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100打数以上で打点ゼロ。ありそうもないシーズン記録が達成される!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケイレブ・ジョセフ(ボルティモア・オリオールズ)Apr 20, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ボルティモア・オリオールズの控え捕手が、誰も成し遂げたことのない記録に迫りつつある。今シーズン、ケイレブ・ジョセフは49試合に出場し、132打数を記録しているが、まだ1打点も挙げておらず、オリオールズはすでに157試合を終えている。

イライアス・スポーツ・ビューローによると、打点が公式記録となった1920年以降、シーズン100打数以上で打点ゼロの選手はいない。調べてみたところ、シーズン125打席以上で打点ゼロの選手も見当たらなかった。141打席のジョセフは、このままいけばシーズン打点ゼロの最多打席も更新する。記録としてはこちらが正確だろう。打点は、犠牲フライやスクイズ、押し出し四球など、打数にカウントされない打席でも挙げることができる。

ジョセフのスラッシュライン(打率/出塁率/長打率)は.174/.216/.197と低く、23安打のうち、長打は3本の二塁打しかない。また、スコアリング・ポジションに走者がいる時は、27打数2安打(打率.074)とさらに打てていない。

こうなったら、ジョセフにはシーズン記録だけでなく、連続記録も塗り替えてほしい。10年前にホアン・ピエールが作った204打席連続の打点ゼロだ。当時、シカゴ・カブスの「1番・センター」だったピエールは、4月7日の第4打席から5月28日の第3打席にかけて、まったく打点を挙げることなくプレーした(このシーズン、ピエールはリーグ最多の204安打を放ち、ストリークの前後に計40打点を挙げた)。

ジョセフは昨年9月11日に内野ゴロ2本で2打点を挙げた後、シーズン終了までの31打席を打点ゼロで過ごした。従って、ストリークは172打席まで伸びている。順調(?)にいけば、来年の4月か5月にはピエールを追い越す。

勝手に考えてみたのだが、こんなシナリオはどうだろうか。このままレギュラーシーズンを打点ゼロで終え、ポストシーズンではチームを勝利に導く打点――ワールドシリーズ優勝を決める打点なら最高だ――を挙げ、来シーズンは再び打点ゼロを継続する。オリオールズはまだワイルドカードを争っている最中なので、ポストシーズン進出を決める打点により、ストリークが途切れるシナリオも捨て難い。

ジョセフは過去2シーズンとも打率.235未満だが、2014年は275打席で9本塁打と28打点、2015年は355打席で11本塁打と49打点を記録している。

なお、こちらはゼロではないものの、ニューヨーク・メッツのカーティス・グランダーソンも、最少打点のシーズン記録を打ち立てる可能性がある。グランダーソンは30本塁打を放っているが、打点は59に過ぎない。シーズン30本塁打以上で最も打点が少ないのは、1964年のフェリックス・マンティラ(30本)と1992年のロブ・ディアー(32本)で、どちらも64打点にとどまった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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