Yahoo!ニュース

2014年のホームランダービーを制するのは誰だ。決勝はセスペデスとプイーグのキューバ対決!?

宇根夏樹ベースボール・ライター

7月14日に行われるオールスター・ホームランダービーで優勝するのは誰か。出場10選手と2014年の本塁打数は以下の通りだ。

画像

トゥロウィツキ、スタントン、ドーナルソンは20本以上を打っている。本塁打の平均飛距離では、420フィート(約128.0m)を越えるスタントンが群を抜く。しかし、ダービーと試合のバッティングはイコールではない。今回、優勝候補の筆頭には、2013年のダービーで優勝したセスペデスを推したい。

これまで連続優勝は1998~99年のケン・グリフィーJr.しかおらず、複数回の優勝もグリフィー(1994、98~99年)とプリンス・フィルダー(2009、12年)の2人きりだが、セスペデスが2013年に記録したトータル32本は歴代3位タイの多さで、優勝が決まって終了となった時点では、あと5つのアウトが残っていた。2014年の出場者では、セスペデスの他にモアノーも優勝を経験しているものの、2008年と言えば6年も前のことだ。

また、セスペデスは前年の優勝後、プイーグについて「彼を貶める気はまったくないけど、彼のことはキューバ時代から知っている。これは彼が得意とするタイプの競争ではない。彼は真のホームラン打者ではないので、僕が勝つと思う」と言っていた。

このコメントは、同じキューバ出身のプイーグに対するライバル心の発露か。当時、メジャーデビューから1ヵ月あまりだったプイグは、球界にセンセーションを巻き起こしていた。

セスペデスとしては、今回のダービーでプイーグに負けるわけにはいかないだろう。彼らはリーグが違うので決勝ラウンドまでは対戦しないが、キューバ出身のスラッガー2人が優勝とプライドをかけてぶつかるとなれば、盛り上がりも必至だ。

プイーグと同じく、セスペデスも打つだけの選手ではない。レフトを守って、2014年は外野手トップの11補殺を記録している。5月末のロサンゼルス・エンジェルス戦では、1イニングに2度の補殺をやってのけた。どちらも走者一、二塁の場面でヒットを捕球すると、ワンバウンドでホームに返球し、エンジェルスの得点を阻んだ。

1イニング2補殺を演じた日に、セスペデスは二塁打、三塁打、本塁打も放っている。これらをダービー翌日のオールスター・ゲームで再現したなら、MVP受賞はまず間違いない。他のダービー出場者もそうだが、同じ年にダービー優勝とオールスター・ゲームMVPを手にすれば、1991年のカル・リプケンJr.と2003年のギャレット・アンダーソンに続いて、史上3人目の快挙となる。

2013年のセスペデスに、そのチャンスはなかった。セスペデスはダービーには出場したものの、オールスター・ゲームには選ばれていなかった。

なお、2004年のラファエル・パルメイロ、2005年のイーソプ・チェ、2007年のライアン・ハワードも、オールスター・ゲームに選出されず、ダービーにだけ出場した(優勝はしていない)。2014年はドージャーとモアノーがそうだ。

パルメイロは500本塁打クラブの一人であることが選出の理由だったようだ。2005年は翌年のWBC開催に伴い、各国から選手が選ばれた。ハワードは前年の優勝者ということで、ダービーに出場した。今回の2人に関しては、開催地がツインズの本拠地ターゲット・フィールドだからだろう。ドージャーは現ツインズで、モアノーは1999年のプロ入りから2013年途中までツインズにいた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事