Yahoo!ニュース

マリナーズの青木もドジャースの岩隈も補強プランB!? マエケンもDバックスとってはそうだったのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
岩隈久志 AUGUST 12, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

シアトル・マリナーズは12月初旬に青木宣親と1年550万ドルで契約する前に、同じ外野手であるマーセル・オズーナ(マイアミ・マーリンズ)の獲得に動いていたらしい。このトレードが成立しなかったのは、マリナーズが交換要員として先発投手を手放すことを拒んだためだという。

ニューヨーク・メッツは来シーズンの二塁手として、ベン・ゾブリストに狙いをつけていたが、ゾブリストがシカゴ・カブスと4年5600万ドルで契約したことが明らかになると、その翌日にピッツバーグ・パイレーツからニール・ウォーカーを獲得した。

アリゾナ・ダイヤモンドバックスは6年2億650万ドルでザック・グレインキーを迎え入れた。だが、その前にはジョニー・クエイトに6年1億2000万ドルを提示して断られたようだ。一方、グレインキーを逃したサンフランシスコ・ジャイアンツは、ジェフ・サマージャと5年9000万ドルで契約した。グレインキーと再契約できなかったロサンゼルス・ドジャースは、サマージャに興味を示しているとの噂もあったものの、岩隈久志と3年4500万ドルで契約した。

これらの動きは「プランA」がうまくいかなかった球団が「プランB」に転じたように見える。実際、そう報じている記事もいくつかある。さらに言えば、ダイヤモンドバックスにとっては、アトランタ・ブレーブスから獲得したシェルビー・ミラーが「プランA」で、前田健太はミラーを獲得できなかった場合の「プランB」だったのかもしれない。先発投手陣にグレインキーとミラーを加えたDバックスが、さらに前田までも手に入れようとするとは考えにくい。

もっとも、「プランB」が「プランA」に劣るというわけではない。逆もまた然りだ。メッツはこの夏、ミルウォーキー・ブルワーズとのトレードに合意し、カルロス・ゴメスを得るはずだったが、成立前に撤回し、数日後にデトロイト・タイガースからヨエニス・セスペデスを獲得した。ゴメスとセスペデスはどちらも外野手だ。セスペデスがメッツで17本塁打と打ちまくったのに対し、ヒューストン・アストロズへ移ったゴメスの本塁打は4本だった。本塁打だけで判定はできないとはいえ、メッツが獲得したのがセスペデスではなくゴメスであったら、9年ぶりのポストシーズン進出は実現しなかった可能性が高い。だが、セスペデスがオフにFAとなったのに対し、ゴメスは来シーズンもアストロズの保有下にある。

球団は複数のプランを描きながら動く必要がある。グレインキーを「プランA」に据えたとしても、そういった球団がいくつもあれば、実現できるのは1球団だけだ。また、いくらその選手を欲していても、過剰な資金や交換要員を注ぎ込んでしまっては、全体に支障をきたす。ニューズ・トリビューンのボブ・ダットンによれば、マリナーズのジェリー・ディポートGMは、岩隈がドジャースと契約した後、ボストン・レッドソックスから獲得したウェイド・マイリーについて「プラン1-A」と語り、岩隈と3年契約を交わすつもりはなかったことを明かしたという。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事