ティム・リンスカム（サンフランシスコ・ジャイアンツ）が2013年と2014年に成し遂げたノーヒッターは、アウェーとホームの違いはあれど、どちらもサンディエゴ・パドレス戦だった。この２試合を含め、パドレスは過去に９度、ノーヒッターの餌食になっている。

一方、パドレスの投手によるノーヒッターは一度もなく、継投によるノーヒッターも実現していない。2012年にヨハン・サンタナ（現トロント・ブルージェイズ）がニューヨーク・メッツ史上初のノーヒッターを達成し、パドレスはノーヒッターを記録していない唯一の球団になった。パドレスの創設は1969年、メッツはそれより早い1962年だが、シアトル・マリナーズなど６球団は1970年以降に誕生している。

パドレスの投手がノーヒッターに迫った試合は、これまでにも一度ならずあった。2014年も例外ではない。７月にはオドリサマー・デスパイネが、メッツを相手に８回２死までノーヒッターを続けた。

また、アンドルー・キャッシュナーは４月のデトロイト・タイガース戦で１安打完封、９月のフィラデルフィア・フィリーズ戦では２安打完封を演じた。キャッシュナーは2013年９月のピッツバーグ・パイレーツ戦でも１安打完封をやってのけている。力量からしても、現時点ではパドレス史上初のノーヒッターに最も近い投手だろう。

キャッシュナーだけでなく、今シーズンのパドレスにいる投手は、誰が達成しても自身初のノーヒッターとなる。キャッシュナーとともにローテーションを形成するジェームズ・シールズ、タイソン・ロス、イアン・ケネディも、最後の１枠を争っているデスパイネとブランドン・モローもそう。昨年４月にトミー・ジョン手術を受け、５～６月の復帰をめざすジョシュ・ジョンソンも、ノーヒッターを成し遂げたことはない。

なお、パドレスではサイクルヒットも一度も出ていない。こちらの未達成はマイアミ・マーリンズ（1993年創設／当時フロリダ・マーリンズ）と２球団のみ。今シーズン、パドレスにもマーリンズにもサイクルヒットを達成したことのある選手は見当たらないが、本拠地球場の三塁打の出やすさからすると、可能性はマーリンズの方が高そうだ。ノーヒッターに続き、パドレスはまたしても、唯一の球団として取り残されてしまうのだろうか。