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アスレティックスでハドソン、マルダーと「ビッグ3」を形成したジートが、カムバックに向けて好投中

宇根夏樹ベースボール・ライター

2000年から2004年にかけて、オークランド・アスレティックスは5年続けてシーズン90勝以上を挙げた。現在のようにワイルドカードがリーグ2枠であれば、2004年も含め、ポストシーズン出場も5年連続となっていたところだ。

そこには、ティム・ハドソンバリー・ジートマーク・マルダーの「ビッグ3」がいた。ハドソンが2000~04年に記録した防御率3.31とFIP3.65は、900イニング以上の33投手中4位と7位。ジートの3.41と3.97は6位と12位、マルダーの3.92と3.99は15位と13位だった。

3人のうち、ハドソンはその後もメジャーリーグで投げ続けている。2014年はサンフランシスコ・ジャイアンツで防御率、FIPとも3点台半ばを記録。ポストシーズンではキャリア初のディビジョン・シリーズ(地区シリーズ)突破とともに、ワールドシリーズ優勝も味わった。

一方、マルダーの投球は、メジャーリーグでもマイナーリーグでも2008年が最後だ。2014年はロサンゼルス・エンジェルスとマイナー契約を交わしたものの、2月に左アキレス腱を故障し、カムバックの試みは早々に幕を閉じた。また、ジートは2013年のオフにジャイアンツからFAとなると、2014年はどの球団とも契約せずに過ごした。

しかし、2015年のスプリング・トレーニングで投げている「ビッグ3」はハドソン一人ではない。ジートがアスレティックスとマイナー契約を結び、招待選手としてカムバックをめざしている。背番号もかつてと同じ「75」だ。スプリング・トレーニングのメディアガイドにジートの名前はなく、背番号「75」はニウマン・ロメロとなっていたが、2月半ばに入団したジートが「75」を付け、ロメロは「78」を背負っている。

ジートは「ビッグ3」のなかでは最も若いが、5月には37歳となる。7年1億2600万ドルでジャイアンツに入団した2007年以降は、防御率もFIPも毎年4.00以上だった。

はっきり言って、ジートがローテーションに加わる可能性はほとんどないだろう。それでも、ロングリリーバーとしてなら、開幕ロースターに入れるかもしれない。ジートはエキシビション・ゲーム(オープン戦)で5試合に投げ、15.2イニングで2本塁打を浴びているものの、防御率2.30を記録している。ジャイアンツ時代の終盤に多投していたカッターを減らし、速球、カーブ、チェンジアップの3本立てに戻したことが功を奏しているようだ。

ハドソンとマルダーは2005年4月29日の試合で、それぞれアトランタ・ブレーブスとセントルイス・カーディナルスの先発投手として投げ合っている。レギュラーシーズンはこの1試合きりだが、2001年のディビジョン・シリーズ第5戦では、先発したマルダーをハドソンがリリーフした。だが、ジートはレギュラーシーズンでもポストシーズンでも、ハドソンあるいはマルダーと同じ試合で投げたことはない。

2015年のアスレティックス対ジャイアンツは、7月24~26日と9月25~27日に計6試合が組まれている。ジートとハドソンが同じ試合でマウンドに上がる機会はあるのだろうか。まずは、ジートのカムバックがマルダーのように、故障によって阻まれないことを祈りたい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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