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無死満塁のピンチを切り抜け、歴代4位タイの49連続セーブ成功。2位のトム・ゴードンまであと5に迫る

宇根夏樹ベースボール・ライター
レネ・リベラ(左)とジェーリス・ファミリア Jul 19, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ニューヨーク・メッツのジェーリス・ファミリアが、セーブ成功を続けている。昨年のワールドシリーズでは3セーブ機会とも失敗に終わったが、レギュラーシーズンのセーブ失敗は昨年7月30日のサンディエゴ・パドレス戦が最後だ。7月19日のシカゴ・カブス戦でストリークを49に伸ばし、2011~12年にジョン・アックスフォード(現オークランド・アスレティックス)が作った歴代4位の記録に並んだ。

エリック・ガニエの84連続セーブ成功(2002~04年)はまだ遠いものの、ホゼ・バルバーディの51連続(2010~11年)とトム・ゴードンの54連続(1998~99年)まではあと一息だ。歴代2位に立つまでには――もちろん、ストリークが途切れなければの話だが――あと1ヵ月もかからないだろう。

実は、ストリークは7月19日に潰えかけた。1点リードの9回裏からマウンドに上がったファミリアは、パワーシンカーの制球が定まらずに2四球を与え、バントヒットで無死満塁とされた。だが、そこから内野ゴロを2本続けて打たせ、本塁封殺と5-4-3の併殺で試合を終わらせた。最後に投げたのもやはりシンカーで、球速は97マイル(約156.1km)を計時した。

もしかすると、ファミリアは最大の難関のみならず、最大の難敵もクリアしたのかもしれない。6月30日と7月2日にも、カブスを相手に1点差を守ってセーブを挙げたが、6月30日は無死二、三塁とされ、1死後に敬遠四球で塁を埋めた後、三振と内野フライで切り抜けた。すでに、今シーズンのメッツ対カブスは、全試合が終了している。

マイアミ・マーリンズのディー・ゴードンには、自らの手でファミリアのストリークを止め、父の記録を歴代2位にとどめるチャンスはなさそうだ。ゴードンは薬物陽性反応によって80試合の出場停止を科されていて、復帰は7月28日の予定だ。メッツ対マーリンズはこれから10試合あるが、7月22~24日の3連戦が終わると、次は8月29日まで対戦しない。

なお、1シーズンに40セーブ以上を挙げて成功率100%を記録したのは、2003年のガニエ(55セーブ)と2011年のバルバーディ(49セーブ)、2008年のブラッド・リッジ(41セーブ)の3人だけだ。ただ、今シーズンは、現在33セーブのファミリアの他に、30セーブのザック・ブリットン(ボルティモア・オリオールズ)、21セーブのアレックス・コロメ(タンパベイ・レイズ)、17セーブのフェルナンド・ロドニー(マーリンズ)も、開幕から一度も失敗していない(それぞれのストリークは、ブリットンが32、コロメが21、ロドニーは17)。コロメの40セーブ到達はやや厳しく、ロドニーは6月末にパドレスからマーリンズへ移籍後、クローザーではなくセットアッパーを務めているため、セーブはほとんど増えないだろうが、ファミリアとブリットンには、ガニエらに続いて史上4人目――どちらも揃ってなら4人目と5人目――となる可能性がある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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