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カブスのブルペンに加わったのは最速左腕のチャップマンだけじゃない。その前日にはセーブ歴代8位の右腕も

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・ネイサン(当時デトロイト・タイガース)Apr 6, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

7月25日、シカゴ・カブスがアロルディス・チャップマンを獲得した。交換にニューヨーク・ヤンキースへ放出したのは4選手。そのうち、アダム・ウォーレンは昨年12月にヤンキースからカブスへ移籍しており、今回のトレードで古巣へ戻った。

トレード前日の7月24日に、ウォーレンはカブス傘下のAAA(トリプル・エー)へ送られた。ジョー・ネイサンが故障者リストから外れ、25人ロースターの枠を空ける必要が生じたためだ。

ネイサンは昨シーズンの開幕戦でセーブを挙げ、デトロイト・タイガースに勝利をもたらしたが、直後に肘を痛め、キャリア2度目のトミー・ジョン手術を受けた。そして、11月にタイガースから球団オプションを破棄され、同月に41歳を迎えた。まだ引退する気はないと表明していたものの、今シーズンの開幕はFAのまま迎え、カブスと契約したのは5月半ばだった。

ただ、ネイサンには実績がある。フランシスコ・ロドリゲス(現タイガース)に追い越されたとはいえ、通算377セーブは歴代8位にランクインしている。カブスの試合終盤のつなぎは、ペドロ・ストロップヘクター・ロンドーンの後ろにチャップマンが加わるだけでなく、ストロップの前後でネイサンが好投すれば、いっそう強固になる。

ネイサンは7月24日の試合で、3点ビハインドの6回裏に登板した。三塁打、四球、二盗で無死二、三塁とされたものの、そこから3者続けて三振に仕留め、1年3ヵ月ぶりの復帰を無失点で終えた。

なお、カブスはチャップマンに先立ち、7月20日にシアトル・マリナーズからマイク・モンゴメリーを獲得した。チャップマンと同じく、モンゴメリーも左のリリーバーだ。カブスのブルペンは左腕がやや手薄で、モンゴメリーは左打者に対して被打率.164&被OPS.523を記録していた(対右は.244&.658)。

さらに、このトレードには、チャップマンを逃がした場合の保険――残念賞でもないよりはいい――という意味合いも感じられる。これこそが、GMの上に立ち、編成部門の責任者を務めるセオ・エプスティーンの手腕なのかもしれない。エプスティーンはボストン・レッドソックスにかかっていた「バンビーノの呪い」を解いたのに続き、カブスも「山羊の呪い」から解き放とうとしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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