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シャーザーがノーヒッターを達成。1安打完封に続いてあわや完全試合とくれば、次の登板は……。

宇根夏樹ベースボール・ライター

マックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)が、クリス・ヘストン(サンフランシスコ・ジャイアンツ)に続いて今シーズン2人目となるノーヒッターを達成した。だが、歓喜の直前には失意もあった。シャーザーはあと一歩のところで、史上24人目のパーフェクト・ゲーム(完全試合)を逃した。

6月20日、ナショナルズ・パーク。シャーザーは立ち上がりからピッツバーグ・パイレーツの打者を26人続けてアウトに仕留め、9回2死を迎えた。打席には、投手の代打としてホゼ・タバタが入った。ファウル、ファウル、ボール、ボールでカウント2-2となったところから、さらに、ファウル、ファウル、ファウルと続く。シャーザーが投じた8球目は、タバタの左肘に当たった。

タバタと言えば、2009年の開幕前に幼女誘拐事件で話題になったことがある。23歳年上の妻が、母国のドミニカ共和国で生後2ヵ月の女の子を誘拐して逮捕された。

ただ、タバタ自身は誘拐事件には一切関わっていなかった。この妻とは翌年に離婚し、その後、別の女性と結婚している。また、ヒットではなく死球によってシャーザーの完全試合を潰したことも、タバタに非はない。暗黙のルールを破ってバントを試みたわけではないし、左肘が動いているのも、スウィングを始める前の通常の動作であって、故意に突き出して当たりにいったのとは違う。

ちなみに、6月9日のニューヨーク・メッツ戦でノーヒッターを達成したヘストンも、死球がなければ完全試合だった。もっとも、こちらは4回裏に2者続けてぶつけ、9回裏の先頭打者にも当てた。

シャーザーは直前の登板でも、6回が終わるまでミルウォーキー・ブルワーズをパーフェクトに抑え、被安打1、与四球1の完封を演じた。ノーヒッターに近い完封に続き、あわや完全試合のノーヒッターとくれば、次の登板では……。そううまくはいかないかもしれないが、期待は高まる。今シーズンのシャーザーは、14先発で102.1イニングを投げ、防御率1.76、奪三振率10.82、与四球率1.23。奪三振の多さはそのままに、これまでに以上に制球良く投げている。

シャーザーの次の登板は、6月25日のアトランタ・ブレーブス戦か、26日のフィラデルフィア・フィリーズ戦になりそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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