内のレース活動となる「SUPER GT」「スーパーフォーミュラ」と併せて3つのレースカテゴリーで快進撃を見せている。
素晴らしいレース展開でWEC開幕戦を制す
WEC開幕戦「シルバーストーン6時間レース」でのトヨタの活躍は本当に素晴らしかった。2台を最高峰クラス「LMP1-Hクラス」へと送り出すトヨタは、まず予選で7号車(アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/中嶋一貴)がポールポジションを獲得。ルマン優勝とWEC制覇を目指し背水の陣で新設計されたニューマシン「TS040」の好パフォーマンスぶりを見せつけ、決勝レースでも序盤から2台のトヨタが激しいトップ争いを繰り広げた。今年はルマンで連続優勝を続けている「アウディ」の新設計のマシンを投入、さらに耐久王の異名を持つ「ポルシェ」の参戦でハイレベルな戦いになることが予想されていたWECのLMP1-Hクラス。レースの序盤はまさにその激しい戦いを象徴するかのような大バトルが展開された。
そして、天候が不安定な英国シルバーストーンでは雨が降り出し、トヨタの8号車(アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ)はミシュランのインターミディエイトタイヤ(雨用だが溝の切っていないスリックタイヤ)にピットで履き替え、これがドンピシャで当たる。一方、トヨタと格闘するアウディはドライ路面用のスリックタイヤでレースを続け、クラッシュやコースアウトなどを喫し、新世代の耐久王者らしからぬ不甲斐ないレースぶりとなってしまう。また新参入のポルシェは1台がリタイア。後にアウディは2台ともリタイアを喫する事になる。
レースは終盤に雨が激しくなり、セーフティカーが導入。流れを完全に掴んで1-2体制でレースを展開していたトヨタがそのまま優勝を飾ることに。優勝は8号車(アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ)で、2位に7号車。トヨタは参戦3年目にして初の1-2フィニッシュを成し遂げた。次戦はベルギーのスパ・フランコルシャン(ここも天候が変わりやすい)での6時間レース。第3戦は伝統のルマン24時間レースとなる。幸先の良いスタートダッシュはトヨタ悲願のルマン24時間制覇に向けて大きな力となるであろう。
国内レースでもトヨタが強い
アウディ、ポルシェとのWECでのハイブリッドマシン対決を制したトヨタの勢いは国内レースの好調ぶりを見てもよく分かる。国内では今年から「SUPER GT」「スーパーフォーミュラ」が2000cc・直噴・直列4気筒ターボエンジンを使用する新規定に移行。その新型ターボエンジンの初陣でも高いポテンシャルを発揮している。
「SUPER GT」のGT500クラスでは新型ターボを搭載する「レクサスRC F」が開幕戦からポールポジションを獲得。さらに決勝レースでもレクサスRC Fは好調で、37号車「KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)が、ニッサン、ホンダのGT500マシンを退けて優勝を飾った。
また、「SUPER GT」と同じエンジンをトヨタ、ホンダが投入する「スーパーフォーミュラ」では、開幕前のテストからトヨタエンジンユーザーが絶好調。ホンダエンジンユーザーに大きな差をつけ、開幕戦も予選から大きなリードを築いた。開幕戦・鈴鹿のレースを制したのはやはりトヨタエンジンユーザーのロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)。デュバルを含むトヨタ勢が上位7台を独占した。
WEC、SUPER GT、スーパーフォーミュラのどのレースもこれまで以上に少ない燃料を効率よく使用し、戦略面も工夫しながら戦わなければならない新時代を迎えている。WECではアウディとポルシェが、SUPER GTではホンダとニッサンが、スーパーフォーミュラではホンダがライバルとして参戦する中でトヨタは素晴らしい滑り出しを見せている。新時代の開幕からこれだけ勢いに乗っているわけだから、ぜひ前向きにF1参戦も検討してもらいたいところ。その前にルマン24時間レースは是が非でも勝ちたいはずだ。