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A-RODに続き、フィルダーもこの夏に引退してしまうのか。現在の通算本塁打は父セシルと同数

宇根夏樹ベースボール・ライター
これがプリンス・フィルダーのラスト・アーチになるのか Jul 6, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

テキサス・レンジャーズのプリンス・フィルダーは、通算319本のホームランを打っている。この本数は、父のセシル・フィルダーと並び、歴代116位に位置する(父はこれと別に、1989年に阪神タイガースで38本塁打)。

昨年6月、セシル&プリンスは、ボビー&バリー・ボンズ(332本&762本)に続き、揃って300本塁打を記録した史上2組目の親子となった。プリンスは今年7月、父に追いついた。

バリーと同じように、プリンスも父を超えていくはずだった。セシルは34歳でキャリアを終えたが、プリンスはまだ32歳だ。2012年にスタートした9年2億1400万ドルの契約は、2020年まで残っている。

だが、プリンスのホームランは、もう増えないかもしれない。プリンスは7月29日に手術を受けた。2年前と同じ首のヘルニアだ。プリンスは昨シーズン、158試合に出て.305/.378/.463、23本塁打を記録し、カムバック賞に選ばれたが、今回は復帰が危ぶまれている。

FOXスポーツのケン・ローゼンタールは、8月9日に「関係者より:プリンス・フィルダーのキャリアは終わりだと思われる。レンジャーズは明日、記者会見を開くようだ」とツイートした。ダラス・モーニング・ニューズのエバン・グラントも、ツイッターで、ローゼンタールの情報を確認したと報じている。

レンジャーズからの公式発表はないが、報道のとおりだとすれば、数日前に引退を発表し、8月12日をラストゲームをするアレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)と違い、プリンスは再び試合に出ることなく引退する。

親子がまったく同数のホームラン、それも5本や10本ではなく、というのは、トリビアとしては面白い。ただ、32歳の引退は、あまりにも早すぎる。トリビアにならなくてもいい。時間がかかっても、フィールドに戻ってきてほしい。

現在のカムバック賞には、オフィシャル(2005年~)、プレーヤーズ・チョイス(1997年~)、スポーティング・ニューズ(1965年~)の3種類があり、昨シーズンはいずれも、プリンスとマット・ハービー(ニューヨーク・メッツ)を選出した。

2人とも初めての受賞だったが、過去には2度選ばれた選手もいる。

オフィシャルは2010年と2013年にフランシスコ・リリアーノ(現トロント・ブルージェイズ)、プレーヤーズ・チョイスは2000年と2006年にフランク・トーマスを選出した。さらに、スポーティング・ニューズから2度授与された選手は6人を数える。ノーム・キャッシュ(1965年、1971年)、ブーグ・パウエル(1966年、1975年)、リック・サトクリフ(1987年、1992年)、ブレット・セイバーへーゲン(1987年、1998年)、アンドレス・ガララーガ(1993年、2000年)、そして、クリス・カーペンター(2004年、2009年)がそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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